6/5より日本での公開がスタートしたジム・ジャームッシュ監督による異色なオフビートゾンビ映画『デッド・ドント・ダイ』
ゾンビ映画でありながら日常系作品の如くゆったりとした空気感に驚いた方も多いと思います。
同様に「吸血鬼」というアクションやサスペンス、ホラーな印象の強い題材をまったり日常系に描いたジャームッシュ監督の『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』を紹介します。
『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』(Only Lovers Left Alive)
ジム・ジャームッシュ監督・脚本による2013年公開の映画で、吸血鬼の夫婦を描いたくどすぎないラブストーリーです。
主役である2人の吸血鬼を演じたのはトムヒことトム・ヒドルストンと『デッド・ドント・ダイ』でも一際目立っていたティルダ・スウィントン!
もちろん、ジャームッシュ監督が描く独特のオフビートな空気感は居心地がよく、吸血鬼達の何気無い会話の中で見られる「吸血鬼ギャグ」のようなやりとりは微笑ましいです。
しかし、何と言ってもこの2人が数百年~数千年生きている吸血鬼の夫婦を演じていることがビジュアル的に最高!
MCUでロキを演じたことでトムヒが「不健康そうなエロい男」にハマることを我々は学んだじゃないですか?
ロキとは別方向に「不健康そうなエロい男」吸血鬼のアダムを見事に演じたトムヒ。最高です。
一方、コンスタンティンでガブリエルを演じたティルダ・スウィントンが人間離れした美しさで視覚的に殴りかかってくることを我々は学んだじゃないですか?
そんな2人が吸血鬼の夫婦を演じているのです。観るしかないだろ。
特別、俳優のファンでなくともこの2人が収まる画面の美しさに圧倒されますよ。
現代では人に紛れて闇ルートから仕入れた血液で渇きを満たしている吸血鬼。
血をグラスに注ぎワインのように嗜む描写が非常にドラッギーで、恍惚としたした表情を浮かべるティルダ・スウィントンからは目が離せない!
と、思っていたら「棒を差して凍らせてみたよ」とまるでアイスを食べるように血を嗜むお茶目っぷりも見せてくれます。かわいい。
この吸血鬼カップルは共に芸術に対しての造詣が深いアーティスト吸血鬼で、会話の中で音楽や文学についてしばしば触れる様が非常にスマートで美しく、何気ない会話の中にも彼らが生きてきた長い年月や体験してきた歴史を感じさせられます。
「モータウン博物館に寄る?」と尋ねるアダムに対して、イヴが「私はスタックス派よ」と答えるシーンがあり
この辺りはキャラクターとしての個性に加え、ジャームッシュ監督自身の音楽の趣味1を感じますね。
また、アダムが大衆を「ゾンビ」と呼び嫌う描写が度々現れますが、『デッド・ドント・ダイ』では大衆の欲求や執着を風刺する古典的なゾンビスタイルを採用しており、作品を跨いで表現されるジャームッシュ監督の思想・創作のベースを感じます。
イヴの破天荒な妹・エヴァの登場以降物語は動き、ラストへと向かっていきます。
会話劇だけでも非常に面白い本作、どのような結末に向かっていくのかぜひお確かめください。
『デッド・ドント・ダイ』や『パターソン』でも感じた配役の妙が本作でも発揮されていますが、当初主役アダムはマイケル・ファスベンダーが演じる予定だったとのこと…それはそれで観てみたいような気もします…
6月18日までシネマシティにて上映中の他、UNEXTで配信中(2021年1月1日 23:59まで)の本作を『デッド・ドント・ダイ』と併せて観てみてはいかがでしょうか!
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- モータウンは、アメリカ合衆国ミシガン州デトロイト発祥のレコードレーベル。一方、スタックス・レコードは、米国テネシー州メンフィスに拠点を置いていたレコード・レーベルでサザン・ソウル、メンフィス・ソウルといった音楽スタイルの形成に大きな役割を担ったといわれている
謎のカリスマミュージシャン・アダムは今を生きる吸血鬼。永遠の恋人・イヴと久々の再会を果たした彼は、穏やかで堕落した悦楽の日々を過ごしていた。しかし、イヴの破天荒な妹・エヴァが突然現れたことから、3人の運命は緩やかに変わり始める。