好き好き死ぬシーン『ロボコップ』『クワイエット・プレイス』/映画の死亡シーン特集①

好き好き死ぬシーン『ロボコップ』『クワイエット・プレイス』

 人は例外なくいつか死ぬ。そうとはわかっていても現実に人が死んでしまうと悲しいし、自分だけは死にたくない。死、めっちゃ怖い。
 だがそれはそれ、これはこれだ。俺(初めまして、ナ月と申します)は映画で人が死ぬシーンがめちゃめちゃ好きだ。面白おかしく過激なほど良い。現実と違って映画の人死にシーンは悲しもうが喜ぼうが泣こうが笑おうが見る者の自由なのだ。
 本コラムは扱っている題材の性質上多少のネタバレが含まれるのでご了承いただきたい。

 さて、そんな「死ぬシーン」が好きな映画の中でもお気に入りを一つ挙げるなら『ロボコップ』(1987)は外せない。

『ロボコップ』説明不要の名作SF映画だ。治安が終わっている近未来のデトロイトで死んだ警官がロボ警官として蘇る。あと人が死ぬシーンがいっぱいある。

 ロボコップは製造元のオムニ社によって制御されているので「オムニ社の人間は撃っちゃいけませんよ」とインプットされている。裏を返せば社員以外の人間は殺しても良いと言われていると思うと作中の治安や倫理観のイカれ具合が見て取れる。そもそも彼の存在自体が倫理を無視してはいるのだが。

 萌え萌え逆関節メカのED-209プレゼンシーンを筆頭に語りたい「死ぬシーン」はたくさんあるが、やはり最もグッとくる「死ぬシーン」はなんといってもラスト。ロボコップが悪いやつを追い詰めるシーンだ。

 悪いやつを追い詰めるロボコップ。だが悪いやつはオムニ社の社員なので撃てない!!
 さらに悪いやつはオムニ社の偉い人を人質にとっているぞ!! どうするロボコップ!? 

 そこで偉い人が叫ぶ!

「お前はクビだ!」

 悪いやつは解雇!!

 オムニ社の社員じゃないので殺してOK!!

 射殺!!

 最高。なんて痛快なんだろう。ブッ飛んでいるようでいて極めてロジカルだ。ロボコップが半分人間でありながらもあくまでもプログラムに従うロボ警官であるという点をキッチリ守って活かした完璧なソリューション。社員の判定そんな簡単に消えるんだというスットコドッコイな点も含めて最高の「死ぬシーン」だ。

 もう一本素晴らしい「死ぬシーン」がある映画を紹介させていただく。『クワイエット・プレイス』(2018)だ。

「音を立てたら、即死」という素晴らしくわかりやすいキャッチコピーと思いつき一発ネタみたいな設定で記憶に新しい人も多いだろう。「音を立てたら、超即死」という最高なキャッチコピーをひっさげてパート2も近日公開される。超即死ってなんだよ。

 まずこの映画の設定を簡単に説明しておこう。諸事情で地球では大きな音を立てたら死ぬようになったので人が死にまくってそこかしこ荒廃して廃墟みたいになってるぞ。残された人類は頑張って音を立てずに生活しよう! 頑張るぞ! こういう話だ。

 映画の冒頭。大きな音に怯えながら一家が荒廃した町で物資を探している。もう本当に音が全然しないので自分の耳かスピーカーが壊れてるんじゃないかと不安になるシーンだ。

 家族には小さな子供がいる。音を立てたら即死とはいえ子供だもん。ロケットのおもちゃ、めっちゃ欲しい。でもパパは電池を抜きながら音が鳴るからダメだと言う(手話で)。
 でも優しいお姉ちゃんが「ナイショだぞ」みたいなジェスチャー付きでロケットのおもちゃをこっそりあげちゃう。もちろん電池は抜いたままだけど。

 しかしこの子供は電池をこっそり入れた上に、鳴らす。この映画で最初になるでかい音がこの電子音なのでめちゃめちゃ印象深い。

 メタな話をするとさ、映画の子供ってさ、子供だからって理由でだいたい死なないじゃん。子供って因果応報だいたい適応外じゃん。ゴジラ×メガギラスの子供とか。それは絶対死ぬだろって行動をとっても大抵助かるじゃん。ましてやクワイエット・プレイスは家族モノ。パパが猛ダッシュで止めようとするじゃん。

 もうこの時点で「ハーーまたそのパターンかよどうせ助かるんだろパパは強いねよかったね、それともパパが代わりに犠牲になるのかな」とか思いながら見てたんだよ。

 ちゃんと死ぬんだよ、この子供が。ただそれだけだし、まだ冒頭も冒頭なんだけどこのシーンでめちゃめちゃ感動して完全にこの映画を信頼してしまった。

 たしかに映画でこういう時は大抵子供は死なないかもしれない。

 だがしかし!!

「音を立てたら、即死」のルールの前では老若男女平等!!

 死ぬ!!

 舐めるなよわかったか視聴者ども!!

 殺すぞ!!

 そんな宣言が聞こえるかのような「死ぬシーン」だ。ついでにこのシーンで初めて「音で死ぬ原因」が現れるので「なるほどそういう系の映画な!」と覚悟しながら先を見ることができる。素晴らしいオープニングだ。

『ロボコップ』『クワイエット・プレイス』紹介したどちらの死ぬシーンも作品の中のルールに則っているのがとても気持ちがいい。めちゃめちゃなものの中に垣間見える一本筋が通ったルール。美しいよね。死ぬシーン。

2020年4月7日現在、「ロボコップ」はシリーズ3作品がU-NEXTで見放題。
「クワイエット・プレイス」はAmazonプライム会員見無料視聴可能です。

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