「文藝」秋季号7/7(水)発売
季刊文芸誌「文藝」秋季号は本日7/7発売。
今号の特集は「怨」と題し、尾崎世界観や大前粟生、樋口恭介の創作をはじめとし、ホラーに内在してきたマチズモを解き明かし、デジタル時代の恐怖の在り方を問い直す特集となっている。
また、特別企画『凝視する〈怨〉作品ガイド30』には、以前弊サイトにて掲載され話題となった「TSUTAYAでビデオを借りたら本物(?)の心霊ビデオが紛れ込んでいた話【閲覧注意】」の寄稿者であるふぢのやまいも参加し、鈴木潤、山本浩貴と共に作品紹介を行なっている。
また、昨年上半期の芥川賞を「破局」で受賞した遠野遥による初長編「教育」を掲載。
「文藝」冬季号ではBUCK-TICK櫻井敦司との親子対談も話題になった遠野遥の初長編である「教育」は学園ものであり
超能力の成績向上のため学校が勧める「1日3回以上のオーガズム」を達成すべく鍛錬に励む私。ある日友達以上恋人未満の真夏に彼氏ができて……。
といった内容となっている。
目次
【創作】
遠野遥「教育」(300枚)芥川賞受賞第一作・初長篇
超能力の成績向上のため学校が勧める「1日3回以上のオーガズム」を達成すべく鍛錬に励む私。ある日友達以上恋人未満の真夏に彼氏ができて……。無意識過剰のネオ学園文学。
金原ひとみ「狩りをやめない賢者ども」
「まじ今日秒だったな」友達と一緒に狩りをするように日々の楽しさをむさぼる中学生の玲奈は、緊急事態宣言下で変わりゆく周囲との軋轢から新しい自分の思いを発見し――。
木村紅美「あなたに安全な人」
「互いの気配は、幽霊がいるのかな、くらいに漂わせるのが理想です」過去からの復讐を恐れる女と、過去の加害を繰り返すことを恐れる男が紡ぐ、コロナ時代の新たな関係の物語。
【特集 怨】
〈対談〉
藤野可織×はらだ有彩 「幽霊、なぜ女ばかり」
〈創作〉
大前粟生「窓子」
樋口恭介「@wLYInok5twrnaCq」
尾崎世界観「2・5」
岡田利規「現代語訳 定家」
ジュリア・アームフィールド 小澤英実 訳「コレクタブル」
〈エッセイ〉
桜庭一樹「よきときに伺います」
大森静佳「向こうがわのユトレヒト」
長井短「会いたさひとつで枕元に立つ」
〈論考〉
仲山ひふみ 「「リング三部作」と思弁的ホラーの問い」
〈特別企画〉
鈴木潤+ふぢのやまい+山本浩貴(いぬのせなか座)
「凝視する〈怨〉作品ガイド30 高解像度版2021」
【短期集中連載】
落合恵子 「わたしたち」 【第一回】
わたしたちは、十三歳になる一九五八年の四月に出会った。様々な生い立ちを持つ四人の少女、その関係はずっと続くはずだったが……時代と女性たちを鮮やかに描き出す注目新連載。
【中篇】
王谷晶「この月がお前を照らすと言うのなら」
「やっと出会えた、死ぬほど憎める女に」東京から地元くすみ町へUターンし、カフェをオープン予定の香澄。店舗の裏に暮らす若い女・ルナの、最低最悪の〝町おこし〟に巻き込まれ――。
【短篇】
加納愛子「宵」
【掌篇】
山尾悠子「室内」
【特別論考】
木村朗子「コロナ禍文学概観 ―わたしたちはいま何を経験しているのだろう」
【特別対談】
池澤夏樹×いとうせいこう「福島・水俣・石牟礼道子 ―社会における作家の役割とは」
【連続企画 第4回 韓国・SF・フェミニズム】
〈座談会〉
キム・チョヨプ×シム・ノウル×チョン・ソンラン×ファン・モガ すんみ 訳 「韓国SFの新しい波」
〈短篇〉
チョン・ソンラン すんみ 訳「砂漠へ」
オクテイヴィア・E・バトラー 藤井光 訳「話す音」
【連載】
藤野可織 先輩狩り 【第2回】
若竹千佐子 かっかどるどるどぅ 【第4回】よき人の
絲山秋子 まっとうな人生 【第8回】
町田康 ギケイキ 【第34回】
山本貴光「文芸的事象クロニクル 2021年3月〜5月」
【季評】
山本貴光「文態百版 文章のアノマリー、要約しえないもの 2021年4月~6月」
【書評】
滝口悠生『長い一日』【評】上田岳弘
藤沢周『世阿弥最後の花』【評】いしいしんじ
児玉雨子『誰にも奪われたくない/凸撃』ぱいぱいでか美
五所純子『薬を食う女たち』【評】瀬戸夏子
小山田浩子『小島』【評】堀千晶
金子薫『道化むさぼる揚羽の夢の』【評】高橋啓
山下紘加『エラー』【評】海老原まよい
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