山崎貴映画監督デビュー作『ジュブナイル』/少年達のひと夏の冒険とプレステのコントローラーで操縦するロボット!

現在、神保町シアターにて「『ジュブナイル』 公開20周年&『学校の怪談』 公開25周年記念 夏時間の子供たち」と題し、懐かし名作邦画のリバイバル上映が実施されています。

本日はその中の1本『ジュブナイル』を紹介します。

『ジュブナイル』(2000)

あらすじ

夏休みのキャンプに参加していた坂本祐介、木下岬、大野秀隆、松岡俊也の4人は、夜中にキャンプ場で高性能ロボット・テトラと出会う。近所に住む天才物理学者・神崎も巻き込んで、4人とテトラの忘れられない夏休みが始まる。

監督:山崎貴 
出演:遠藤雄弥、鈴木杏、香取慎吾、酒井美紀、緒川たまき、吉岡秀隆

原案はあの有名な「ドラえもん」の二次創作

ドラえもんの最終回「ドラえもんの開発者はのび太だった」という都市伝説的な設定をどこかで一度は目にしたことがあると思います。
この設定は1990年代終わり頃にかけて出回ったチェーンメールや、そうして出回った内容をタレントがTV番組で語ったことが原因で急速・広範囲に広まった都市伝説ですが、そもそものこの設定はとあるドラえもんファンが、あくまでも「ドラえもんには、藤子F不二雄先生作の最終回がちゃんとある」と明記した上で、自サイト内で公開していた言わばファンアート的二次創作作品でした(後の同人誌騒動と原案者は無関係です)。
映画『ジュブナイル』はこの二次創作「ドラえもん最終回」を原案に制作された作品です。

©2000 Juvenile Project

「ドラえもん」同様、未来から送られてくるロボット「テトラ」

©2000 Juvenile Project

この丸っこくてかわいらしいロボットが、林原めぐみの声で「お世話になります」などと言うものだからとてもかわいいわけですよ…
物語の核になる存在であると同時に、本作のキャッチーなアイコンとしても機能するキャラクターテトラ。
グッズを出してくれ…プラモとか…

ロボットに乗って異星人と闘う、シンプルながら熱い展開

原案とは異なる点として、本作には明確な「敵」が存在し、テトラと少年少女、香取慎吾演じる科学者「神崎」が協力して闘うことになります。

©2000 Juvenile Project

異星人「ボイド人」の目的は「地球の水を海ごと奪うこと」
そんなことされては、人類は絶滅する…といった非常に大きな問題を提起しつつ、子供達には「さらわれた仲間の1人を救いにいく」という比較的小規模な問題が生じ、その解決が結果として地球を救うことに繋がるという、シンプルながら熱い展開によって子供達を軸にした物語を成立させています。

異星人とはロボット「ガンゲリオン」に搭乗して闘うことになります。

©2000 Juvenile Project

このロボット、プレステのコントローラーで操縦するのですが、実際のロボット登場前にテトラが主人公、祐介に操縦シミュレーターをPS2のゲームとして提供することで訓練させるというシーンがあり、この一連のシークエンスが、無理なく「子供が主人公になる」展開をうまく描けていて素晴らしいなぁと今観ても感心します。

©2000 Juvenile Project

2000年の夏の匂いと山下達郎

今から20年前、2000年ならではの描写として、PCが現代のように普及しておらず、インターネットで情報を集めたいテトラに対して、PCを持っていないために代用品としてゲーム機「PS2」を用いてネット接続しようとする描写があり、その流れが元になり本作における「頼れる大人」のポジション「神崎」と子供達の交流が始まります。
プロモーションの一環とも言える香取慎吾の出演ですが、「変人と噂される少し怪しい若い科学者」の神崎役がとてもハマっているのも本作の見所の一つです。
天才物理学者であだ名は「ジニアス」という神崎、最近似てるの見たような気がするキャラクター同様素敵なキャラクターに仕上がっています。

また、本作の主題歌「JUVENILEのテーマ〜瞳の中のRAINBOW〜」を担当したのは山下達郎ですが、山下達郎の「アトムの子」も挿入歌として使用されており…

どんなに 大きくなっても
心は夢見る子供さ

山下達郎/アトムの子より

歌詞の内容を考えると、子供目線ではなく「大人に成長した」者の目線なんですよね…
山下達郎と言えば「僕らの夏の夢」も『サマーウォーズ 』の主題歌として印象的ですが、山下達郎の夏曲ってズルいですよね…
少年少女のひと夏の冒険、初恋、そうしたものに対する渇望や葛藤、手が届かないジレンマ…そんな中で今自分ができることはなんだろうか?まだ俺たちは夢見て成長していけるんじゃないか?
大人になって辛いこともめちゃめちゃたくさんあるけど、太陽の熱さや月の美しさは変わらないんじゃないか?
俺はまだ生きてるぞ!もっと熱く全力で生きるんだ…!
昨日、20年振りに本作を観て、そんなことをずっと考えながら本稿を執筆しています。
2000年当時、子供の目線で本作を鑑賞し、今大人になった方が観返すと新たな発見があると思うのでぜひご鑑賞ください…!

余談ですが、テトラの声を担当した声優、林原めぐみが俳優としても出演しているのもなかなか珍しく、貴重なシーンなのでぜひ注意深く鑑賞していただければ幸いです。

©2000 Juvenile Project
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