【ネタバレ】劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が20年ぶりの新作として最高傑作だった

どうも、ゲル山ゲル子です。

皆さんは20年ぶりの機動戦士ガンダムSEEDの新作はもう見ましたか?

制作発表ははるか昔の18年前。ずーっと『作ってるらしいよ?』ぐらい何も情報も無く、あくまで制作中の中に名前がある…そんな程度だったものが昨年の10月5日に突如情報解禁。
予告編は出るし、3ヶ月後には見れるし…。これはもう観るしか無いよね!
ということで観てきました。

結論としては超大満足!
劇場では「俺…見れてよかった!」と泣いてる人もいて、ゲル子はそこまではいかなかったんだけど終わった瞬間に「あぁ…良かった…」ってなりましたよ。

もう一回観に行こうかなって思える程度には良かったので、ここからネタバレありつつ良かったところをおすすめしたり感じたことを書いていきますね。
なので、ネタバレを気にする方は今すぐ劇場に行ってください。

焼き直しの漂う前半と今までのSEEDにない後半へ

凄い良かった良かった言っといてなんですが、中盤までは非常に焼き直し感が強かったと思います。
ライジングフリーダムはカッコいいけど目新しさがなくて、可変機のガンダムもSEEED DESTINYで出てるし、新しい武装や機能はほぼ無い。フリーダム系列の延長ではなく平行線上の機体で、MSVの機体と言われたら信じるかも。Zガンダムに対してのZⅡみたいだよねライフリ。

盾が飛ぶとは思わなかったけど…。

話も何かが暗躍していたりきな臭い感じの組織、ブラックナイトもどこかブーステッドマンやエクステンデッド味のあるキャラ付けがされている。極めつけはコンパスが味方と思われる側から罠にはめられるのも、SEEDの頃にアークエンジェル隊が切り捨てられたのを彷彿とさせる。
内容面でも真新しい事はほぼ何もやっていない。
でも、この辺りは「あぁ、これ間違いなくガンダムSEEDだ」と思える作りにはなっていて、特に精神的な迷いや葛藤はガンダムSEEDシリーズ共通に取り扱われのは知っての通り。
なんならシンはそれが解決できずに敗北してしまうぐらい、キャラクターのメンタル面は重要視していいはず。

今回では戦うと決めたはずのキラは終わらない紛争にラクスとのすれ違いに精神が摩耗していく様が描かれていて、この辺は本当にSEEDだ…。

そして、この焼き直しはここから始まる後半への転換の為であって、恐らくかなりそれを意図して焼き直しをしているように感じた。言うなれば鉄を鍛えなおす為に火を入れてる段階。

この映画がシリーズと一つ大きく違うのは今回の敵であるファウンデーションを極端に露悪的に描いていて、勧善懲悪に近いスタンダード中のスタンダードな構造になっている。これはここから始まる後半の目的が「デスティニープランを阻止する」「それに利用されるラクスを取り戻す」という、まるで王道RPGのようなシンプルさ故だろう。
今までもブルーコスモスやロゴスのような連中が居たけど、あくまで裏で目の前の敵というよりは大きな世界の構造としての一つ。

何か理由や理念があったり、裏の顔を見せたりという事は無く、初対面の時点で不穏な動きをしたりケンカを売ってくるレベルでもう「敵」であり「人」なのである。

コーディネーターの上位種でもあるので、超傲慢かつ超能力のような変な能力を使う。コズミックイラも遂に人の域を超え始めたな…。
ていうか予告編で使われてた『闇に墜ちろキラ・ヤマト』って精神的に落とす時のセリフじゃなくて、能力発動の為のワードだったの!?

この前半部でライジングフリーダムをはじめとした機体はボロボロ、不沈艦アークエンジェルも最後を迎えるその瞬間…
ここまで出ていなかったアスラン・ザラが登場!

ズゴックに乗って!

キラやシンを圧倒した相手と互角の戦いを見せ、窮地を救ってくれる。

正直神妙な顔で突っ込んでくるアスランが出てきただけで笑ってしまいそうになった…。

ウルトラマンレオ並みに壊滅させられ、それでもなんとか前に進もうという中でキラは心が完全に折れてしまう。そこから始まるアスランの「キラ!馬鹿野郎!」からのド正論パンチ
そうそう!アスランってこういう自分は兎も角、正論を相手にぶつけまくる奴なんだよな!

葛藤や迷いで精神がやられていたキラと殴り合いのケンカに発展。そして、最初は黙って見ていたシンも「そういえばコイツこういうむかつく奴だった!」と思い出したかのように殴り掛かって乱入するあたりは昔のシンらしくてめっちゃ好き。


「さっきから黙って聞いていれば「無理だ」とか「駄目だ」とか!自分だけが戦ってるつもりか!?大したヒーロー気取りだな!!」

「何がラクスのためだ!自分が自分が、ばっかりで彼女の事なんて何にも考えてないだろお前は!」

「もう良い!そんな情けない奴はそこで一生ウジウジ腐ってろ!」

「そう思ってるならなんで話さない!助けてって言わない!お前1人で何が出来る!」


アスランこいつ無敵か?

