今年コナンと哀ちゃんの関係は進展するのか!?2023年の『名探偵コナン』灰原哀イヤーを予習!

哀ちゃんファンのみなさま、2023年がやってきましたよ。


安室透、赤井秀一、警察学校の面々……などなど近年の劇場版名探偵コナンシリーズは、主人公のコナン以外にもスポットライトを当てた作品が恒例となってきました。そんな劇場版名探偵コナンシリーズが、2023年に満を持して公開する映画が『名探偵コナン黒鉄の魚影(サブマリン)』(2023年4月14日公開)。

本作の発表と共に公開されたキービジュアルには、水の中に沈みゆく灰原と、それを救わんとするコナンの姿。そして、「死ぬな、灰原──」の惹句。今年、スポットライトが当たるのは、今やあたりまえの様にコナンたちと共に居る少女・灰原哀に出番がまわってきた様です。

そしてそのスポットライトは、いつものゴールデンウィークシーズンに先駆けて、新年早々早くも照射を始めています。2022年1月6日(金)より『名探偵コナン 灰原哀物語 〜黒鉄のミステリートレイン〜』(以下、『灰原哀物語』)が公開をスタート。早くも始まった哀ちゃんイヤーは“なにに期待するべき年”なのか、紹介します。

『名探偵コナン 灰原哀物語 黒鉄のミステリートレイン』とは何か?

灰原哀といえば、コナンと同じく特殊な薬APTX(アポトキシン)4869を服用したことで、小学生の姿になってしまった宮野志保の仮の姿。

今冬上映をスタートした『灰原哀物語』では、そんな灰原について、劇場版でおなじみのコナンのプロフィール紹介シークエンスのセルフパロディで紹介してくれるなど、彼女がどういう人物でどんな歩みを経てきたのかを振り返る長編となっています。

ただし今回は、映画館での上映が実施されますが、“劇場版”ではありません。TVアニメ版で放送された「漆黒の特急(ミステリートレイン)」編を軸に、灰原哀の過去のエピソードと新規映像で、灰原哀の物語として再編した“TVシリーズ特別編集版”として上映される作品です。

本作では懐かしい灰原哀の初登場シーンや、灰原哀の活躍といえばこのエピソード!という回が抜粋されて収録されています。中でも灰原哀の初登場は、なんと1999年。今とは違ったキャラクターの顔立ちなど、時代を感じさせる映像を映画館のスクリーンで体験できるという点でも貴重なものとなっています。

2023年公開の『黒鉄の魚影』との関連性は?

今回のようなTVシリーズ特別編集版といえば、前例として2021年に上映された『名探偵コナン 緋色の不在証明』があります。

これはコナンに登場する準レギュラーキャラクターの赤井秀一を中心に、彼と関わりのある親族の世良真純や羽田秀吉、そして未だ謎の多い母・メアリーに関して、それぞれのキャラクターの素性や活躍が分かるエピソードを抜粋したものでした。

なぜコナンじゃなく彼らを紹介したのかといえば、2021年に劇場上映されたのが『名探偵コナン緋色の弾丸』だったから。複雑な赤井一家の面々について、予習ができるように設けられたプログラムとなっていたわけです。

となると、『灰原哀物語』も同様に2023年の劇場版『黒鉄の魚影』の予習用のプログラムと想像するところですが、本編を見てもどう内容と絡んでくるのかはよくわからないのが実際のところ。

『灰原哀物語』で描かれる「漆黒の特急」というエピソードは、そもそも当時は正体が不明だった黒の組織の“バーボン”が誰なのかが明かされることこそがメインであり、灰原が黒の組織に命を狙われるという展開は、きっかけにすぎなかったのが実情でした。結局は灰原哀は死んでしまったと見せかけるように成功し、灰原哀が黒の組織に狙われることはなくなった、というのが顛末でした。

そんな展開から、どうして灰原哀に危機が迫るのか?黒の組織が今回の映画でどう事件に絡んでいくのか?予習というよりも、むしろさらに謎が深まるような内容となっています。映画のための準備というよりも、映画をより楽しみにできるという働きをしてくれるような作品となっていました。

https://twitter.com/conan_movie/status/1607511826765324288

実は貴重なヒロインが灰原の映画

むしろ今回の『黒鉄の魚影』で注視したいのは、灰原哀の立ち位置でしょう。歴代の劇場版名探偵コナンシリーズでも異例となる“ヒロインを灰原哀が務める”作品となる可能性があるからです。

