『学校の怪談』/1990年代オカルトブームが産んだ傑作ジュブナイルムービー

2020年7月4日(土)より神保町シアターにて「『ジュブナイル』 公開20周年&『学校の怪談』 公開25周年記念 夏時間の子供たち」と題し、懐かし名作邦画のリバイバル上映が開始しました。

本日はその中の1本『学校の怪談』を紹介します。

『学校の怪談』(1995)

あらすじ

夏休み前の最後の一夜。取り壊しが決定して立入禁止となっている木造の旧校舎に閉じ込められた少年・少女たち。彼らはそこでかねてから出ると噂されていたお化けたちと遭遇し恐怖体験をするのだった…。

 監督:平山秀幸
 出演者:佐藤正宏 野村宏伸 余貴美子 笹野高史 杉山亜矢子
収録時間:100分

名作連発!平成オカルトブームに湧いた日本

ノストラダムスの大予言を筆頭に1990年代後半、日本はオカルトブームに湧いていました。
夏に限らず、TVでは心霊や宇宙人を扱う内容の番組が目白押しで、名作アドベンチャーゲーム『トワイライトシンドローム』の系譜であり未だに高額で取引されるレアゲー『夕闇通り探検隊』のヒットや、「なんだってー!!」でお馴染み『MMR マガジンミステリー調査班』の連載開始もこの時期。

『夕闇通り探検隊』も含め、学校や子どもを題材にした作品も多く、週刊少年ジャンプで連載された『地獄先生ぬ〜べ〜』や週刊少年チャンピオンで連載された『学校怪談』などのメジャーな漫画作品をはじめ、常軌を逸したテキスト量のオーパーツ的傑作サウンドノベル『学校であった怖い話』や、2008年には漫画化も果たした、根強いファンが存在する小説『地獄堂霊界通信』など様々な媒体で、学校(子ども)×オカルトを題材にした名作が生まれました。

その中の一つ、常光徹の小説『学校の怪談』(講談社)をベースにして、同名のアニメ、映画、TVドラマが制作されました。

内容は全く別物ですが、何故かパンツに情熱を注いでいることで有名な同名のアニメ作品と同じ原作から、一連のメディアミックス展開で制作されたのが実写映画『学校の怪談』です。

余談ですが、コミカルでキャッチーな作風のアニメや映画とは異なり、TVドラマ版は『呪怨』の清水 崇や『クリーピー 偽りの隣人』の黒沢 清も制作に参加しており非常にホラー度高めに仕上がっております。
特に『学校の怪談 春の呪いスペシャル』(2000)はシリーズ最怖と名高く、幼少期に非常に衝撃を受けた筆者は今でも恐れています。興味のある方はぜひご鑑賞ください…

特撮で表現されるコミカルなオバケ、一夏の甘酸っぱい青春と子どもの成長

学校を舞台にしたホラー作品群でよく使われる舞台「旧校舎」、そんな旧校舎に立ち入ったことがきっかけで旧校舎内に広がる異世界に迷い込んでしまう小学生の男女5人の冒険が実写映画版『学校の怪談』の主軸となります。
旧校舎からの脱出を目指し奮闘する小学生たち、彼らの前に現れるのは噂で耳にしていたオバケ。
そんなオバケたちの中でも、特に印象的なのは「テケテケ」で、下半身が無い姿で描かれることの多い妖怪ですが、本作では脚があり、コミカルな動きと表情で子どもたちを追いかけ回す…このテケテケは人形を用いた特撮で表現されており、非CG特有の生々しさと不気味さ、愛嬌を備えています。

©︎1995 TOHO CO., LTD.

2019年11月に開かれた東京コミコンでは実際に撮影に使用されたテケテケが展示され話題になりました。

コミカル要員であるテケテケとは対象的に本作のホラー要員代表「インフェルノ」や、めちゃくちゃリアルな臓器を持った「人体模型」なども特撮特有の生々しさがあって今見ても怖さを感じます。

©︎1995 TOHO CO., LTD.

本作は、ホラーを題材にしているものの、メインテーマは「子どもたちの成長」にあります。
転校し、クラスに馴染めない亜樹や、不登校の兄弟を案じる均、父親の不在等が原因で情緒が不安定な研輔など、それぞれが悩みを抱えており、旧校舎での冒険を通じてそれぞれの悩みと向き合いつつ乗り越えていく姿には大人になって見返しても胸打たれるものがあります。
道中の子ども同士の掛け合いも非常に微笑ましく、特に上級生の香織に一目惚れした将太の言動は俺たちが失ってしまったあの頃を思い出させてくれる素晴らしさがあります…

©︎1995 TOHO CO., LTD.

「苺牛乳とコーヒー牛乳…どっちが好き?俺、苺牛乳。フルーツ牛乳も好きだけど…ねぇ、教えてよ。今度奢るからさ。俺、貯金してんだ、貯金好き?」

『学校の怪談』将太の台詞より引用

香織を演じた岡本綾の雰囲気が神がっているのも本作の大きな魅力で、他の子ども達より上級生で、子どもでありながら大人っぽさを纏う香織に当時劇場で鑑賞した全国のキッズたちもガチ惚れしたことでしょう(僕はしました)。

©︎1995 TOHO CO., LTD.

ジュブナイル作品で本作同様に夏をフィーチャーした『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』(1995)で大人っぽい雰囲気を纏った少女「なずな」を演じた、当時の奥菜恵も端的に言って「神」でしたが、本作の岡本綾もなずなに匹敵するほどの言葉にできないほど素晴らしい雰囲気を見せてくれるのでぜひご鑑賞ください。

子どもたちの成長や淡い恋愛模様を「学校の怪談」をベースに描いた傑作和製ホラージュブナイル作品『学校の怪談』、公開当時登場人物と同じ子どもの目線で観た方に、大人になった今でこそぜひ観ていただきたい1本です!

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