『別冊オリンピア・キュクロス』クレイアニメ×紙芝居×実写 新感覚の古代ギリシャアニメとは

『別冊オリンピア・キュクロス』とは

『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリが、現在グランドジャンプにて連載中の『オリンピア・キュクロス』。
古代ギリシャ人の壺絵師が東京オリンピックの開催に沸く1964年の東京にタイムスリップし、そこで得た知識で成長していくというコメディ作品で、「風呂」を軸にしたタイムスリップものの『テルマエ・ロマエ』のオリンピック版のような作品だが、オリンピックのみならず、主人公が壺絵師という設定を生かし、手塚治虫との出会いがもたらす主人公の絵師として成長や、古代ギリシャに与える影響などのエピソードも描かれ人気を博している。
その『オリンピア・キュクロス』を原作に、アニメ作品として制作された『別冊オリンピア・キュクロス』が今年4月より放送開始し、先日最終回を迎え完結した。

壺絵師の主人公がタイムスリップし、学んだことを持ち帰り元の時代で役立てるという基本の構図は同じものの、大胆なアレンジが施され、コメディ色が非常に強い作品に仕上がっている。

古代ギリシャパートに登場するキャラクターは石膏像のようなクレイアニメーションで表現され

近代日本パートに登場するキャラクターは紙芝居のような立体感のないアニメーションで表現される。

©︎2020 『別冊オリンピア・キュクロス』制作委員会

1話あたり4分程度で、怒涛のスピードで話が展開するうえに、こうした斬新な表現で描かれるため、非常にインパクトが強く圧倒される。

©︎2020 『別冊オリンピア・キュクロス』制作委員会

さらに、全24話にそれぞれサブタイトルと同名のEDテーマが用意されており、本編以上に混沌とした映像で古代ギリシャのことを少し学ぶことができる。

ED含めて4分程度をジェットコースターのように駆け抜ける新感覚の映像体験ができる本作、オススメです。

監督・脚本・アニメーション制作は藤井亮が担当

原作にケレン味溢れるアレンジを加え、やりたい放題の混沌とした本作を監督したのは藤井亮氏。

数年前に大きな話題となった、滋賀県『石田三成CM』を制作した人と言えば、『別冊オリンピア・キュクロス』の仕上がりも納得できるだろう。

『石田三成CM』にも共通するが、史実を現代的な感覚でポップに表現する手法が見事で、『別冊オリンピア・キュクロス』においても、古代ギリシャにおける現代の倫理観に反するような内容もコメディとして昇華しており素直に笑える内容になっている。

また、三戸なつめ『前髪切りすぎたMV~落書き篇~』を手がけたのも藤井亮氏であり、4分程度の尺の中で物語が急転回していく様は『別冊オリンピア・キュクロス』にも見られ、彼の持ち味として生かされている。

ゾンビ映画のような内容のMVも制作されており、映画制作への意欲も見せている藤井監督。
藤井監督によるインチキ空手アクション映画はかなり観てみたい…

『別冊オリンピア・キュクロス』は、Amazon Primeビデオをはじめ、NETFLIX等多くのVODサービスにて配信中のため、ぜひ鬼才藤井亮の作り上げる世界観に浸ってみてはいかがだろうか。

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