2匹の保護猫を飼っているライターのヤマダ(32歳 男性)です。今から6年ほど前に2匹の兄弟猫を迎え入れ、(大きな家具・家電などを破壊されつつ)のびのびと暮らしています!
昨今の巣ごもり生活もあって、ペットを家族に迎え入れる人が増え、「これからペットを飼いたいな…」と考えている人もいるのではないでしょうか?
7月28日(金)より公開のドキュメンタリー映画『猫と、とうさん』では、様々なきっかけで猫を飼うことになった男性の飼い主を取材した作品です。
猫好きがホッコリするだけでなく、猫と一緒に暮らすことで、人生に大きな変化があった飼い主にフォーカスした作品でもあります。
映画『猫と、とうさん』概要
俳優として飛躍したいネイサン、ベイエリアでエンジニアとして働くジェフ、ニューヨークの路上で生活するデヴィッド、消防士のジョーダン…。
様々な背景を持つ彼らの共通点は、家や職場で、ともに生活する猫たちをこの上なく愛していること。
前例のない試練となった2020年を共に過ごした猫と彼らの絆を、爽やかかつタイムリーに描く。(映画『猫と、とうさん』公式サイトより)
本作は猫と暮らす男性たちから、猫との出会いをはじめ、猫と暮らすことで起きた人生の変化などを捉えています。
撮影は世界がコロナ禍となった2020年であり、日本に暮らす私たちにも共感できるストーリーが詰まっています!
さらに本作は猫を飼っていない人にも気づきのある作品だと感じました。そこで今回は、猫を飼っていない人にこそ見て欲しいポイントをまとめてみます!
理由①誰が猫好きになってもいい!
日本ではあまり馴染みがありませんが、アメリカでは「猫が好きな男性には変わり者が多い」と思われるようです。筆者も猫飼いのおっさんですが、特にそんな風に思われたことはありません。
漫画やアニメ、邦画でも男性と猫を題材にした作品はたくさんあります。
アメリカでの偏見を変えようとするのが本作のテーマですが、世界中どんな人だろうと、猫をはじめ、どんな動物に愛情を注いでもいいじゃないか!ということを訴えているようにも、感じます。
本作では猫と暮らす男性が大勢登場しており、職業もインフルエンサーからエンジニア、トラックドライバーなど様々です。皆それぞれの暮らし方がありますが、基本的に”猫ファースト”の生活となっているのも面白いです。
結局、どんな人が猫と暮らしても猫中心の生活になるのが宿命です。そういう意味でも、誰が猫を飼おうがぶっちゃけあんまり関係ないことも分かります…笑
筆者も猫を飼うと決めたとき、親から「生活力のないお前に猫なんて飼えるのか?」と言われたことを覚えていますが、2匹とも大きなケガや病気もなく育っています。
もちろん、猫と暮らすことで大変なこともたくさんありますが、今作を見れば「自分は猫が好きだけど、なんとなく飼う自信がない…」という人の背中を押してくれるかもしれません。
理由②野良猫との正しい付き合い方もわかる!
