好き好き死ぬシーン『13日の金曜日シリーズ』映画の死亡シーン特集④

　人死にシーンのコラムを書くうえで絶対に外せない題材がある。これを書かないわけにはいかねえ。殺人鬼モノの話だ。最高だよな、殺人鬼映画。殺人鬼映画は見所が全部殺人鬼が人を殺すシーンと決まっている。正しく人死にシーンを大喜びで見て良いジャンルだ。

　さて、殺人鬼といえば誰を思い浮かべるだろうか。人それぞれ推しの殺人鬼がいるだろうが一番メジャーなのはやっぱりあいつだろう。映画を見たことなくてもみんななんか知ってる抜群の知名度。ホッケーマスクの大男というキャッチーなビジュアル。『13日の金曜日』シリーズのジェイソン・ボーヒーズさんだろう。

　「1作目は母親が殺人鬼、ホッケーマスクは3作目から、チェンソーは使ったことない」
　今のは13日の金曜日及びジェイソンさんの話をする前のノルマみたいなものだ。うるせえぞ。ジェイソンさんだって手元にチェンソーあればチェンソー使うわ多分。サウナ石だって使うんだぞ。

　きっと皆さんも修学旅行の布団の中で「ねえ、13日の金曜日シリーズどれが好き？」「どのジェイソンさんがかっこいいと思う？」「好きな殺人シーンは？」みたいな話をドキドキしながらした経験がおありだと思う。俺はそんな経験ないけど、他の部屋ではきっとそんな感じだったんだろうと思ってる。良いなあ青春。

　青春を取り返すために今ここでその話をするけど、ねえみんなはシリーズどれが好き？　3作目？　怖さでいうと1作目が一番怖いよな。でも俺は『ジェイソンX』が1番好きだよ。イロモノなのは認めるけど。

　一見奇抜に見えるけどその骨組みは王道って一番面白いと思うんだよ。ジェイソンXはまさにこれだ。だって宇宙だぜ。宇宙船という密室+王道殺人鬼だもの。
　アホ学生をサクサク殺すいつものノルマを達成しつつジェイソンさん対アンドロイドとかメタルジェイソンさんとかSFならではの面白要素も入れて完璧なんだよ。最高だよなジェイソンX。どれから見るか迷ってるならこれから見ても良いよ。正気だよ俺は。
　ジェイソンXで好きな殺人シーンは顔面を液体窒素につけたあと粉々に砕く理科の実験みたいなやつだよ。

　でさ、どのジェイソンさんが好き？　2のずた袋かぶってるやつ？　Xのメタルジェイソンさん？　やっぱ3？　俺はPart7のジェイソンさんが好きだよ。

　Part7ジェイソンさんは6で湖に沈められたあとずっと水中にいたからまあまあ腐ってゾンビみたいに骨とかがチラチラ見えてるのとか、沈められた時の鎖がついたままになってるのとかめちゃめちゃセクシーでかっこいい。ボロボロ感がかっこいいんだよPart7ジェイソンさん。殺人に刈払機を使ったりするのも茶目っ気がある。
　Part7、サイキック少女VSジェイソンさんとかなり異色のバトルものでもあるからオススメだぞ。

　じゃあさ、シリーズの殺人シーンでどれが一番好き？　これは悩むな。さっきも言ったXの液体窒素とかPart7の刈払機もかなり好きではあるんだけど。あとだいたいどれにもあるお色気シーンからの殺人もいいよな。でもやっぱりPart8のアレだな。ギターのやつだな。

　Part8、ジェイソンN.Y.へという副題の時点でもう面白いよね(宇宙には負けるかもしれないけど)。ニューヨーク行きの船の中とか、やたら治安が悪いニューヨークとか、人工物に囲まれてるジェイソンさんが新鮮で結構好き。

　で、ギターだよ。見たことない人は「何？　ギター？　ジェイソンさんがギターで人を殺すの？」と思っていることだと思う。その通りだ。
　ニューヨーク行きの船内。「映える」という理由で船の機関室でギターを弾いている一般乗客ロック女。なんて迷惑な乗客だ。
　ギターの音色に誘われてやってくるジェイソンさん。このトコトコ階段を降りてくるシーンはちょっと可愛い。気がついて逃げるロック女。

　なんかいつの間にか一瞬で先回りしたジェイソンさんがギターでボコォーーーーー！！

　と、かなりシンプルな殺人シーンではあるんだけど、機関室という無機質なシチュエーションのカッコよさ。あるものはなんでも使うジェイソンさんの器用さとギターという得物のバカさロックさ。ジェイソンさんの無茶苦茶な先回りの理不尽さ。そして犠牲者のキャラクターのインパクトとかなり印象的で好きな殺人シーンだ。

　13日の金曜日シリーズ、後の作品になるほど殺人鬼の恐怖よりもトンチキおもしろ殺人ショー要素が目立っていくのだが、それはそれで超楽しいぞ。

　ほぼ全ての作品が「殺人鬼がアホな若者を殺してまわる」という似たようなストーリーではあるのだが、だからこそのお約束(例:おっぱいが出てきたら誰か死ぬ等)が楽しいし、それぞれの趣向を凝らした殺人シチュエーションが輝くというもの。
「殺人鬼！　ひー！　怖い！」と思いながら見ていたはずが、シリーズを追うごとにいつの間にか「ヨッ！　ジェイソンさん！　待ってました！」と変化している自分に気がつくはずだ。

　様式美、伝統芸の世界にも通じるところがある(気がする)13日の金曜日シリーズ。ぜひ見ようぜ。もう見てるならもう一回見よう。

　とりあえずはフレディVSジェイソンから！！(紹介記事)