ディズニーの実写映画版『ピノキオ』は、アニメーション版から結末をまさかの大きな改変へ?【ネタバレ】

『美女と野獣』『アラジン』『ムーラン』……これらのタイトルを聞いて、どういったイメージが頭に浮かびますか?

かつては、ディズニーによるアニメーション映画のビジュアルを思い浮かべる人も多かったでしょうが、2010年代後半から往年のディズニーの長編アニメーションをベースに新たな実写映画化が続いており、今ではこちらを真っ先にイメージする人も少なくないでしょう。

そんなディズニーによる新たな実写リメイク長編作に、この秋、新たな映画が仲間入りしました。それが2022年9月8日よりDisney+にて配信をスタートした実写映画版『ピノキオ』です。

実写化に伴い、これまでも様々なアレンジが施されてきた“実写化”作品たちですが、『ピノキオ』もそれらと同じく、かつてのアニメーション映画版とはまた違った味付けが施された映画になっていました。

実写版『ピノキオ』とはどんな映画なのか?

今回Disney+で配信される実写映画『ピノキオ』は、かつてウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオが制作したアニメーション映画『ピノキオ』(1952)をベースに、実写映画としてリメイクした作品です。実写と言っても、主人公のピノキオは3DCGで再現されたもの。『わんわん物語』では、実際の犬と見間違うほどの造形に驚かされましたが、今回はお馴染みのピノキオのイメージを崩さずに見事な“生きた人形”の再現に成功しています。

劇場公開をしなかった作品ですが、製作陣も豪華。ピノキオを生み出したゼペット役には、トム・ハンクス氏、そして彼とも縁が深い『フォレスト・ガンプ 一期一会』のロバート・ゼメキス氏が監督を務めます。

アニメーション映画版の再現が盛りだくさん

ディズニーのアニメーション映画がベースの作品となっているので、今回の実写映画『ピノキオ』内にも、アニメーション映画版を観ている人には「あのシーンの再現だ!」と気づけるシーンがたくさん用意されています。

例えば、ピノキオがキツネの詐欺師ファウルフェローと猫のギデオンのコンビにそそのかされてしまうシーン。獣人の二人(匹)もしっかりかつての面影を残しつつ、実写化。特に説明もなく人間たちの世界に紛れて登場します。ファウルフェローが、ピノキオの持っていたりんごと教本を奪い取って、本を逆さに持ちながらピノキオを説得しようとする素ぶりまで再現しています。

また、アニメーション映画版でも怖い展開として印象的な、ランプウィックがロバに変身してしまうシーンも今回の実写版でもしっかり再現。アニメーション映画版では、人間から急激にロバへと体が変形していってしまう姿を、影で間接的に見せる演出になっていましたが、今回の実写映画版でも同様。ロバ化していく子供の姿を、それを観て驚くピノキオに変体していく影が重なるような演出で描かれます。

予習・復習としてアニメーション映画版を観ると、細かいところまで再現していることがよくわかり、もう一周分は実写版が楽しめます。

アニメーション映画版を知っているとビックリの新たなラストとは?【ネタバレ】

一方で、アニメーション映画版とは大きくアレンジされている部分もあります。

配信前から話題になっていたのは、ピノキオに命を与えるブルー・フェアリーのキャラクター設定です。アニメーション映画版では、金髪の白人のキャラクターとして登場していましたが、今回の実写映画版では、黒人女優のシンシア・エリボ氏が演じました。これまでの白人俳優の起用に偏っていた時代からの脱却の動きとしての評価もある一方で、アニメーション映画版とのイメージの差に違和感を感じる声も少なくありませんでした。

https://twitter.com/DisneyPinocchio/status/1577705176013582344

ただ、実際に映画を観てみると、実はこういったキャラクター設定以上に原作から大きく変わっている点が今回の実写映画版ではありました。それがストーリーの結末です。

アニメーション映画版では、冒険を終えたピノキオは、ブルー・フェアリーに認められて、木製人形の身体から本当の人間に変えてもらいます。このアニメーション映画版ラストの妙なリアルな顔つきのピノキオは、ぜひ観たことがないという人には一度は観て欲しいのですが、今回の実写版ではなんとこの結末を改変。今回の実写映画版『ピノキオ』は最後に人間の姿に戻るシーンが用意されていないのです。ファウルフェローに騙されて見世物にされ、ロバに変えられてしまう遊園地を巡り、最後には巨大な海洋生物モンストロと戦う……ストーリーの大筋はアニメーション映画版と同様なのですが、最後の最後でまさかの違う結末が用意されていたのです。

ディズニーの実写リメイクシリーズは、最新の技術での映像化などいくつかの狙いが想像できるわけですが、その中の一つに、現代の価値観にアップデートした内容にすることが含まれているのでしょう。現代の価値観で考えた時に、ピノキオを人間の姿に戻すシーンを描く必要はない、という結論が現在のディズニーの答えなのでしょう。

実は、この結末以外にも、アニメーション映画版にはなかった、ピノキオが人形だからという理由で学校を追い出されるシーンなどが今回の実写映画版で追加されています。アニメーション映画版ではピノキオがただ欲に駆られて学校へ行くのをサボるようにしか見えなかった展開が、この追い出されるシーンがあるだけで少し見え方が変わります。

このように、多くの場面や展開はアニメーション映画版を踏襲しながらも、今回の実写映画版『ピノキオ』では間違いなく、以前とは違った見え方のする物語となっていました。「こういう話でしょ?」とざっくり知っているという人にも、今回の実写映画版では“知らない”ピノキオに出会えるはずです。

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