お願いしますからスーパー大おもしろ映画『マスターズ・オブ・ユニバース』を見てください

ナ月

 お願いします!!!!

 どうか!!

 どうか『マスターズ・オブ・ユニバース』を見てください!!!!

 頼むから『マスターズ・オブ・ユニバース』を見てください!!!!

予告編より ©︎2026 Sony Pictures Entertainment

 …… ……

 マスターズ・オブ・ユニバースという映画を知っているだろうか。2026年6月5日に公開された映画だ。この記事が公開されている時点でもまだ多分上映しているだろう。
 映画館によく行く人は「ああ、なんか筋肉モリモリのセクシー男が剣を構えているポスターが貼ってあった気がするなあ」と思っているかもしれない。
 映画館によく行く人ならまだいい。昨今のSNSなどインターネット広告は優秀なので、そもそも興味がない広告はほとんど流れてこないようになっている。
 これは優秀である反面問題でもある。マスターズ・オブ・ユニバースを見さえすれば大好きになってしまうはずの人たちが「何それ、そんな映画あったんだ。まああーしには関係ないケド」で終わってしまう可能性が大いにあるということだ。
 運よく広告や予告編がチラッと流れてきても、きっと君たちは気にもとめずスキップしてしまうだろう。

 そんなの耐えられない。絶対にみんなに『マスターズ・オブ・ユニバース』を見てほしい。という気持ちで今記事を書いている。まあ、ムービーナーズ読んでる人なんかはもう知ってはいる気がするけど。

 この記事では軽くネタバレをしていく。映画『マスターズ・オブ・ユニバース』の面白さは文字で説明されたくらいでは全く揺るがないからだ。でも完全にネタバレなしで見たいですという君はとても聡明なので今すぐ映画館に行ってほしい。

 大雑把なあらすじ

 惑星エターニアに顔がドクロのどう見ても悪いやつ率いる軍団が攻めてきたぞ! 若き王子アダムはすごい力を秘めた剣と一緒に地球に強制避難だ! 地球に飛ばされた拍子に剣をなくしてしまって15年、普通に企業の人事部として働きながら剣を探していたぞ!
 ネットで剣を探し続けていたらなんかオタクショップに飾られているのを発見! 普通に盗んだら当然警察に捕まってしまった!
 パトカーに乗せられているとなんかバケモノが襲ってきた! 同時に故郷からお迎えもやってきた! 故郷に帰って剣の力でエターニアを救うぞ~! パワー!!!!

 みたいな映画。

前提:そもそもなんなのこの映画

 剣とか魔法とか喋るトラとかファンタジー風な世界観でありながら全然ロボとかサイボーグとかもバリバリ出てくる。なんだこれはと思われるかもしれない。
「マスターズ・オブ・ユニバース」とはあのバービー人形とかのおもちゃメーカー、マテル社が80年代くらいに売り出したアクションフィギュアシリーズだ。この映画はそれが元ネタになっている。
 当時アホほど人気が出てアニメやコミックや実写映画にもなっている。特定の世代のアメリカ人のおじさんに絶大な人気を誇っているのだ。
 かっこいいおもちゃありきで世界観が広がっていったので、映画もかっこいいもののごった煮みたいな世界観になっている。

 

剣、かっこいい……。

筋骨隆々の男、かっこいい……。

魔法、かっこいい……。

顔がドクロの悪役、かっこいい……。

ロボ、かっこいい……。

緑色の喋るトラ、かっこいい……。

丸ノコみたいな乗り物、かっこいい……。

ストーリーが良い

 故郷を追いやられた幼い王子が筋骨隆々に成長して故郷を悪の手から救う!!
 超がつくほどの王道ストーリーだ。なにしろとにかく変な要素が多い映画だが、話の大筋にムキムキのぶっとい王道が通っているのでいくら変な要素がくっついていても清々しい気持ちで見ることができる。

予告編より ©︎2026 Sony Pictures Entertainment
主人公のアダムくん。筋骨隆々だし露出度が高い。

 そしてその変な要素の方も素晴らしい。主人公が地球に来て15年なくしていた力の剣がなぜかオタクショップのムキムキ等身大フィギュアの手に握られている時点でかなり変だ。「なんか似てるだけの剣なのかな」と思っていたらしっかり本物だったという展開もすごい。なんか俺たちが預かり知らぬ文脈があろうとそれは変だろ。

予告編より ©︎2026 Sony Pictures Entertainment
オタクショップの等身大フィギュアがなぜか持ってる剣。

 小ギャグがかなり多いのもいい。話の腰を折まくる小ギャグがめちゃめちゃ入る。ちょっとでもシリアスに傾きそうになったらすかさず小ギャグが入ってきて話の重さを調整してくる。人によっては「多すぎる」と感じるスレスレくらいの量かもしれない。

