15周年記念で『劇場版天元突破グレンラガン』リバイバル上映!今振り返るグレンラガンの存在の強大さとは?

ネジムラ89

もう15年という月日が経ってしまったのか……!
TVアニメ『天元突破グレンラガン』の放送後に制作された『劇場版天元突破グレンラガン紅蓮篇』の公開から今年15年という節目を迎えました。それに伴い2023年8月25日から『劇場版天元突破グレンラガン紅蓮篇』のリバイバル上映がスタート。9月22日からは後編にあたる『劇場版天元突破グレンラガン螺巌篇』の上映が予定されており、10月からはそれぞれの4DX&MX4Dの上映も控えています。

15年という月日を経た今、改めて『天元突破グレンラガン』という作品の偉大さを痛感します。

一言で言って『天元突破グレンラガン』とはなんだったのか?

『天元突破グレンラガン』という作品の大きさは今、こうして15年という年月が経った今でも、続編シリーズが製作されたわけでもないのに、度々その名前を見かけることからもその存在の大きさが分かります。『天元突破グレンラガン』とはどんな作品だったのでしょうか。

端的に言えば“時代の流れに外れた、最後の熱血ロボットアニメ”と言うのか、当時でもその作品は異質なものでした。

『天元突破グレンラガン』が放送された00年代に登場した近年も活躍するロボットアニメと言えば『コードギアス 反逆のルルーシュ』『交響詩篇エウレカセブン』といった作品がありますが、これらの作品からも分かるようにどちらかと言えばシリアスな内容の作品が多く登場した時期でした。

そんな中、それらの作品とは一線を画す泥臭さや口上を叫んで戦う戦闘スタイル、そして敵キャラクターを次々と仲間にしていきスケールアップしていく物語は当時としても異色の内容で、“熱血アニメ”とはなんたるかを21世紀に示してくれる存在だったように思います。

巨大ロボットとしての極地を見せてくれたグレンラガン

『天元突破グレンラガン』は少年漫画のようなスケールアップの仕方も特徴的な作品でした。立ちふさがる障壁や敵を葛藤や克服を経て撃破。その末にまた新たな壁が登場し、それに一度は足を止めながらも、再び乗り越えていく。その過程で、かつては敵だったキャラクターが仲間になっていき、味方としてもマシンとしても回を追うごとにスケールが大きくなっていく様子は『ドラゴンボール』などを代表する少年漫画の型を真っ向からアニメにも盛り込んだ作品となっていました。
逆にここまでこのスタイルを明快に作品に盛り込む作品も珍しく、その色合いのはっきりした様子からも「こういうのが好き」と支持しやすくさせたのかもしれません。

また『天元突破グレンラガン』の恐ろしいところはオマージュとしてはっきり盛り込む分、盛り込み方が過剰なところにあります。

物語が進むごとに巨大化していくロボットの戦いは、シリーズの完結を迎える『劇場版グレンラガン 螺巌篇』のクライマックスの頃には巨大ロボットアニメ史上最大と言えるスケールにまで達します。最終形態となる“超天元突破グレンラガン”は現在観測できる宇宙よりも大きなサイズという狂気的なサイズ感にまで大きくさせてしまいます。この極端さぶりから結果的に今なおこのスケールを超える作品は登場しておらず、作品の唯一無二ぶりに拍車をかけました。

『天元突破グレンラガン』はいかにして生まれたのか

そんな『天元突破グレンラガン』はどう生まれていったのでしょうか。本作を制作したのはアニメーション制作会社・ガイナックス。ガイナックスがアニメーション制作をしていた最後の時期を担った大作となりました。

『天元突破グレンラガン』の制作陣を見ると、知っている人が見れば今でこそアニメーション制作会社TRIGGERのメンバーが名を連ねていることがわかるわけですが、放送当時はまだTRIGGER設立前。会社自体が存在していませんでした。TRIGGERの主要製作陣がまだガイナックスに所属していた頃のアニメーションが『天元突破グレンラガン』だったわけです。

ガイナックスといえば、『新世紀エヴァンゲリオン』を制作したアニメーション制作会社。今でこそアニメーションの制作からは手を引いてしまっているので、最近ではガイナックスの名前を見ることは以前より少なくなりましたが、00年代末まではガイナックスもアニメーションの制作をしていました。『天元突破グレンラガン』はまさにガイナックスのアニメーション制作の最後の時期に名を連ねた作品だったわけです。

そんなガイナックスにとってオリジナルのロボットもののTVシリーズを制作するのは実は『新世紀エヴァンゲリオン』ぶり。かなり久しぶりのロボット作品の立ち上げだったのですが、この時期は同じくガイナックス単独企画『トップをねらえ2!』も制作している最中だったこともあり、制作チームをいやが応にも分けざるを得なくなり、若いスタッフを中心とした限られた人材で制作されたのが『天元突破グレンラガン』だったわけです

日本のアニメーション史に名を残す『新世紀エヴァンゲリオン』という前例が存在するガインナックスで、新たなロボットアニメを制作するというのはかなりプレッシャーもあったのではないかと思うのですが、制作体制の逆境がある中でその前例ともまたスタイルの異なるロボットアニメを生み出せたこともまた見事と言えるでしょう。

TRIGGERという作風の確立

ガイナックスの作品ではありながら、結果的に今となってはアニメーション制作会社TRIGGERの作品の作風を印象付ける作品となったことは、今振り返るとより一層感じられる部分です。

株式会社TRIGGERが設立されたのは2011年。『天元突破グレンラガン』の今石洋之監督も設立に名を連ね、『天元突破グレンラガン』の制作チームが最初に手がけたアニメシリーズが『キルラキル』でした。本作ではシリーズ構成や脚本に中島かずき氏が再び名を連ね、『天元突破グレンラガン』のテンションを引き継ぎながらもロボット物ともまた異なるアクション作品を仕上げました。

『キルラキル』の他、『リトルウィッチアカデミア』や『SSSS.GRIDMAN』などのヒット作を生み出し、制作会社のブランドを確立した頃、『天元突破グレンラガン』と再び近しい布陣で新たなロボットアニメを生み出したのが2019年。『プロメア』が劇場公開の長編作品として登場します

『プロメア』はTVシリーズからの続編ではなく、劇場公開作品を単発で制作するという挑戦的な企画でした。そんなオリジナル作品でありながら興行収入は15億円にも及び、公開から数年経過した現在もタイアップ企画などが実施されるほどの作品となりました。

制作の生まれこそガイナックスではありつつも、結果として後の制作作品にその血を色濃く残すTRIGGERを表す作品となっているのも面白い部分です。

グレンラガンの生んだ波はこれからも広がっていく

そんなTRIGGERの今石洋之監督が2022年に発表した『サイバーパンクエッジランナーズ』は、Netflix向けの配信作でありながらも、別プラットフォームが開催するクランチロール・アニメアワード2023でもアニメ・オブ・ザ・イヤーという大賞を受賞したことでも話題となりました。

今やすっかり日本だけでなく海外でも知られる存在となったアニメーション制作会社TRIGGER。『天元突破グレンラガン』を振り返るということは、そのままTRGGERのスタートを振り返るようなものでもあります。

作中の物語のようにどんどんスケールアップしていく『天元突破グレンラガン』が起こした波はまだまだ拡大して広がっていっています。TRIGGERをはじめとした制作陣の今後の活躍も大いに期待できるとともに、今後もクラシックとして『天元突破グレンラガン』は度々振り返っておきたい特異点として評価されていくのでしょう。

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