今回はアスランの立場が話の外側過ぎて、背負うものも無いので大暴れ。
挙句の果てにはキラに対して「俺の知ってるラクスはそうじゃない」とかマウント取ったり、敵に対して挑発しまくったり、コイツが今作で一番自由だよ…。

正直その辺はかなり笑えるシーンでもあるんだけど、実はこういうベタなお互い殴り合って分かり合ったりするような展開はあんまりやってないんだよね(基本は負の内面を抱えたら周りの誰かの行動を見たり言動によって自己完結するパターンが多い)

この辺観ていて「あれ?ガンダムSEEDらしくなくなってきた?」となってきた人も多いんじゃないかな。実際ここからは加速度的に映画の様相が変化していく。

SEED DESTINYには無かったベタさや視聴者の見たいモノへの回帰

敵組織ファウンデーションが本格的に動き出してからは怒涛の展開!

相変わらず非合法MSのデスティニーガンダムとストライクフリーダムガンダムを地下に隠し持っていたオーブ、まさかのデュエルガンダムにバスターガンダムの登場、更にそれだけに留まらずミーティアと合体。

個人的に感動したのはデュエルとバスターの再登場(ディティールが違うので新造機?)で、この2機はSEED以後返還されたはずなんだけど、そんな事はお構いなしにディアッカとイザークが乗り込む。

そう、それが見たかった!

SEED DESTINYでイザークとディアッカが何度か出てきてもザクやグフに搭乗していて「あ~乗れないのはわかるけどデュエルとバスターに乗ってるところ見たいな~~~~~~~」なんて思っていたので、20年の経過でそれがようやく見られてかなり感動した。
だって、前作のキャラが出るならそれに類する見た目の機体に乗ってて欲しいじゃないですか!(ガンダムだとあんまりそういうのは無いけど)

本編には全くないやつ

SEEDはDESTINYからより顕著だけど、頭でっかちで作劇的なベタさはなく、世界がどう動いていくかというのに注目することが多かった。
「これをされたら嬉しい」という部分が薄く、よく話題に上がるのが児童誌にだけあったストライクフリーダムVSデスティニー。前作主人公と主人公が戦うなんていうのは絶対観たいし、シンは家族の、キラはフリーダムの撃墜、そういう因縁も序盤からずっと見せてきたなら絶対観たい。

でも、残念ながらそういう話にはならず、家族を戦争で失いPTSDを抱えたままのシンが元上司であるアスランに迷いを看破されボコボコにされてしまう。因縁あるストライクフリーダムは前作のボスと似た機体と戦う(これもある意味ベタではあるけど、最終決戦1個前とかが良かったよね)ので、そういったベタなエンタメ要素とは非常に遠い作品になってしまった。

最初の方でも言ったけど、SEEDは言葉には出さないけどキャラクターの内面的な話が多いので、これは今思うと仕方ない。

でも、今回は違う!
とにかく観たいシーンが次から次へとやってくる!こっちの理解が追いつくのを超えてくるレベルで!

アカツキの新武装に「不可能を可能に~」といういつものやつ、新武装をラクス自ら届けてキラと一緒に戦う選択を取ったり、ネームド相手にスパロボ参戦レベルのインチキ技で無双するデスティニーガンダム。
あぁ…観たかったものがすべて存在してる…。

それ以上にこちらの理解を超える何かも沢山出てきて、無量空処みたいな挨拶するキラとラクス、額からデュートリオンビームを発射しだすデスティニーガンダム、エロ妄想するアスラン、キャバリアーがまんますぎる、ドムの中からビルドバーニングガンダムが!みたいな展開、ドドゲザンになったジャスティス。

ごめん、理解を超えた方が沢山あった。

ラーメン食べに来たと思ったら船盛り出されたみたいな衝撃。ツッコミどころを多く残してはいるが、それを大きく上回る満足感が得られた。

そういった意味で後半は明確に「今までのSEEDシリーズという世界とそれに振り回される人を見せていく構造と決別」していた。これはSEEDでは無い、けど観たかったSEEDを使ったエンタメ作品なんだ。

まとめ

絵面の面白さは当然なんだけど、キャラクター自体の救済が目に見えて詰まっていたのも良かったよね。

前作では精神不安から良い印象が見られなかったシンはキラの役に立ちたいという、准将の犬になっていた。常に苛立っていた頃とは違い、ルナマリアから「ガキ」と言われてしまうぐらいヤンチャでIQが下がって子供のよう。
でも、14歳で家族を失い止まっていた時を取り戻した本来のシンなんだと思うと少し泣けてくる。

当然それには今回のキラとラクスにも当てはまっていて、前作ではどこか達観してしまっていた2人だったけど、それ故に分かったつもりになっていてすれ違っていく…。よく考えると二人ともまだ20歳なんだよね…無理だよ20歳で言葉無く相手の全てを理解しようなんて…。

だからこそ愛の言葉を交わして「最後は幸せなキスをして終了」を地で行くような最後を迎えたのには驚いた。争いと混乱は続いていく…という事を続けてきたガンダムSEEDという作品の終焉としてこんなに素晴らしい終わり方は無いだろう。

最後、二人は裸になりお互いの心をもさらけ出しているのがラクスの独白からも分かります。どんなに小さなことでも抱え込まず二人で歩んでいくのだと考えると、これからも争いは続いたとしてもキラはようやく心の安寧を獲得したのでしょう。
ただ楽しいだけのお祭り映画で終わらない、20年という歴史を支えてきたキャラクターたちを労うようなものを見せてくれたからこそ有終の美を飾る結果になったのだと思う。

まだまだ語りたいことがあるぐらいモリモリの映画だったのだけど、情報量が多すぎて2回目を見ないと細かくを語れそうにないので今日はここまで!みんなも2回目3回目を楽しもう!

ガンダムSEED FREEDOM 公式HP:https://www.gundam-seed.net/freedom/

最新情報をチェックしよう!