猫との付き合い方で話題になるのは飼い猫だけではありません。野良猫と人間の関係性もそのひとつです。
野良猫にエサをあげるのは良いことだと思えますが、無責任に餌を与えれば、どんどん猫は増えてしまいます。その数に合わせて事故や保健所による殺処分など、不幸な死のケースも増えるのです。猫の数が増えることで、糞尿など地域の衛生面で問題も発生します。
しかしこれらの問題は、普段から猫を飼っていない人、猫の生態について詳しくない人にとって想像するのが難しいのも事実です。
こうした事態を少しでも減らすために、作中ではTNR(TRAP・NEUTER・RETURN)活動をする男性に取材もしています。
野良猫を捕獲し、不妊手術をすることで数が増えないようにしたあと、元の場所に戻すことで、地域猫として住人たちと共生する仕組みです。
https://www.neco-republic.jp/about/tnr/
(↑)TNRの仕組みがとても分かりやすいサイト。この活動は猫が苦手な人にとってもメリットがあると、丁寧に解説しています。
作中では平日は会社員、休みの日にTNR活動をする男性に取材しており、彼の猫への愛情をはじめ、TNR活動での苦労を赤裸々に語っていました。
TNR活動については日本のメディアでも取り上げられることが多い中、男性と猫との暮らしを描いたドキュメンタリーのなかで紹介されるのは珍しいと感じます。ニュースなどとは違った角度から活動の意義を知ることができて良かったです。
理由③ペットと暮らす人への理解も深まる
さきほど「男の猫飼いだけど、世間から変わり者として見られたことはない」と書きましたが、一点だけ日常生活で気を使っていることがあります。
それは猫(ペット)を理由にした会社での早退や遅刻、欠勤です。例えば猫を病院に連れていくために会社を早退する際に「そんな理由で?」と思われないだろうか…という不安です。
そんな筆者の悩みに近いのが、消防署に住み着いた迷い猫・フレイムと消防団員たちの生活でした。
当初、署長は猫を住まわせることに反対していましたが、命にかかわる仕事をする団員たちにとって、フレイムの存在は大きな癒しとなっていきます。
https://www.instagram.com/flamethearsoncat/
(↑)作中で唯一、個人ではなく組織に面倒を見てもらうフレイム。インスタもあります。可愛い。
フレイムが消防署内で受け入れられていく様子を見ると、ペットと仕事の関係性がもっとオープンになったらいいな…という気持ちにさせてくれます。
また、猫と一緒に各地をまわるトラックドライバーの男性は、最近ペット同伴で仕事することを認めている会社も多いと語っています。飼い猫と一緒にアメリカ中を回ることで、猫目当てで会いにくる人が増えたと嬉しそうに話していました。
また、エンジニアの男性は猫のために住む場所を変えるという徹底ぶり。その際、ペット可の物件を探すのに苦労したと話しています。この悩みは日本もアメリカも同じなんだなあと、妙な親近感を覚えました。(ちなみにアメリカでも「犬はよくても猫はダメ!」って物件があるそうです。これホント謎なんですよねえ…汗)
本作では動物を飼う人の考えや悩みもわかります。ペットを飼っている人もそうでない人も、お互いが理解して働ける環境が増えたら最高だなあと痛感しました。(とはいえ、職場に猫のいる会社はたまらんなあ…というのが映画を観た率直な感想です…笑)
理由④猫と飼い主の暮らしがいかに尊いかが分かる!
本作を見ると、猫と飼い主の暮らしに他人がとやかく言うのは無粋だなあと思うくらい、猫と人の共生は尊いと感じました。人間に助けられる猫もいれば、猫に助けられる人間もいるからです。
作中で中心的に取り上げられているのが、ホームレスになった男性・デヴィッドと猫のラッキーです。人生に絶望していたデヴィッドの前に現れたラッキーはまさに生きる希望。
しかし、長い路上生活の末に持病が悪化してしまったデヴィッドは、ラッキーとの生活を守るためにある決断をしますが…。
デヴィッドとラッキーのエピソードは『ボブという名の猫』シリーズにも通ずるものがあり、人生が苦しい人にこそ、動物は大きな支えとなることがよくわかります。
なんだかちょっとシリアスな内容になりましたが、本作は猫を飼ったことで友達が増えたり、恋人ができたりと、楽しいエピソードもたくさんあります!
みんな大好き(?)めっちゃでっかい猫(メインクーン)も登場します!でっかい猫最高ッ!!!あの豊満なお腹に顔をうずめて眼精疲労を癒したいです!!!
90分ほどのコンパクトな作品ですが、可愛い猫が拝めるだけでなく、猫と飼い主についての理解も深まる、隙のない良作でした!
猫を飼っている方は、あえて猫を飼っていない方と観てみてはいかがでしょうか?
映画『猫と、とうさん』詳細情報
監督:マイ・ホン
出演:ネイサン・ケーン、ジェフ・ジャドキンス、デヴィッド・ジョバンニ
2022/アメリカ/カラー/英語/89分
映倫:G
配給:ファインフィルムズ
© Gray Hat Productions LLC 2021.
公式サイト:https://catdaddiesjp.com/
7月28日
YEBISU GARDEN CINEMA、シネ・リーブル池袋、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかロードショー!
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