今更だけどアレ見よう『宇宙戦争』/ミラナ・ラヴィーナ

  • 2023年11月10日
  • SF
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ミラナ・ラヴィーナ

こんにちは!映画好きVtuberのミラナ・ラヴィーナです!

本日も観る機会を逃していた名作映画の感想を書いてまいります。
今回のタイトルは『宇宙戦争(05)』です!

トム・クルーズ映画としての本作

突然ですが皆さま、トム・クルーズのことは好きですか?
トム・クルーズ、現在の日本でハリウッドスターといえば多くの人が一番に名前を挙げる俳優であることは間違いないものの、意外とトム・クルーズの映画って観てなくないですか?と思うのです。

かくいうわたしは『ミッション:インポッシブル』シリーズは全部観たし、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア(94)』は結構好きですが、『トップガン』2作はそこまでハマらず、『ラストサムライ(03)』はかなり記憶がおぼろげ……とそんな程度で、観るべきトム・クルーズ映画って実は結構観れてないな~というのは時折思うことがありました。

そんな中、じゃあこの企画で取り上げるのにうってつけじゃん!ということで『宇宙戦争(05)』を選んでみたというわけなのです。
結局、本当に観るべきトム・クルーズ映画だったのか?他にもあるのでは?というのは置いておいて、観た結果めちゃくちゃ好きだったことは確かです!

なぜなら絶望感がすさまじいから!
今作は「謎の地球外生命体たちの圧倒的な技術力で地球がめちゃくちゃにされていく」というのがざっくりしたあらすじです。もうそれだけでもかなり落ち込むのは想像がつくのですが、その絶望展開の演出もとにかく上手くて(この辺りはさすがスピルバーグ監督)、ヘタに幼少期に観たら生涯引きずるトラウマになるような描写のオンパレードでした!大好きすぎ!

とにかく良すぎる絶望の表現

『宇宙戦争(05)』の良いところは絶望感!ということで、今回も好きだったシーンや演出など大喜びで語らせていただきます。

まず宇宙からやってきた侵略者たちの乗り物トライポッドくん!
すっげ~長い3本の脚の上に乗っかったひし形っぽい胴体から王蟲みたいなヒョロヒョロのほっそい触手が生えていて……とにかくデザインがいいですよね。オタクはみんなこのトライポッドが大好きなことでしょう。

しかもトライポッドくんはただバカでかいだけではなくバリアがある!攻撃が効かないので米軍もお手上げ!
とにかく倒すビジョンが見えないというのは絶望の基本ですね。

そしてトライポッドくんから放たれる宇宙最新技術による人間一瞬灰化システム!トライポッドくん、なんと攻防どちらも最強の構え!

この”人間がビーム一発で瞬時に灰になる”シーンが本当に良かったですね!
普通に生きていたら考えもしないような出来事が起きること、そしてそれが起きた瞬間集まっていた人間たちが蜘蛛の子を散らすように逃げ去る緊迫感、ビデオカメラのモニター越しに人間たちが消えていく様子が映される印象的な演出、すべてが完璧で震えあがりました。

それはそれとしてなぜか大阪ではこのトライポッドくんを何体か倒したらしいのですが……ど、どのようにして……?

その他、川で死体がいっぱい流れてくるシーンや、車に乗っていたら暴動に襲われるシーン、人間の血が宇宙植物を育てる肥料としてシャワーみたいに撒かれているシーンなど、本当に忘れることのできない強烈なシーンのオンパレード。

そしてオチにそんなにカタルシスが無いところもイヤ~な感じで良いですね。
なんかよく分かんないけど終わったらしい……みたいなモヤっとした終わり方は賛否があったようですが、このすっきりしなさが最後まで引っかかる感じ含め、わたしはかなり好きでした!

英雄じゃないトムという新鮮さ

トム・クルーズといえば、キラキラしていてちょい優男風だけど強くてかっこよいヒーロー、そんなイメージってさほど間違っていないと思うんです。(あんまり色んな作品を観ていないからこその固定概念な気もしますが)

しかし!本作のおトムさまは……普通の父親!人間的にもあんまり良い人じゃない!
タイトルから勝手におトムさまのキャラクターがゴリゴリに戦って一般市民を守るみたいな話なのかなあ~とか思っていたのですが、強大な敵になすすべもなく翻弄され、最後までほとんどいいとこなしなキャラクターなのです。
この配役には良い方向に期待を裏切られました!

そして、このしょうもなお父さんが息子と娘を守るために徐々に父性に目覚め、自分の腕の中にいる存在だけは命を懸けて守ろうと変わっていくという、地に足のついた英雄性が描かれているところが非常に良かったです。

それにしても別居中とはいえ実の子どものアレルギーも把握していないというのは彼がどれだけろくでもない父親だったか一瞬で分かるエピソードすぎてめちゃくちゃキレがいいですよね。
そのあと八つ当たりでピーナッツバターサンドを窓に叩きつけるシーン、何だこのシュールな面白さは……と思いつつ、どうしたらいいか分からない切羽詰まった焦燥感や何も上手くいかない悲哀みたいなものも感じられてすごく良いシーンだと思いました。

こじつけで男と男の話をします

このシリーズの記事を読んで下さっている方はご存知かもしれませんが、作品中での男性キャラクター2人の関係性に萌えを感じがちなわたしですが、今作は……無かった!男と男が!
これには本当に残念な気持ちと、スピルバーグ監督って映画はめちゃくちゃうまいけど性別問わずキャラクター同士の関係性を掘り下げるのがあんまり上手くない印象があるので(個人の感想です)まあそうだろうな……という気持ちがありますね。

ですが1点だけ、本当にこじつけとして、見出したところがあります。
この映画、キャラクターとして出演はしていないもののモーガン・フリーマンがナレーターをやっているんですね。
そして、中盤以降に登場してひとつ大きな山場を担うことになる救急車の運転士役を演じているのがティム・ロビンス。
このふたり……以前「過去イチ気持ちのいい男と男映画」として記事を書いた『ショーシャンクの空に(94)』のメイン2人なわけなんですよね。
いやそれがどうした?

最後の最後で男と男欲しさにややお見苦しいところをお見せしてしまいましたが……ドギツい絶望描写がクセになる、大変好みな映画でした!
次回はベンアフ映画ふたたび!『アルゴ(12)』を予定しています!

宇宙戦争作品情報

H.G.ウェルズの古典的SFスリラーの現代バージョンである本作は、人類の未来を懸けたケタはずれの闘いを、あるアメリカ人家族の目を通して描く。行く手にある物全てを殲滅する異星人の殺人マシーン“トライボット”の大群から逃れ、レイ・フェリアー(クルーズ)は家族と共に安全な場所への逃避行を試みる。
(amazonより引用)

原題:War of the Worlds
製作年:2005年
上映時間:116分
監督:スティーヴン・スピルバーグ
キャスト:トム・クルーズ, ダコタ・ファニング, ジャスティン・チ

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