言わずもがな、「名探偵コナン」のヒロインは工藤新一の幼馴染の毛利蘭。近年では、ついに正式に恋人同士となった相思相愛の仲であり、劇場版シリーズでも基本的にヒロインの役割を担うのは蘭でした。そんな中で、今回のキービジュアルや予告編からも推察できるように、今回の映画でヒロインのポジションに当てられそうなのが灰原であることが、真の衝撃的展開です。

これまで劇場版で灰原がキーパーソンとなった作品といえば『名探偵コナン天国へのカウントダウン』(2001)がありますが、こちらでの活躍はヒロインとしてよりも、黒の組織の面々を劇場版というステージに呼び込む役回りであったり、少年探偵団や博士といった仲間たちという居場所があることを灰原が再認識するというストーリーでした。それを考えると、灰原をヒロインとする劇場版は今回が初めてとなりそうです。

コナンと灰原の関係というのがまた特殊。同じように薬で子供の姿になってしまった者同士で、お互いに頭の回転も早く、お互いに助けて助けられのギブアンドテイクとも言える関係性で、場合によっては恋心が芽生えてもおかしくないような仲です。そんな関係なのですが、前述の通りコナンにはすでに蘭という存在がいるので、二人は“相棒”のような関係に落ち着いています。

灰原はコナンのことが好きなのか?

ただ、実は灰原にもコナンへの好意があるのでは?と思わせる場面もゼロではないのが実情です。はっきりと灰原がコナンに対する好意を口にする展開こそないながら、実は灰原が仲間以上の気持ちをコナンに抱いているかもしれない、という描写はいくつか存在します。

例えばTVアニメ第335話『東都現像所の秘密(前編)』では、コナンの母親・有希子が灰原がなんどもコナンを見つめていたことから、コナンに好意を持っているのでは?と耳打ちするシーンが登場。「女の子が男の子の顔を見つめるのは、その子の顔に何かついてるか、その子に恋してる時って決まってるんだから」という名言が飛び出したのもその流れからでした。

©青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS

また灰原自身が蘭に対してライバル心を抱いているかも、と思わせる場面が登場するのがTVアニメ第246話から描かれる『網にかかった謎』というエピソード。ここでは、蘭に対して距離を置いていた灰原が、ある事件をきっかけに少し心を開くという回になっており、逃げるみたいでしゃくだった、と蘭を意識した灰原が無理に浜辺に出て日射病になるなど、それが蘭を恋のライバルとしてという意味に受け取れなくもない展開がありました。

新一と蘭がついに恋人となるTVアニメ第927話からの『紅の修学旅行編』では、APTX4869の解毒剤をコナンに渡したときの3つの条件として、あえて“あんまりイチャイチャしない事”を4つめの条件として述べるなど、妙な思いが感じ取れるやりとりが存在します。

そして作中以外では、劇場版『名探偵コナンから紅の恋歌』(2017)の“ポスター”にもある仕掛けがありました。本編は百人一首がキーアイテムとなる映画だったのですが、それに合わせてポスターには3枚の札が舞っており、それぞれ蘭や和葉の心情を思わせる札が添えられています。そしてもう1枚、灰原の側に舞う札が式子内親王の「玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの よわりもぞする」の札。死んでも構わないから、秘めた恋心を世間に知られないようにしてくれ、という歌であり、この札が灰原の側に添えられているのは、内容からも意図して配置されたものに感じさせます。

灰原の背中を押す映画がついに来るのか?

このようにコナンと蘭の仲が徐々に進展していく一方で、さり気なく灰原からコナンへの特別な感情の存在がにおわされてきました。当のコナンはまっすぐに蘭への好意が描かれ続け、対する灰原には強い仲間意識はあれど、恋愛感情が描かれることはありませんでした。なので、たとえ灰原からコナンへの好意が存在したとしても、成就はしないであろうことは、コナンを長く追ってきたファンほど確信を持てるような状況が続いてきたわけです。

そんな状況からの、2023年公開となる『黒鉄の魚影』。灰原に当てられたスポットライトは、今こそすっかり置き去りにされてしまった灰原のコナンに対する思いに、光を当てる時ではないでしょうか?絶対的な相思相愛ぶりを見せてきた新一と蘭の関係を描いてきた今、灰原哀は今なにを思うのか?二人の仲にどんな“特別な事件”が起きるのかを、2023年は多くの人に見届けて欲しいところです。

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