キャラクターが良い

 バカみたいにかっこいいアクションフィギュアから生まれたキャラクターたちがみんな良い。

 まず主人公のアダム、めちゃめちゃ良い。変な映画は主人公が超よくないと見ていられないが、その心配は一切いらない。
 情けなくヘロヘロした子供時代、フワフワと働きながら情けなく剣を探していた地球時代(この時点で筋骨隆々ではある)、そんな情けない男が使命のために剣を握りしめ、プリキュアみたいなシークエンスを経て筋骨隆々の戦士「ヒーマン」に変身する。良い。お約束通り力が強すぎて調子に乗ったりもするけどそこまで調子に乗らないのもいい。
 あともう、どう見ても話が通じなさそうな敵に対して「まず話そう」という姿勢を貫いているのがめちゃめちゃいい。小ギャグとしてもいいし、正義の人としての態度としても正しいし、「話ができないのでぶっ飛ばすしかない」となった時の爽快感がすごい。そうか、ヒーローってまず話そうとする方がいいのか。そして何より顔が良くて筋肉がモリモリである。

予告編より ©︎2026 Sony Pictures Entertainment
地球で冴えなく暮らしているアダムくん。この時点で筋骨隆々ではある。

 宿敵となるスケルターも良い。超良い。素晴らしい悪役。
 悲しい過去パートとか無し! いかにも悪そうなやつがちゃんと悪い! 見ていて清々しい悪役だ。本人がずっとめちゃめちゃ楽しそうだし、かなりひょうきんなキャラでもある。日本人に馴染みがあるキャラクターでいうとバイキンマンに近いだろう。
 何より顔がドクロなのがいい。ドクロでなおかつかなり表情豊かだ。

予告編より ©︎2026 Sony Pictures Entertainment
スケルター様。この杖かっこよすぎる。

 そして物語を彩るおもしろおもちゃが元ネタの変なキャラクターがウジャウジャ出てくる!!
 首がメカでてきていてめちゃめちゃ伸びるメカネック(元ネタにそういうおもちゃがある)。
 足がバネでめちゃめちゃ素早く頭突きができるラム・マン(もちろん元ネタにそういうおもちゃがある)。
 主人を殺しかけたから今は家政婦みたいな仕事をさせられているムキムキの戦闘ロボ(しかも吹き替えでは花澤香菜さんの声で喋る)。

予告編より ©︎2026 Sony Pictures Entertainment
変な仲間がいっぱいいる。

 ほとんどの場面でずっと何か変なものが映っている、マスターズ・オブ・ユニバースを見てください……。

音楽が良い

 音楽が信じられないほどいい……。ちょっとダサさを感じるほどの勇ましいメロディがめちゃめちゃ耳に残るかっこよすぎメインテーマ曲はギターをあのクイーンのブライアン・メイが手がけている。しかもそれが良いシーンでしつこく流れまくる。最高。映画を見てから頭からずっと離れない。助けてほしい。
 みんなも同じ目にあって欲しいからできるだけでかい音で見てほしい。

愛がすごい

 愛が、すごい……。
 具体的にどう愛がすごいのかなんて書くのは難しいのだが、とにかく愛がすごい。元ネタのおもちゃのことなんか全然知らないまま見に行ったが、スクリーンのすべてのシーンから「ウォォォォオオオオ!!!! 俺たちは!!!! ヒーマンが大好きで大好きで仕方がないからこんな映画を作ってやったぜぇぇぇぇぇ!!!!」という強すぎる思いが溢れ出している。
 これを読んでいるオタクのみんなは好きすぎて感極まっているオタクを見て「ああ、君が好きなものについて俺はよく知らんけど君が君の好きなもので感極まっている姿はなぜか俺の胸を打つよ……」という状態になったことはないだろうか。
 本作の感極まりっぷりはそんな気持ちを引き起こさせるのに十分な感極まりっぷりだった。
「ああ、よく知らんけどその丸ノコみたいな変な乗り物を君は大好きだったんだな」
「よく知らんけどその首が伸びる変なメガネのやつのことを君は大好きだったんだな」
「よく知らんけどその変な演出は君が大好きなアニメにあったんだな」
……といったように、本当に心から「おじさんたち、これ作れてよかったなあ!」という暖かな気持ちにさせてくれる映画だ。

予告編より ©︎2026 Sony Pictures Entertainment
主人公の実家がめちゃめちゃドクロのデザインだがこれももちろんそういうおもちゃがあったから。
アメリカのおじさんにとってのシルバニアファミリー赤い屋根の大きなお家と言えるかもしれない。

見よう

 ぜひ、ぜひ見てほしい。まあ変な映画ではあるから口に合わない人もいるかもしれないが、刺さる人には信じられないくらい深々と刺さる映画だ。
 ぜひ見て、ネットショップを見ながら「おもちゃ欲しいな……」と思おう。

最新情報をチェックしよう!