3月上半期の公開映画まとめ!シリアスvsコメディ!「家族」を両極端に描く2作をご紹介

ヤマダマイ

3月上旬に公開される映画を2作品ご紹介!フィリピンの名匠よるヒューマンドラマから、30代〜60代に刺さりまくるラブコメまでをまとめました。

3月1日(金)公開:映画『FEAST -狂宴-』

フィリピン警察の実態を描いた『ローサは密告された』で知られるブリランテ・メンドーサ監督の新作は、ゴージャスな雰囲気とは裏腹に、終始人間の葛藤をあぶりだす異色のドラマとなっていました。

とある裕福な家族が交通事故を起こしてしまい、事故を起こした息子に代わって、父親が罪を被り刑務所に収監される。被害者は貧しい一家の長であり、事故で亡くなってしまう。刑務所に行った父親に代わり、その妻と息子は家計を支えながら、残された被害者家族も使用人として引き取り、面倒を見ることに。

やがて父親が出所するその日、祝いの席が準備されるなか、被害者の妻は現状に対する悲しみや後悔に再び襲われる。そして少しずつ、ふたつの家族に違和感が生まれ始める。

正反対の家族の心理をじわじわとあぶり出す「飯ドラマ映画」

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フィリピンの社会派監督として知られるブリランテ・メンドーサ監督が手がけた新作は、フィリピンの田舎町を舞台にした、2つの家族を描くドラマ映画です。

加害者となった裕福な家族と、被害者になった貧しい家族。それぞれの現実を受け止めて、どのように生きるのかを描いています。

こんな風に書くとまるで心温まる映画のあらすじみたいですが、実際はその真逆。終始不穏な空気と、それぞれの家族が本心で何を考えているのか、いろいろと勘繰りたくなる演出で緊張感たっぷりの作品です。

因みに、事故を起こした息子の母親役を演じるのは『ローサは密告された』でカンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞したジャクリン・ホセ。『ローサは密告された』ではかなりハードな立ち回りを余儀なくされる主人公を演じましたが、今作ではその真逆ともいえる地位を手に入れています。

覇気も腹も減っていくファミリードラマ

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開幕早々に事故を起こす裕福な家庭の息子と、息をするようにひき逃げを選択する父親…。「持つ者」と「持たざる者」の差をここまでシンプルに、かつスピーディーに描くのはメンドーサ監督ならではといったところでしょうか。

加害者家族の裕福な暮らしを見せつけられる一方で、被害者家族の回想シーンでは、亡くなった父親が絵に描いたように「めっちゃいいパパ」なのも、観客に大きなダメージを与えていきます。

被害者家族からしたら、事故を起こした家族の世話になるなんて、プライドが許さないはずですが…。

自分たちの保身しか考えていない(ように見える)裕福な一家と、選択の余地がない貧しい一家。本来交わるはずのない家族が同じ環境にいることで、彼らの心境がどのように変化していくのか。じわじわと人間の本心をあぶり出そうとする演出が見どころです。

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それと、にわかに信じがたいかもしれませんが、こんなに不穏なヒューマンドラマなのに鑑賞後はメチャクチャお腹がすきます。下世話かもしれませんが、フィリピン料理店とタイアップとかしていたら、鑑賞後に足を運ぶお客さんとか絶対いると思う…。

タイトルのFEAST(饗宴)とあるように、作中の多くで何かしら作ったり、食べたりしているシーンがあります。なんなら事故の裁判に向けて、弁護士と打ち合わせをするシーンでさえスイーツを嗜んでいました。こんな状況で味分かるのか…?

