ハロウィンシーズンの常連のこいつら、いるじゃないですか。
ドラキュラ


フランケンシュタインの怪物


ミイラ


半魚人


などの、こいつら。
ルーマニアの貴族と人造人間と古代エジプトの死体とアマゾンの化け物たちがなんで連れ立ってんだ~~~? と思ったことはないだろうか。他にも透明人間とか狼男とか、その辺のやつら。
ムービーナーズの読者の皆様は理由をご存じだろうと思うが一応説明しておくと。1920年代から1950年代(出典wikipedia)くらいにユニバーサルスタジオによって制作されまくったホラー映画の連中、通称ユニバーサルモンスターズとして知られる面々だ。
そのあたりのユニバーサルのホラー映画があまりにも大人気すぎて、今ではハロウィンシーズンのバケモノの常連として定着している。
もちろん映画としても何度もリメイクされているし、今でもユニバーサルモンスターズを題材にした映画が作られ続けている。
最近だとパシフィック・リムのギレルモ・デル・トロ監督が半魚人をテーマに「シェイプ・オブ・ウォーター」を制作、フランケンシュタインをテーマに「フランケンシュタイン」を制作している。
あと2020年に透明人間をリブートしたリー・ワネル監督が制作した狼男の映画はどうなったんじゃいと思ったら日本では劇場未公開でいつの間にか配信されていた。
このように愛され続けているユニバーサルモンスターズだが、ハロウィン常連のこいつらと比べるとイマイチ目立っていない知られざる連中が結構いる。今回はその中の一つを紹介する。




映画「モグラ人間の叛乱」とそれに登場する「モグラ人間」だ。


なんと地球の内部は空洞だった!!!!
考古学者たちが山で発掘作業をしていたらシュメール人の遺跡を発掘したぞ! 調査だ!
ところが遺跡の床に穴が空いて仲間が落ちてしまった! 助けに行くぜ!


長い長い長い穴を降りるとそこは地下の遺跡! シュメール人たちが独自の文明のまま生き残っていた!!
考古学者たちは最初はよそ者として殺されそうになるも、懐中電灯でシュメール人の顔を照らしてビビらせたら神の使いだと思われるぞ! シュメール人は地下で生活しているから光に弱いんだ! デッドバイデイライトみたい!


地底のシュメール人、地下暮らしで太陽に当たってないから白いぞ
シュメール人は「闇獣」と呼ばれる種族を奴隷にしてこき使っているぞ! こいつらがモグラ人間だ! モグラ人間はキノコ栽培とか侵入者への攻撃とかをさせられている。


モグラ人間
モグラ人間たちは腹を空かせているし、ことあるごとにシュメール人にムチで打たれていてかわいそうだ! 考古学者たちはモグラ人間をかばう!
その頃シュメール人の神官は考古学者たちが神の使いでもなんでもないことに気が付く!
懐中電灯を奪って殺してやろう! シュメールの遺跡には人を焼き焦がす光が出るドアがあるのだ!
考古学者たちが食事に毒を盛られて弱り、人間焼き焦がしドアに放り込まれたその時! 奴隷にされていたモグラ人間たちがシュメール人に叛乱を起こす! モグラ人間の叛乱だ~!!!!
さあどうなってしまうのか!? シュメールの文明は!? モグラ人間の明日は!? 考古学者たちは地上に帰ることができるのか!?
みたいな映画。時代相応の古臭さはあるけどかなり面白い。
悪役のシュメール人たち
「こいつら(考古学者)敵じゃね? 殺そうぜ!」
↓
「いや、なんか光線出してたし神の使いだと思う。もてなそうぜ!」
↓
「いや、こいつら殺したら死ぬし神の使いじゃないよ。やっぱ殺そうぜ!!」
こんな感じで意見がコロコロ変わってハラハラさせてくる展開がとてもよかった。「敵の意見がコロコロ変わると安心できなくて怖いんだ」という発見があった。
またなんで地底で全然違う文明を築いていたシュメール人が英語を話すの? みたいな映画的な粗を「いや、主人公が考古学者だからシュメールの言葉がわかるんです」みたいな設定でサラッと説明するスマートさもかなり良かった。気が利いているぞ……。
またタイトルにもなっているモグラ人間たちが良い。
この映画、原題は「The MOLE PEOPLE」(モグラ人間)で、邦題が「モグラ人間の叛乱」になっている。


このビジュアルといい「HORROR CRAWS FROM THE DEPTH OF THE EARTH!」というキャッチコピーといいモグラ人間が恐ろしい鉤爪で人を殺しまくるのだろうなと思わせてくるし、初登場シーンも地底からぬーーーっと出てきて考古学者たちを引き摺り込んでいくのでかなり怖い。
しかしあらすじで説明したとおり、モグラ人間は虐げられている側。これがわかってからの
「モグラ人間がかわいそうです!」
↓
「モグラ人間! 頑張れ!」
↓
「やったー! モグラ人間の叛乱だー!!!!」という流れが見ている者の心をグワングワン動かしてくる。期待通り人も殺してくれるし。


ナイスデザイン
デザインも良い。でかい目、縦の口、大仏みたいな頭。バケモノバケモノしているけど、お揃いの服を着ているかわいさもある。ユニバーサルモンスターズの中では地味な方だがフィギュアも出ているぞ。
ドラキュラやフランケンシュタインの怪物、透明人間などをやり尽くしたら次はモグラ人間をもう一度叛乱させてみるというのはいかがでしょうか。映画関係者の皆様。モグラ人間がもっと見たいよ。
完全に余談だが、あるメディア(東スポWeb)によるとメキシコにてモグラ人間的なのが発見されたらしい。
(東スポリンク https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/337761)
報道元のメキシコのテレビ局、TVアステカによるとメキシコに古くから伝わる精霊「チャネケ」ではないかと言われているそうだ。(あるいは動物の映像をAI加工したものだとも言われている)
(アステカTV記事 https://www.aztecaveracruz.com/tendencia/captan-chaneque-veracruz-como-era-figura-vista-tejeria)
強いていうなら映画のモグラ人間とは目がクリクリで地底にいるという共通点がある。全然関係ないが、みんながモグラ人間を思い出すきっかけになれば幸いだ。








