映画『フラッシュオーバー 炎の消防隊』レビュー!炎!爆発!そして涙!怒涛の三段レスキューアクション映画

ヤマダマイ

10月目前にしてやっと秋の気温に近づきつつある今日このごろ、さらにアツい消防隊員の活躍を描いたアクション映画『フラッシュオーバー 炎の消防隊』が10月6日(金)より公開されます。

どれくらいアツいかというと…

(C)2023 ALL RIGHTS RESERVED BY UNIVERSE ENTERTAINMENT LIMITED /ASIA PACIFIC CHINA (BEIJING) FILM CO., LTD.
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これくらいアツいです。油断もスキも全くない灼熱のアクション作品となっています。

映画『フラッシュオーバー 炎の消防隊』概要

江東省灌城市。深夜にマグニチュード3.1の地震が発生。トンネルでは危険物を積んだタンクローリーが衝突事故を起こし崖から転落したが、ジャオ消防署長(ワン・チエンユエン)らの活躍によって、死者ゼロで事態は収束した。

ところが、天宜化学工場では地震の影響で化学物質が流出。これが原因で大爆発が引き起こされ、周辺の住居や公共施設も大きな被害を受ける。

大勢の被害が避難する中、ジャオや通信員のハン(ドゥー・ジアン)らが現場に急行。しかし殆どの建物が崩壊しており、救出活動は困難を極める。

さらに工業団地内にある学校では、ジャオの婚約者ジャンが子どもたちと閉じ込められていたーー。

「フラッシュオーバー」とは?

局所的な火災が短時間で広範囲に拡大する現象のことです。

例えば室内の1部屋だけで起きていた火災が、たった数秒から数十秒の間に、建物全体に拡大するようなケース。

炎の熱で室内温度が一気に上がり、一定の温度に到達すると室内の家具などが発火。これによってものすごいスピードで炎の範囲は広がり、被害が大きくなるのです。

作中では架空の都市、江東省灌城市にある工業団地を舞台に、消防隊員たちの危険な救助活動が描かれます。

「架空の都市だから安心だぁ〜」というわけでなく、火災の原因や被害の様子などは実際に起こりうるものばかり。

たとえば、消防隊員たちが講義を受ける場面では、実際に起きた最悪の産業災害「インド ボパールの農薬工場」の名前も登場するなど、リアリティの追求が感じられます。

監督は『the EYE 【アイ】』のオキサイド・パン。出演では、ダンテ・ラム監督『オペレーション:レッド・シー』に出演したドゥー・ジアンが通信員のハン隊員を熱演。ほかにも『誘拐捜査』のワン・チエンユエンが署長ジャオ役を務めています。

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(↑)個人的にはワン・チエンユエンが原口あきまさに似ているなあ…と思って鑑賞していました。めちゃくちゃ厳しいけど部下思いな原口あきまさが爆風でふっ飛ばされたり、火の海に飛び込んでいるように見えます。

消防隊員はあらゆる状況に対応せよ

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火災現場は住宅街や商業施設ではなく、危険な化学物質がこれでもかとある工業団地。工場の周りにはマンションや学校もあり、それらが一瞬にして爆発と火災に巻き込まれてしまいます。

何より恐ろしいのが、化学物質のせいで2度目・3度目の大爆発がいつ起きてもおかしくない状況下の中、消防隊員たちは救助活動をしなくてはなりません。

建物に取り残された被害者はもちろん、隊員もまた、いつ命を落とすかも分からない危険なミッションを遂行するのです。

おまけに建物は全壊・半壊が当たり前。思うように進路が取れない中、ドローンで進路を調査したり、見たこともない謎の空気砲みたいなガジェットを使ってワイヤーを張ったり…。

あらゆる手段で進路を確保する様子は、さながら謎解きのダンジョンのようです。(そんな楽しいものではないです…)

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(↑)ガジェットも使えない場所は己の肉体だけが頼り。ほぼSASUKEです。(消防士が出場するのも頷けます)
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(↑)ドローン操縦士「2階に下りれば退避できます!」(ただし階段があるとは言っていない)

某ドラマ並みのアツい人間模様も!

