あなたの優しさで、救える命(コンテンツ)があります。『KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1-』を観てくれませんか?

ツナ缶食べたい

 例えばあなたが、人の役に立つことをしたい、誰かの助けになりたいと思った時、どんな行動を思いつくだろうか。募金をする?偉い。献血に参加する?素晴らしい。街で困っている人がいたら声をかける?あなたの慈悲はナイチンゲール級だ。

 ではここで、あなたに別の選択肢を提案、いや、懇願したい。今から映画館に行って、1,800円を窓口で支払い、60分ほど椅子に座って、とある映画を観てほしい。そうするだけであなたは幸せになり、その感想をSNSに呟けばたくさんのいいねが通知欄を埋め尽くすはずだ。

 映画を観るだけで自分と世界の両方を幸せにすることができるなんて到底信じられないかも知れないが、騙されたと思って『KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1-』を観てほしい。だって、幸せになりたくない人間など、この世にいるはずがないのだから。

 いきなり宗教の勧誘みたいな文言を読まされ面食らったと思うが、あなたに観てもらいたいのは聖書ではなく『KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1-』であり、意訳としては「あなたも自分の世界を輝かせようよ!」ということを訴えているので、あなたは今心のドアの前で居留守を使いたくなっているかもしれない。ただ、おれもキリストも言っていることにはそれほどの違いはなく、つまりは「信じる者は救われる」ということを説いており、そしてその信じるべき対象は『KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1-』である、ということだ。

 なお、この文章は『KING OF PRISM』のことを全く知らない方々を対象に書いている。「エリート」と呼ばれる本作のファンは、たとえ公開初日に台風が来ようがお構いなく劇場に駆けつけるし、この週末も次の週末も気づけば映画館に足が向いているような“訓練済み“の猛者ばかりなので、この記事を必要としないからだ。

 逆に、「よくわからない感想と夢小説がひっきりなしに流れてくるけど、キンプリって何なんだろう」という方は、どうぞ最後までお付き合いいただいた後、映画を観るという「善行」に励んでほしい。

 そもそも『KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1-』とはなんじゃい、というと、「キンプリ」という言葉をタイムラインで目にしたことはないだろうか。略称が全く同じアイドルグループがおられるので混乱するかもしれないが、こちらはアニメ作品であり、奇しくもアイドルものの側面を持ち合わせている。

 『KING OF PRISM』とは、元は女児向けアニメ『プリティーリズム・レインボーライブ』から派生したスピンオフ作品で……と長々と解説していては本題にたどり着かないので公式サイトの文言をそのまま拝借すると、“プリズムショー。それは歌、ダンス、プリズムジャンプを組み合わせた総合エンタテインメントショー!「KING OF PRISM」とは、そんなプリズムショーに魅了された個性豊かな男の子たちが、観客をもっともトキめかせる“プリズムスタァ”を目指して様々な試練や困難に立ち向かい成長していく物語。”とある。おわかりいただけただろうか。

 プリズムショーとは何か、を言葉で説明するのは、困難を極める。それでもどうにか、無理くりにでも言語化を試みるなら「ダンスとフィギュアスケートが一体化したようなパフォーマンスの総称であり、そのあまりの煌めきによって尻からハチミツが飛び出したり、破壊されたショー会場が再建したりする」だろうか。これはバズ狙いのオタク誇張構文などではなく、本編中に実際に起こったことであり、ただただ事実を列挙しているだけなのだが、なんというか、ライターとしての自分の信頼度が揺らいでしまうのでは、という謎の緊張感がある。それほどの空前絶後な出来事が今、映画館で上映されているのだ。

 現在上映中の『KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1-』は、以前TVアニメとして放送されていた内容からプリズムショーのパフォーマンスを抜粋し、新しいシーンと実況ナレーションを追加して「中継番組」として再構成したものである。感覚としてはオリンピックやワールドカップの中継を観て応援するものに近く、キンプリの“トロ”の部分であるプリズムショーを連続し鑑賞することができる。つまりは、今回の映画は「キンプリとは何か」を最短距離で知ることのできる、入門編として最適の一本ゆえに、こうして一見さん向けのテキストを書かせていただいている。

 オリンピックやワールドカップを観る際は選手の素晴らしいプレイに喝采を送ったり、アーティストやアイドルのライブであればペンライトを振り、声援を送りたくなるものだ。『KING OF PRISM』は今では当たり前となった「応援上映」の人気の火付け役となった作品であり、もちろん今作においても開催されている。応援ではない通常上映もあるため、席を購入する際はお間違いのないよう注意していただきたいが、本作の真髄を知るためにも応援上映の参加をぜひオススメしたい。

 応援上映と言っても、「あれをしなければ」ということはなく、手ぶらでの参加もOK。もしペンライトをお持ちであれば、周りの諸先輩方に色を併せて振るだけでも一体感を味わえるし、最初は恥ずかしいかもしれないが本編中に表示される字幕に沿って台詞を自分たちで実演する「プリズム☆アフレコ」は病みつきになる楽しさを秘めている。守るべきマナーは、プリズムスタァや周りのファンが悲しむようなことは言わないことと、自分が全力で楽しむこと。それさえ守れば、映画館はあなたの心に活力をくれる最高のショーの舞台へと早変わりする。

※応援上映の実際の映像になります。

 最後に、どうしてこんなにも『KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1-』を観てほしいのかと言えば、実はこのシリーズは今、存続の危機に瀕しているからである。どれくらいヤバいのかと言えば、本作の監督が“想いとか意気込みだけで作品は続かないんです。皆さんの力が必要です。どうかよろしくお願いします。”と呼びかけるくらいにヤバい。創造主自ら、映画館に来てくれ、とお願いしてまわるくらい、ピンチなのだ。

 私が今このような文章を書いて、ムービーナーズ様に「載せてください!!」と頼み込んでいるのも、このシリーズを未来に繋げたいという想いがあるからだ。きらびやかなプリズムショーに心震わせ、気が狂うような演出に言葉を失い、それでも最後は生きる希望を与えてくれる。キンプリに救われた、と感じている人は無数にいて、それはあなたの隣人や、SNSでいつも何気ないやり取りをしている見知らぬ誰かかもしれない。

 そんな人たちの希望が無くなってしまわないように、少しだけ、ほんの少しだけの時間とお金を、この『KING OF PRISM』に投じてみてほしい。映画を観て、思ったことを誰かに話してくれるだけでいい。面白かった、わからなかった、好きな曲ができた、等々、素直な気持ちを聞かせてほしい。それだけで、誰かの希望が、明日へ命をつなげられるかもしれないから。

 私からのお願いはただ一つ。『KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1-』を観てください。きっと、あなたの心も前向きになるはずだから。

公式HP:https://kinpri.com/
2024年8月16日(金)より全国の映画館にて公開中!

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