映画『ミッドウェイ』レビュー!アツいドラマと、戦闘機・戦艦がいーっぱい!

『インディペンデンス・デイ』シリーズでおなじみのローランド・エメリッヒ監督が、ガチの戦争映画に挑戦した。その題材は「ミッドウェイ海戦」。

戦争映画はデリケートな題材になりやすい。実際の歴史と内容が違うと反感を買いやすいからだ。

その点、『ミッドウェイ』はドイツ人のエメリッヒ監督により、日米のどちらかに贔屓することなく、中立の立場で描いている

何よりメチャたくさんの戦闘機や軍艦が大きなスクリーンで拝める、マニアにはたまらない作品ではないだろうか?

今回は9月11日(金)より公開する、本作の魅力をご紹介する。

『ミッドウェイ』(原題:Midway)あらすじ

1941年12月7日、日本軍は戦争の早期終結を狙う連合艦隊司令官・山本五十六の命により、真珠湾のアメリカ艦隊に攻撃を仕掛ける。大打撃を受けたアメリカ海軍は、兵士の士気高揚に長けたチェスター・ニミッツを新たな太平洋艦隊司令長官に任命。日米の攻防が激化する中、本土攻撃の脅威に焦る日本軍は、大戦力を投入した次なる戦いを計画する。真珠湾の反省から情報戦に注力するアメリカ軍は、その目的地をハワイ諸島北西のミッドウェイ島と分析し、全戦力を集中した逆襲に勝負をかける。そしてついに、空中・海上・海中のすべてが戦場となる3日間の壮絶な戦いが幕を開ける。

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夏をさらに熱くする戦争ドラマ

Midway (C)2019 Midway Island Productions, LLC All Rights Reserved.

これまで幾度となく映画化されてきた「ミッドウェイ海戦」

三船敏郎が山本五十六を演じた1976年版『ミッドウェイ』をはじめ、ジョン・フォード監督は、実際に戦場に赴いてドキュメンタリーを撮影した。
そして最近でも、2020年2月に劇場公開された『ミッドウェイ 運命の海』がある。

なお、最新作の『ミッドウェイ』では、ジョン・フォードが映画を撮影している様子も描いている。

最新作の『ミッドウェイ』で注目したいのは、戦争アクションはもちろん、男たちのアツいドラマだ。

「敵国をぶっ潰す!」という危うい野心だけではなく、「自国を守るために戦う」気高い兵士たちが描かれている。

戦場で命をかけて戦う兵士。自国の被害を最小限に抑えるために、敵の動向を探る情報戦。エメリッヒ版『ミッドウェイ』には、あらゆる側面から見たドラマが詰まっているのだ。

アクション面はド派手な展開が、ドラマ面は重厚なトーンが印象的な本作。
このギャップが作品を絶妙なバランスに仕上げている。

登場人物が多いので、迷子になったらこの人に注目して!

Midway (C)2019 Midway Island Productions, LLC All Rights Reserved.

映画『ミッドウェイ』には、実在の人物が多数登場する。
日本のメインキャストは3人だが、アメリカのキャストは11人ほど。アメリカ製作だし、当然といえば当然だけど…。

いかんせん、全員同じような服を着て、同じような髪型なので、誰が誰だか分からなくなる可能性も否定できない。

そこで、「やばい、どれが誰だっけ…」となっても大丈夫なように、こいつだけは注目してほしいという人物をピックアップしてみた。

Midway (C)2019 Midway Island Productions, LLC All Rights Reserved.

