制作作品解説
サウンドのインタラクティブ要素は、無意味に変化させるのではなく、ゲームシステムと呼応する形で設計する必要がある


ここからはVIMの具体的な制作方法の話だ。
ただVIMの可能性や幅はかなり広いので、今回は私の実際に制作しClusterで公開している
VIM作品[Young yAA – Xero]について取り上げ解説していく。
その前にVIMのタイプとしては主に大きく分けると二つのタイプがある。「音楽ガジェットタイプ」と「楽曲タイプ」だ。「音楽ガジェットタイプ」は自由度が高く、楽器を演奏ができたり、組み合わせのパターンが無数だったりする。
一方「楽曲タイプ」ではアレンジを変化に限定させる等、インタラクティブ要素を絞ることで狙った一曲の楽曲として聴かせるパターンだ。もちろんこれ以外にもパターンは存在する。


話は戻しYoung yAA – Xeroの全体構成については、「エントランスパート」と「メイン楽曲パート」の二つからなる。「エントランスパート」はメインの楽曲をスタートする前の段階であり、アンビエントなテイストの楽曲が流れているが、その状態でもインタラクティブに音を鳴らす仕組みが組み込まれている。先ほどの話では「音楽ガジェットタイプ」に近い
「メイン楽曲パート」ではその名のとおりメインの楽曲をプレイできるパートだ。タイプとしては「楽曲タイプ」だ。ここでもインタラクティブに音を鳴らすが組み込まれているが
VIMの特徴であるゲーム要素と呼応するかたちでシステムが設計されている。
VIMでは制作段階でこうした全体構造の設計が不可欠である。
エントランスパート解説
エントランスパートのサウンドのインタラクティブ要素は距離による音の変化だ。
エントランスステージには複数のモニターオブジェクトが間隔をあけて配置されている。
そのモニターを音源として放射状に音が広がっており、プレイヤーがそのエリアに入ると
固有のループサウンドが聞こえる仕組みになっている。
もう一つは目玉のオブジェクトを掴むことで、ビジュアルエフェクトを伴って音が出る仕組みだ。メインの楽曲プレイをできるのは一名であるが、こちらから音を出してセッションに参加できる仕組みにしている。




メイン楽曲パート(インタラクティブサウンド構成)解説
メイン楽曲のサウンドのインタラクティブ構成は以下の画像のような仕組みだ。
ベース、ドラム、メロディーの演奏パートのON/OFFをレーンの立つ位置によりコントロール可能。各パート再生されるトラックは数小節ごとに抽選される。
ボーカルパートのバースの歌詞も毎回抽選されるが、フック部分では固定にしている。
このことにより毎回違った歌詞、アレンジの組み合わせで再生されるが、印象としては固有の楽曲として鳴らすことができる。制作初期は毎回違った楽曲が再生できるように仕組みで制作をしたが実際にプレイしてみて楽曲のクオリティにばらつきが発生、特に歌詞に関しては意味不明な文章の羅列になってしまった。インタラクティブ要素をプラスに働かせることがVIMを制作する意味として大きく、インタラクティブ要素がマイナスに働き、楽曲自体が良くないのでは意味が無い。


メイン楽曲パート(ゲームシステム)解説
上記のサウンドのインタラクティブ要素は、無意味に変化させるのではなく、ゲームシステムと呼応する形で設計する必要がある。ゲーム要素とサウンドのインタラクティブ性の関係性はバーチャルで工夫が一番できるところではないだろうか。リアルであれば「楽器を演奏するから音が出る」「歌うから声が出る」というところを、「城を落とせばビートパターンが変化する」「コンボがつながると音色が変化する」など自由に設計できる。
今回は非常に単純なゲーム性で目的としては高い得点を取ること。
その得点を取る為にポジションを移動して敵を倒すことだ。
ポジション移動というのが、サウンドのインタラクティブ要素と紐づいている。




●Cllusterにて公開中のVirtual Interactive Music「Young yAA – Xero」はこちらから
●VIM CAST 2020年8月30日(日)配信
Virtual Interactive Musicについての情報を発信していくプログラム
初回はVirtual Interactive Musicとは何かについて、キヌさん、JACKSON kaki
さんを招き語っていきます。
==MC==
Young yAA aka misoshita
==ゲスト==
キヌ
JACKSON kaki
本記事は掲載許可をいただきご本人のサイトより転載しています。
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