

夏は、恐竜!←なんで?←暑いから?
元々、『プリミティブ・ウォー』がなんとなく気になってたんです。
ベトナム戦争に出向いた米軍兵士たちで出会ったのはベトコンではなく恐竜だった……というあらすじが凄すぎる映画。
「ま、そうは言ってもまずは流石に『スパイダーマン』見ないとね〜」と私は先週、上野の映画館に脚を運んだ。『オーク・ストリートの異変』の存在を知ったのはその劇場のロビーであった。
ポップコーンとコーラを買って頭を上げると、ロビーに巨大な広告というべきかPOPというべきか……が吊るされていたのだ。


グレー気味の暗い色彩。
汚れたメイクで不安そうな顔をしたユアン・マクレガー。
どこか不気味なタイトルロゴ。
これは……ホラーですね!
私の脳は自動的にそう判断した。
おそらくオーク・ストリートという平凡な街に、ゾンビが発生するとか、宇宙人がやってくるとか、幽霊が現れるとか、あるいは単にシリアルキラーが出る、とかそういう怖い事件が起こり、それにじわじわと日常を脅かされる不気味で不快な映画なのだろう。


俺さまには縁のない映画だね! だって私はホラー映画が苦手だからね。私は生粋のビビリなのさ。本格的なホラー映画はもちろん、『エイリアン』とかも見たことないし『プレデター』も1と2は見たけど最近のやつは結構ゴア描写激しいッスよと言われてビビって見てないのだ。『リング』は原作だけ見たけど『近畿地方』も『8番出口』も怖くて見てないぜ。
さあ、全く怖くないスパイダーマンを見よう。親愛なる隣人の活躍を見て勇気をもらおうぜ! とスクリーンに入り、席に座る。すると『オーク・ストリートの異変』の予告映像が流れたのだ。
そこに映ったのは……
恐竜に襲われるアン・ハサウェイだった。


え!!?!?!?!?!?!?!?!? そういう感じの映画!?!?!?!?!?!?!!?!?
一気に興味が湧いた私は1週間後、『オーク・ストリートの異変』を見るために新宿にやってきたのだった……。
こういうのでいいんだよ枠
映画は楽しかった。
なんか結構、シンプルな映画だったなという感想を持った。むしろそれが良かった。


主人公たちは4人の家族。父親、母親、お姉ちゃん、弟。
この構成がまたシンプルで、わかりやすく男は夢見がちで楽観的で少しバカ。女は頭が良くて現実思考。
そしてお父さんとお母さんは当然の如くギクシャクしていて離婚寸前。ハラハラ。家族は崩壊寸前だ! そんな家族が異常事態に放り込まれ……口喧嘩をしたり……恐竜が現れて完全にそんな場合じゃないのに、仕事やお隣さんや家族との触れ合い方で揉めたり……。でも彼らも、うまくいかないだけで家族のことは愛してはいるので極限状態での吊り橋効果もあってその絆を取り戻したりなんだりして……あと恐竜が暴れる! そんな映画です。
予想外のことは特に起こらない。開始30分で「こういう映画なんやろな」とぼんやり胸の中に抱いた印象が変わらぬまま終わっていく。
が、全然つまんなかったとかではない。むしろ面白かった。期待通りの映画を見られて確かな満足を得て(後述するが映画本編と関係ないところでちょっとイヤなことがあったのだが)劇場を出ることができた。


むしろ前向きに「最近複雑な映画やアニメやマンガを身すぎていたかもしれない」と思うことすらできた。直前に見た『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ(いやな邦題だなあ!』だって複雑で重層的な映画だったし、昨今摂取してきた映画やゲームや小説のストーリーはどれもこれも技巧を凝らしたすごい映画ばかりだた。
そんななか『オーク・ストリートの異変』はキャラ造形も話運びもそんなに複雑じゃないし……一応SF的ギミックは用意されてるけど、それすらも本当に映画を成立させるための舞台装置でしかなくて、それが起きることに対してのドラマ的裏付けとか作品外の文脈とか全然ない。「こういうことなんでよろしく」って感じでしかない。でも満足だ。恐竜がたくさん出るから。
映画の良さを語る時についついシナリオの良さみたいな話をしてしまいがちだけど映画って総合芸術なんだから「恐竜が暴れて……うれしい!!!!」で大加点して別にいいんだよな。そりゃ。っていうか『スパイダーマン』だって私たちはすぐにピーターの気持ちがさあ! とかMCUの展開がさあ! ゲストキャラがさあ! みたいな話ばかりしてみたいが別にスパイダーマンがウェブ撒いてめちゃくちゃ大暴れして大満足ポイントだってめちゃくちゃ高いんだよな。もっとプリミティブに物事を楽しむべきだ。プリミティブ・ウォー。
恐竜が人間を殺すと…うれしい!


あとこれはめちゃくちゃ個人的発見だったんだけど、私って恐竜ならこういう話大丈夫なんだなあ…と思いました。
口を酸っぱくしていうけど、私はめちゃくちゃに怖がりでビビりなのでホラーとかスリラーとかスプラッタとかゴアとかはマジで無理だしいっくら面白いですよと言われても本当に心の底から見たくないんですよ。そうやってシカトしてきてる名作がもう一生分あります。
だから……ものすごく静かなシーンで、殺人鬼が突然現れて突然馬鹿でかい音が鳴る! ギャアアア! みたいなシーンとか本当に心の底からイヤすぎるんだけど、これが恐竜だと大丈夫なんですよ。ティラノサウルスだと嬉しくなる! 恐竜はカッコよくて大好きだから。
むしろそういうハラハラシーンが全部「これから恐竜が出てきますよ〜〜」っていう前振りとして機能していて……うれしい! になった。いいぞ恐竜! もっと人間を食べるんだ! 街を破壊しろ! と思えてしまう。ゴジラ見てるときと精神状態が一緒。
もしかしてホラー映画とかが好きな人たちってこういう気持ちなのかしら? とちょっとだけみんなのことが理解できたような気すらした。どうなんですかねえ。
エンディングがすげー眩しい
そんなわけで概ね大満足だったんだけど、最後に蛇足ながらイヤだったな〜ということをひとつ。本作のエンディング、ものすごく眩しいんですよ。なんだこれ!? こんなことあり得るか!? ってビビってしまったよ。っていうか普通に目が痛くなって開けていられなかった。
スタッフロール、の前半部分。他の映画でもよくある、本格的なスタッフロールの前に、イメージ映像と共にメインキャストや監督を大きく主張するみたいなコーナー。あれあるじゃないですか。
あれの、表示が切り替わるたびにメチャクチャなフラッシュがバキッ! と入ってそれが本当に耐えられないくらい眩しいんですよ。おそらく、劇中でも出てきたポラロイドカメラがモチーフなのかなあとも思ったんですけどそういうことを考えるのもキツいくらい本当にメチャクチャな光量を何度も断続的にぶつけられる。これが本当に厳しかった……。いわゆるポケモンの『ポリゴンショック』みたいな悪影響が出る人がいるんじゃないかって心配になるくらいの光量と頻度でした。あれ大丈夫なんだろうか……。
ので、これから見る人は一応そのことに注意しておいてください。なんだろ、劇場ごとのチューンとかも関係してるのかなあ!? 本当に不可解なくらい眩しかった。謎だ。