まず1人目は、戦死した親友の復讐に燃えるディック・ベスト大尉(エド・スクライン)

オープニングから「予行練習」と言って、エンジンを停止した状態で戦闘機を着陸させる、血の気の多いパイロットだ。
上官にも普通にため口だし、言う事を素直に聞かないし、何かと問題の多い人物だが、パイロットの腕は一流。

過酷を極める日本との戦いで成長していく様子は、本作の熱いドラマ要素のひとつだ。
ラストでは、ドデカい1発を日本の空母に食らわそうと、前人未到の飛行戦に挑戦する。

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血気盛んなディック・ベストに対し、冷静沈着の頭脳派であるエドウィン・レイトン少佐(パトリック・ウィルソン)の活躍も見逃せない。
日本での赴任経験を買われ、日本軍の暗号を解読してミッドウェイ海戦を有利に運ぶよう腐心した人物だ。

妻から「戦場に出ないあなたが、寝ずに働いてどうなるの?」と、体調を心配されるたとき「戦い方を考えなければ大勢が死ぬ」と返すあたり、レイトンの戦いへのプライドが見て取れる。

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日本勢も負けていない。

例えば、空母「飛龍」に座乗して、ミッドウェイ海戦に参加した山口多聞少将(浅野忠信)だ。
まるで戦国時代からそのまま連れてきたのかと思うほど、戦いに対して意識高い系の人物である。

自軍が手柄を取り合う様子を見て「手柄あさりを止めさせろ。節操がなさすぎる」と戒め、捨て身の攻撃をしてきたアメリカ兵を称賛するなど、“敵ながらあっぱれ精神”も素敵である。個人的に、本作で1番クールなキャラクターだと思っている。

Midway (C)2019 Midway Island Productions, LLC All Rights Reserved.

一方で、戦艦大和に座乗している山本五十六は、ナーバスな面が強調されている。

昭和天皇を空爆の危険に晒したことで、暗い部屋でどんより落ち込んでいた。
戦争の風向きが悪くなると、部下から作戦を展開したいと説得されても「…君は将棋のやりすぎだ…」とすごいしょんぼりしている。

これは豊川悦司のオーラを存分に生かした、新たな山本五十六像かもしれない。
こんなふうに、多くのキャラクターからお気に入りの人物を見つける鑑賞方法も面白いかもしれない。

これでもか!と忠実に再現した軍艦・戦闘機

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最後に、『ミッドウェイ』の真の主役ともいえる戦闘機や空母について。

日本からは、空母「赤城」をはじめ、「加賀」「飛龍」「蒼龍」が出陣。山本五十六が乗る「大和」も、これらの後方に続く。

アメリカからは空母エンタープライズをはじめ、ホーネット、ヨークタウンが参加した。

これだけの数の空母が登場し、おびただしいほどの戦闘機が空中を舞うアクションシーンはぜひ大きなスクリーンで見てほしい。

ところで、海外が描く日本空母の再現に不安を抱くかも知れないが、これが非常に丁寧に再現されている。
アメリカの軍艦には工業的な雰囲気があるのに対し、日本の軍艦には伝統的な美意識が描かれていた。

戦闘機おいても、徹底的な再現がなされている。

『ミッドウェイ』では、「SBDドーントレス」「TBDデヴァステイター」という戦闘機が登場するが、TBDは現物がもう存在しない。
そこで徹底的に資料を集めて構造を再現した結果、博物館にあってもおかしくない程の完成度に到達したらしい。

SBDはまだ現存してしていたが、諸事情により使用できなかったため、こちらも2機造ったとのこと。行動力の化身…。

Midway (C)2019 Midway Island Productions, LLC All Rights Reserved.

アクションも、ドラマも、戦闘機の再現にも一切の妥協がない『ミッドウェイ』
映画ファンはもちろん、戦争ドラマや歴史もの、ミリタリーファンの食指を動かすだろう。

ぜひ巨大なスクリーンや音響で、ド派手に飛び交う戦闘機や、激しく散る空母の迫力を味わってほしい!

『ミッドウェイ』の公開は9月11日(金)!お見逃しなく!

『ミッドウェイ』作品情報

Midway (C)2019 Midway Island Productions, LLC All Rights Reserved.

監督:ローランド・エメリッヒ
脚本:ウェス・トゥック
出演:エド・スクレイン、パトリック・ウィルソン、ウッディ・ハレルソン、マンディ・ムーア、ルーク・エバンス、豊川悦司、國村隼、浅野忠信
公開日:2020年9月11日(金)
上映時間:138分
制作国:アメリカ(2019)
配給会社:キノフィルムズ

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