さまざまなフィリピンの郷土料理が登場し、作っているシーンも料理映画と勘違いしてしまいそう。公式サイトでも見どころのひとつとして紹介しているので「こんなシリアスなドラマなのに、料理を見てよだれをたらしていたら不謹慎かも…」と心配する必要もなさそうです。個人的には「水牛ミルクプリン」がレアチーズケーキみたいで美味そうだなあと思いました。

3月8日(金)公開:映画『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』

ずっと議論され続けている「結婚ってホントにしなきゃダメ?」問題を親目線・子ども目線で描いた大人のラブコメが登場。これから結婚を考えている人、パートナーと倦怠期に入っている人はいろいろと刺さる要素満載です。

結婚を真剣に考えるミシェルと、彼女とは裏腹に結婚に対してネガティブなアレン。お互いの意見が合わないため、2人は「結婚生活」という面では大先輩である自分たちの親から、話を聞く場を設けることに。

それぞれの家族が顔を合わせるディナーの席。しかし、両親たちの様子がどこかおかしい…。なんと両親はお互いの配偶者どうしで「W不倫」をしていた。これから結婚について語る場なのに、不倫のことがバレてしまっては説得力など皆無…。それぞれが不倫のことを子どもたちに隠そうとするが…。

大御所俳優たちによる粋な会話劇!

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本作の監督・脚本を務めるのは、実在したテレビ番組のスキャンダルを描いた『クイズ・ショウ』でアカデミー賞、ゴールデングローブ賞などにノミネートされたマイケル・ジェイコブス。

今作では粋な会話劇と、ドロドロになりがちな「W不倫」の関係性を大人なコメディ演出で見せてくれます。

結婚を考えている男女2人には『ザ・ハント』や『マダム・ウェブ』に出演するエマ・ロバーツがミシェル役、『X-ミッション』で潜入捜査官という名の肉体労働者を演じたルーク・ブレイシーがアレン役として抜擢されました。

ルーク・ブレイシーはそのフィジカルを知り合いの結婚式でブーケトスを奪取する奇行で惜しげもなく披露しています。

ミシェルの両親役には『チャーリーとチョコレート工場』などに出演するダイアン・キートンと『HACHI 約束の犬』のリチャード・ギア

アレンの両親役では『テルマ&ルイーズ』のスーザン・サランドンと『ルーム』のウィリアム・H・メイシーが演じました。

アレンの両親は熟年ならではの不仲さが際立つな反面、ミシェルの両親は比較的仲がいいのになぜか不倫に至っているのも印象的です。オトナの恋愛は予測不能だなあ…。

映画で「結婚」の価値観をアップデートしよう

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「既婚者」がステータスになったのは今や昔の話(と思いたいですが…)。現在はライフスタイルの多様化によって「結婚」の価値観も大きく変わってきました。

ちょうど作中の若きカップル世代と、その親世代の間では、日本・海外とも大きな価値観の変化があります。

映画やドラマでも「結婚」を題材にした作品は無数にあり『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』も、決して斬新な作品というわけではありません。

一方で「結婚」の価値観が大きく変わっている60代の両親とその子どもによる「マジ結婚って必要なん?」問題について、今ドキの価値観にアップデートできる最適な作品だと感じました。

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答えのない「結婚」の意味について、それぞれの意見を決して説教臭くなく、コミカルに描いています。

独特のセリフ回しは好き嫌いが分かれるかもしれませんが、良い大人がW不倫を隠すために異常行動を重ねるシーンは面白いです。ウィリアム・H・メイシーの鮮やかな回避ムーブは必見。並みの人間なら絶対見つかってます。

あと筆者はミシェルやアレンと同世代なので、親の不倫シーンを観るのはかなりくるものがありました…笑

ちなみに終始飄々としたイケオジを演じるリチャード・ギアですが、不倫相手と再会する時のリアクションが面白いので必見です。

まとめ

偶然にも、両作品とも二つの家族が向き合う作品となっています。シリアスな作品を楽しみたいなら『FEAST -狂宴-』粋なコメディを楽しみたいなら『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』で間違いありません!

あと『FEAST -狂宴-』を見る際は、なるべく食後の方が映画に集中できるかも…笑

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