『セガvs.任天堂/Console Wars』
アメリカにおける家庭用ゲーム機市場の90%超を握る存在「任天堂」に対抗するべくしのぎを削る「セガ」の戦略や、それに付随したアメリカ国内で起きたビデオゲームに関わる問題などを描いたドキュメンタリー映画がついに日本国内でも配信開始!
セガと任天堂における当時の中心人物の口から、市場を奪い合った歴史や当時の市場そのものについて語られる本作、NES(ファミコン)に対して作られたジェネシス(メガドライブ)とNESの後継機SNES(スーパーファミコン)を中心に企業間の争いが描かれ、90年代ゲームファン必見の内容となっている。
とは言え、語られる内容は他では聞けない貴重な資料というよりは当時のCM映像やイメージ映像を挿入した非常にキャッチーな描き方で、ゲーム文化に精通していない方でも楽しめるものとなっており、90年代、ビデオゲームに熱狂する若者の熱量が伝わってくる当時の映像を今と比較しても面白い。
単純にハードの性能を競い合っていたわけではない二社間で特に重要な要因となったのは「キャラクター」と「広報」であり、本作ではそれらについて重点的に語られる。
王者任天堂における「マリオ」に対してセガが生み出した「ソニック」の存在がジェネシスを任天堂ハードを追い抜くまでに押し上げた過程やそれに対する世間の反応が非常に興味深い。
広報上のハッタリで使った「ブラストプロセス」という謎の文言とソニックにおけるゲームスピードの速さを押し出し、「セガは速い」「任天堂は遅い」という印象を若者に植え付ける戦略の他、任天堂を貶すCMや広報手法からは正にConsole Warsと言うべきドロドロとした闘いがあったことが描かれる。
そういった当時の争いについて、過去のことでもあるのに関わらず現代で語る関係者達がやや喧嘩腰なのも面白い。
対象年齢を任天堂よりも引き上げ、ハイティーンにクールだと思わせることに成功したセガだったが、そうした流れの中で生まれた、ゲームにおける暴力描写問題は現代でもレイティングや国内・海外の差などを争点に問題が起こることがある。
ゲームでの暴力表現が社会問題となった結果、議会に召集されたセガ・任天堂が、議会でスーパースコープについて議論するシーンなど、非常にシュールな様子も収録されており笑ってしまいそうになるが、こうした議会に呼ばれるような状況からも、90年代当時、社会全体のゲームへの関心が非常に高い様子が表れており、その活気をうかがい知ることができる。
現代に生きる我々は90年代のConsole Warsの結果も、その後の展開も知っているが、その裏で何が起きていたのか、誰が関わっていたのかという背景を両者から聞き出すことで、どちらかの側に偏ることなく二社の偉業を理解できるのが本作の魅力で、併せて、ゲーム業界そのものや携わる人間の当時の熱量を感じ取れる作品となっている。
終盤では、SOA(セガオブアメリカ)とSOJ(セガオブジャパン)の確執やソニーのゲーム事業への参入が与えた影響、中心社員の引き抜きなど様々な問題を抱えたまま迎えた次世代機の争いを通して、時代の移り変わりとその行き着く先が描かれる。
本作を通して、社会現象にもなった90年代ゲーム業界の隆盛と「セガVS任天堂」のConsole Warsの決着を見届けてほしい。
『セガvs.任天堂/Console Wars』はU-NEXTにて独占配信中
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’90年代初頭。任天堂はすでに全米の家庭用ゲーム市場の90%超を握る圧倒的な存在だった。そんな任天堂に対し、アーケードゲーム専門の中堅メーカーであったセガは、16ビットゲーム機・北米版メガドライブ“ジェネシス”の発売と共に逆襲を図る。