ゴジラが好きだ。子供の頃に初めて連れて行かれた映画館でお姿を拝見して以来お慕い申し上げている。
ゴジラと名のつくキャラクターや映像作品はこれまでたくさん生み出されてきた。東宝の映画だけでも何種類ものゴジラがいるし、更にはトライスター版、レジェンダリー版、ゴジラアイランド(なんかソフビとかを使った番組)、ゴジばん(人形劇)など。ゴジラの歴史には数えられないほどのゴジラがいる。
そんなゴジラの歴史の中ではかなり新しい部類にはいるこのキャラクターを知っているだろうか。
東宝系列の映画館に行くたびに嫌というほど見せられるので、きっと見覚えがあることだと思う。
名前を「ちびゴジラ」という。デザイナーはSuicaのペンギンとかのさかざきちはるさん。
このちびゴジラを最初に映画館で見たとき、正直に言えば俺は「なにがちびゴジラだ」と思ってしまった。本当に申し訳ないが、最初はそう思ってしまった。
だって体は緑だし口周りは白いし頭には謎のイボイボがあるし、とてもキュートではあるが、ゴジラと似ても似つかない。
子供ウケを狙っているのかもしれない。それがまたリトルゴジラのデザインにイラついていた5歳児の頃の俺の記憶を蘇らせた。(今はそんなことないけど5歳の頃の俺はリトルゴジラのデザインにイラついていた)
ちびゴジラが口から火を吐きポップコーンを炙るムービーをみて「仮にもゴジラならお前のその火で炙るのがポップコーンでいいのか。可愛こぶっているがそのポップコーンは放射性ポップコーンなんじゃないのか。それをどうするのだ、お前が食べるのか」と、そんなことを考えていた。
そんなちびゴジラとの出会いからしばらくの月日が経ち、ちびゴジラの存在も映画泥棒や紙兎ロペやスマパ課長、スマパ部長程度に「またこいつか」と思えるようになった頃。それは発表された。
アニメ『ちびゴジラの逆襲』だ。ちびゴジラ同様あんな感じにアレンジされた東宝怪獣がゴジラ以外にもいっぱい出てくる上に、異常に声優が豪華だ。タイトルがいいな。『ゴジラの逆襲』にかかっていて。
なるほどね〜そういうのをやるのね。などと思っていたらある日YouTubeのおすすめ欄に流れてきた。YouTubeで無料配信も行うのか。1話1話が短くて見やすい。(アマプラとかにもあるぞ)
まあそういうことなら、子供向けとはいえ無料のゴジラが差し出されているのなら、ゴジラファンとして見ないわけにはいかない。
…………ねえなんか君、映画館でかわい子ぶってる時と印象違くない? 喋るとそういう感じなの?
気がついたら俺は『ちびゴジラの逆襲』を毎回見るようになっていた。思ったより面白いじゃないの……なんだこれは。オタク大爆笑ギャハハハハハという感じではないけど、時々オタクを「ンフッ」と笑わせてくる感じの温度感だ。子供向けっぽい見た目ではあるし、子供向けの内容と言えなくもないけど、ギャグが時折明らかに俺たちオタクの方に目配せしている。それとも最近の子供のツボがこの辺なのか。
例えばこういうのとか。
すごい、サムネイルの時点でかわい子ぶる気ゼロだ。いや、可愛くはあるのだけど。
他には例えばこのちびアンギラスの登場回を見てほしい。ちびアンギラスが喋るところまででいい。全部見てもいい。
音が……鳴き声が……オタク心くすぐりまくりだ。ちびアンギラスのデザイン可愛いな。
舐めていた……『ちびゴジラの逆襲』意外と面白いじゃないの……。
特にシーズン2に入ってからはオタクくすぐりが加速した。登場怪獣も「ちびガバラ」だの「ちびチタノ」だの、やたらマニアックなキャラクターが増えた。(いや、書きながら気がついたけどシーズン1の時点でちびヘドラやちびビオランテが出ていた。オタクは感覚が麻痺しているけどヘドラやビオランテは立派にマニアック枠の怪獣だ)
さらにネタもオタクオタクしてきた。
ちびメカゴジラがアブソリュート・ゼロを撃ちまくる。オタク心、くすぐりまくりだ。
オタク心くすぐりはアニメ版だけにとどまらない。SNSを見てほしい。
オタク心くすぐりに余念がない。こういう可愛い系の見た目でオタク心くすぐりをされるとオタクだからキャッキャと喜んでしまう。クソ……ちびゴジラめ。ちびゴジラ……俺はもうちびゴジラのことが好きなのかもしれない。
グッズを買うのも時間の問題だ。欲しい、ムービーモンスターのソフビが。欲しい、あのキモ可愛いちびゴジラ第二形態のぬいぐるみが。
もちろんちびゴジラは東宝系列の映画館でかわいこぶったり『ちびゴジラの逆襲』でオタク心をくすぐったりする意外にもかなり活躍している。デザイナーのさかざきちはるさんの手による絵本として真っ当に幼い子供向けにウケていたりする。YouTubeに公式の読み聞かせ動画まである。
……あれ、君やっぱりなんかさっきと違くない? 映画館で愛想を振り撒いているのはこっちのタイプな気がするな。やっぱり『ちびゴジラの逆襲』のあいつとは別個体なんじゃないのか。どうなっているんだおい。コロコロコミックのマリオとゲームのマリオくらい違うぞ。
いやまあ、逆襲のシーズン2はテレビ番コロコロコミックことおはスタでの放送なのでちょうどそういうポジションのものなのかもしれない。
なにより最初に述べたように本家本元のゴジラ自体が見た目も設定も作品ごとにバラバラであることを思えば、ちびゴジラがそうであってもおかしくないな。そう思うことにしよう。
そういうわけでアニメ『ちびゴジラの逆襲』はゴジラオタクが見てみると「ンフッ」と笑えるかもしれない。ちょっと見てみてはどうでしょうか。YouTubeやアマプラで見られるぞ。