『口裂け女 in L.A.』
「未体験ゾーンの映画たち 2016」上映作品の本作。タイトルのインパクトが凄いが、日本のレジェンド級都市伝説である「口裂け女」は果たしてロサンゼルスで通用するのだろうか…?
口裂け女を題材にした映画は、2007年に公開された白石晃士監督作の『口裂け女』『口裂け女2』が有名だが、『口裂け女 in L.A.』はまったく無関係なので注意!
本作は、口裂け女に友人を殺害された主人公がその謎を追う過程で、他の様々な事件が同時多発的に起こっていく様子がオムニバス形式で描かれる。
コックリさんや丑の刻参り、陰陽師など日本の伝統的なホラーモチーフやゾンビ、サタンなどまったく日本と関係ないモチーフが混ざり合いながら新しい形の「口裂け女」像が形成されていくが、オムニバスのそれぞれの話で描かれる内容が互いに影響しながら一つに収束していく面白い構造で、コメディ色の強い作品からホラー色の強い作品まで幅広く楽しめる。












廃墟でコックリさんを楽しむメイドや夕方くらいに荒野で呪いをかけるおじさんなど日本的な要素をアメリカナイズして生まれた奇妙な描写も味わい深い。












本作で特に浮いた存在の「陰陽師 風蓮」パートは完全にコメディ作品だが、通常イメージされる陰陽師とは変わったビジュアルを持つ「風蓮」が格闘術でゾンビや悪魔神父と戦う姿は必見だ。






英語が苦手な風蓮を、日本語で煽ってくる気さくなサタンとの闘いをぜひ見届けてほしい。






続く「呪い」をテーマにした一編『ウメコの友達』は非常にホラー色が強く不気味な作品となっており、とある男性が怪しい男の家に招かれ、そこで逆恨みを買ってしまうという受難が描かれる。












怪しい男とその妹「ウメコ」との食事シーンはモノクロで描かれ、大量のイナゴを頬張る男の不気味さが際立つ。
この話では日本的な「呪い」の他、「過労死」に関する内容が盛り込まれ「日本っぽさ」を演出する。
本作はこのように短編が続き、その短編が繋がり一つの物語に収束していく構成となっており、監督・脚本は『カメラを止めるな!』で第42回日本アカデミー賞優秀撮影賞を受賞した曽根剛と比呂啓、廣瀬陽、小川和也らが共同で担当しており、低予算映画制作の名手とも言える曽根剛の手腕が存分に発揮されたような作品に仕上がっている。
かなり奇妙な「海外から見た日本」のような描写も目立ち、それを日本人が制作していたという事実に驚くが、日本の伝統的なホラーモチーフを新しい形で描いた本作、全然丑の刻じゃない丑の刻参りや格闘主体の陰陽師などのインパクトは強いので興味のある方はぜひ新しい扉を開いてみてほしい。
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日本の都市伝説「口裂け女」をアメリカで映画化したサスペンスホラー。口裂け女の噂がささやかれるロサンゼルス。友人モニカを口裂け女に殺された女性クレアは、繰り返し見る口裂け女の悪夢に悩まされていた。やがて彼女は、都市伝説を研究している姉サラが口裂け女なのではと疑いはじめる。一方、サラはクレアこそが口裂け女だと考えるように。調査を進めるうち、ロサンゼルスではこっくりさんや幽霊など、様々な日本の都市伝説による事件が起きていることが判明する。比呂啓、廣瀬陽、小川和也、曽根剛の4人の日本人監督がメガホンをとり、キャストには現地の俳優を起用。シンガーソングライターとしても活躍する女優ローレン・テイラーが主演を務めた。