『透明人間』/メンタル的に辛いって…サイコパスDV男が透明になって戻ってくる

新型コロナウィルスの影響により公開が延期されていたが、ついに2020年7月10日(金)公開される『透明人間』(原題:The Invisible Man)。

筆者はフランスの劇場にて鑑賞したのだが、主人公に感情移入しすぎてヘロヘロになりながらメトロに乗って帰宅する羽目になるレベルで衝撃的だった作品なのでネタバレなしで記事にしてみようと思う。

※筆者が鑑賞したのはフランス劇場版なので、日本版と翻訳のニュアンス等、若干異なる場合もあります。
その点は留意して読み進めてください。

透明人間』(原題:The Invisible Man

本作のストーリーを端的に表すと、サイコパスDV男の元旦那が主人公を痛めつけるためだけに、透明人間になって戻ってきて女主人公がそれに立ち向かうという話だ。

タイトルを見ればおそらくピンとくる人もいるだろうが、小説の透明人間を題材としていて、1933年公開の映画『透明人間』を現代風にリブートしたもの。

現代向けにアップデートされているため、以前の透明人間よりもSFっぽさに磨きがかかった雰囲気となっている。

セシリアはエイドリアンの束縛に苦しんでいた。日々の生活に耐えられなくなった彼女はエイドリアンの異常なまでにセキュリティシステムが張り巡らされた豪邸を抜け出し、凄まじい形相で追いかけられる。そんな中ではあったが、なんとか脱出に成功し、彼女自身の人生を歩もうと進み始める。
新しい第二の人生を始めた彼女だったが、エイドリアンの異常な束縛の過去に苦しみ続け、家の外に数歩出るのでさえ恐怖を感じる毎日だった。
そんな時、彼女のもとに「エイドリアンが自殺し、500万ドルの遺産を残した」と連絡がくる。
ようやくエイドリアンの束縛から解放されたと喜ぶセシリアだったが、度重なる怪奇現象がきっかけで、エイドリアンが何かしらの方法で近くにいるのかもしれない、と考えるようになるのだ。

これがただの思い込みだったらよかったが、残念ながら現実である。
エイドリアンか誰かは透明なのでわからないが、「何者か」が彼女の近くにいて彼女を苦しめようと動き始めていたのだ。
死んでも戻ってくるとかゾンビ映画じゃないんだから…と言いたいけど、主人公の序盤の鬱加減を見ていたら観ているこっちまでエイドリアンカムバック説を察した際に鬱っぽくなってしまった覚えがある。
DVという設定は比較的身近なので、主人公に感情移入しやすい……

SFスリラーのはずなのに序盤から終盤まで鬱っぽい気分になってしまう映画だったのでそういうのが苦手な人はやめておいた方がいいかもしれない。

二転三転する予想できない展開

鬱っぽくなる映画とは言ったが、この作品のすごいところは展開が予測できないところだ。
確かに伏線は思い返してみればあるにはあったが、正直最後までそれらが結びつきにくい。しかも展開が二転三転するので、「あっ、そっち?」ってなった後に「あっ、こっち?」となり、最後に「マジ?」となるのだ。(ちなみにフランスの劇場で筆者も日本語で思わず呟いてしまった)
公開前ということもありネタバレしちゃまずいなぁという気持ちが強いので、結末まで語り尽くせなくて歯痒いのだが、後半の展開の変化が激しい作品とだけ言っておきたい。

カメラワークや演出に注目

この作品の面白い点は展開の意外性だけではない。
カメラワークの使い方の面白さと、特殊な演出だ。
この作品では、時折誰もいないはずなのに誰かが主人公を見ているような、存在X視点のショットが多用されている。
透明人間というタイトル通り、その存在Xは見えないのだが、このカメラワークの多用により鑑賞する立場もその謎の存在をひしひしと感じることになる。

そこにさらに、存在Xと主人公の接触シーンではあの伝説のホラー映画、パラノーマル・アクティビティのような演出が使用される。
真偽は確かではないが、かなりパラノーマル・アクティビティを意識しているのではないだろうか。

この二つの要素によって、設定や舞台がSFチックにも関わらず、現実味のあるホラー鬱映画となっているのだ。
最後には多少の救いはあるのだが、観終わるのにかなりの体力を消費してしまう。
但しSFホラーとしての完成度は高い作品のため、鬱展開が苦手でなければ是非劇場に足を運んで観てみてはいかがだろうか。

透明人間公式サイト

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