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こうしたレスキュー映画を観ると、真っ先に頭に浮かぶのがドラマ「海猿」です。隊員たちが切磋琢磨する様子や、家族・恋人との関係も描けるのはドラマの尺があってこそ。

と思いきや『フラッシュオーバー』では約2時間ほどで、そのツボもしっかり押さえています。

結婚を控える署長や、長くは生きられない父親の誕生日が近い隊員など、それぞれのドラマ要素を忙しなく変化する現場を交えながら描いています。もちろん、この手の作品にはおなじみの死亡フラグ(死語?)回収も欠かせません。

なかには「おまっ…それ、死亡フラグすぎるだろ…っ!」みたいなことをニコニコしながら言う隊員もいるので、見てるこっちは色んな意味でハラハラします。

とはいえ、隊員はみんなヘルメットを被っているし、1度の鑑賞ですべての登場人物を把握するのは困難です。

それでも救助活動の途中、負傷して前線を外れていくメンバーの悲痛な声や、現場に指示をするために一つの判断ミスも許されない本部の緊張感などはビンビンに伝わってきました。

筆者は爆発アクションなどをみ見て「うひゃー!」となるくらいのモチベーションで見ていましたが、図らずしもドラマ要素でガチ泣きしました。

現場はイレギュラーですが、ドラマパートは清々しいほど王道です。

現場で活躍する最新のロボも登場

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一般的に消防活動のイメージといえば、消防車が現場へ来て放水をするイメージですが、現場もどんどん進化しています。

たとえば通信員と呼ばれる隊員は現場に入った隊員をサポートするため、危険なエリアはないかドローンで偵察したり、本部が正確な指示を出せるよう、危険なエリアに突入して状況を報告したりします。

ドローン以外にも「泡消火ロボ」と呼ばれるキャタピラー式の自走放水機が登場して、隊員たちをサポートします(このロボットの搭乗シーンがなかなか壮観です)

さらには「ミサイル式消防車」という、まあまあ物騒なネーミングの消火装置も登場するなど、私たちが普段目にすることのない機械が登場します。

こうやって書いていると「危険な現場は全部ロボットに撒かせたら安全では?」と思いそうですが、現場は非常に目まぐるしいスピードで変化します。

そのスピードにはやはり生身の人間しか対応できないんだな…と作品を見ていて痛感しました。

なにより、ひとりの被害者を医療部隊に送り届けたあと、自分もケガをしているのに、再び現場に戻っていく隊員の背中の頼もしさといったら…!

まとめ

本作はアクション大作と銘打たれていますが、現場で活動する消防隊員へのリスペクトを感じました。この映画を見て、消防隊員に憧れる人は絶対いると思います…!

救出活動や消火活動が、どれほど命懸けで先の見えない戦いなのか痛感させられる点も良かったです。炎あり!爆発あり!涙ありの良作でした。

映画『フラッシュオーバー 炎の消防隊』作品詳細

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監督:オキサイド・パン『the EYE 【アイ】』
出演:ドゥー・ジアン『フライト・キャプテン 高度1万メートル、奇跡の実話』、ワン・チエンユエン『誘拐捜査』、トン・リーヤー『タイガー・マウンテン 雪原の死闘』、ハン・シュエ「イップ・マン」、ユー・ハミオン「月に咲く花の如く」、エルヴィス・ハン『1950 鋼の第7中隊』、ワン・ゴー『カイジ 動物世界』

2023年/中国映画/中国語/115分/シネスコ/5.1ch/字幕:神部明世/映倫G
原題:驚天救援/英題:Flashover/提供:ニューセレクト/配給:アルバトロス・フィルム/flashover-movie.com

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