どうもみなさんこんにちは。えのきです。
世間では90年の一度の祝祭を舞台にした映画、ミッドサマーが話題ですが僕のタイムラインでは24時間サメ映画をぶっ通しで見るという奇祭というか奇行が数ヶ月に一度くり広げられています。みなさんは奇祭していますか? 一人で奇祭をすると現代社会を生き抜くストレス発散になっていいと思います。さぁ、あなたも!
さて、今回取り上げるサメ映画は2017年DVD発売の『シン・ジョーズ』です。タイトルで察した方は鋭い、こちらは庵野監督の『シン・ゴジラ』人気にかこつけて「何かシン・なんとかってのが流行っているんだな! じゃあサメで出すぜ!」と全然関係ないサメ映画に邦題をつけた面の皮が厚い※モックバスターです。
※有名な作品に便乗して紛らわしいタイトル、テーマなどで作られた映画のこと。要はパチもん。
吹き替えも「よーしっオマージュしちゃうぞ!」と薬でもキメていたのか「俺は好きにした。君も好きにしろ」とほとんど脈絡なく台詞を突っ込んできたりします。もちろんそんな台詞、字幕ではありません。
あらすじはゴジラ要素をギリギリ……ギリギリ押さえています。
核実験という共通項で「うーん、これはゴジラ!」と結びつける力技。ちなみにこの作品、原題は『Atomic shark』、シン・ゴジラ関係ない!
ですが、この作品を今回取り上げたのはゴジラとの比較でツッコミを入れるためではありません。
僕が主張したいことはシンプルです。
シン・ジョーズはこれだけで面白い!
この作品、モックバスターとしてだけ周知されていることが口惜しいくらいです。シン・ゴジラがある種の徹底的なシミュレーションであったり、最適解を打ち続ける小気味良さだったり、終盤の怒涛のトンチキ大作戦に楽しみを見出すもの、といった魅力を持つのならば、シン・ジョーズはそれとは全く別軸のおもてなし精神にあふれたサメ映画だからです。
シン・ジョーズの魅力は何か? それは多彩さです。
サメ映画には時としてマンネリ感が訪れます。それはサメの攻撃方法です。サメがサメであるが故に、口を広げ噛み付くというシンプルな攻撃ばかりが繰り返しされ、サメに何かの要素を掛け合わせても中々脱却できない呪いとなっています。
しかし、シン・ジョーズは違う。なんといっても核に汚染されているのです。核に汚染されたサメが人に近づくとどうなるか?
もちろん人は炎上し、爆発します。
核に汚染されたサメは全てを燃やし尽くす! というガバガバ解釈ですがその思い切りが面白い。これにより単調になりがちな「噛み付くだけ」という方法以外の攻撃が確立されます。
シン・ジョーズによる被害は色々です。純粋な噛みつき、パラセーリング中に燃え上がり海の上なのに焼死、サメが近づいたことにより体が内側から爆発して死亡、果てはサメにより汚染された海の魚を食べたら大爆発して炎上して死亡です。絶対魚食いたくねえ。
魚を食べて大爆発、それを見たとき僕は感動しました。
——これがサメ映画の新境地だ、と。
作中の要素も多彩です。近年のガジェット、ネット情勢をポンポン突っ込んでいきます。
登場人物は、海洋学を研究する学生ライフセーバー、ドローンの扱いに長けた同僚ライフセーバー、ドローンで海水浴客を盗撮していた男、youtuberカップル、主人公の父親というよくわからないメンツ。シン・ジョーズ、モブの一人にはSNSに自撮りをアップしている人もいたりします。
しかし中々一人一人愛嬌があるバカで気がつくと好感を持ってしまいます。サメとの決戦時でも「もう視聴者230万人以上いる!」なんて言ったりするYoutuberがいたりします。お前、本物だよ。
多彩な要素により単調になることを防ぎながら、シナリオ運びがわかりやすいのもまた魅力です。
前半はシン・ジョーズによる多彩な殺害方法で惨殺、爆殺されていくモブを見ながら、後半は主人公たちとシン・ジョーズの決戦が描かれます。
一人、また一人、途中で内ゲバをやったりしながら、多くの仲間を失った主人公たちとシン・ジョーズの最終決戦。
それは悲壮な覚悟を持って臨む決戦です。異様に壮大なBGMが流れ、主人公がシン・ジョーズへと立ち向かう瞬間、この映画はただのバカ映画ではなくなります。それはある人間が人間の業より生まれた強大な敵へと戦いを挑む、英雄譚……
最終決戦の壮大さは是非、その目で見て欲しい。そんなサメ映画です。
タイトルのインパクトで本編の魅力がイマイチ周知されていない印象のサメ映画、シン・ジョーズ。怒涛の展開が繰り広げられるこのサメ映画を見てみるのはどうでしょう? それではまた次回!
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