『ナイトメアー・ビフォアクリスマス』の監督なのに長期の沈黙!ヘンリー・セリック監督は何をしていたのか?

あっと驚く布陣のオリジナル作品をリリースしてくることでおなじみのNetflix。

2022年10月、ストップモーションアニメーション界からも意外な監督が参加している長編映画の配信が予定されています。その映画というのが『ウェンデル&ワイルド』です。

タイトルになっている“ウェンデル&ワイルド”とは、死者の世界をぬけ出してきた悪魔の兄弟二人の名前。生者の地で暮らすことを夢見る二人は、パンクロック好きのティーンズ、カット・エリオットの助けを借りて地上に呼び出してもらうのですが、カットの求めた見返りによって、生と死の法則を無視した事態が起きてしまうというダークファンタジーとなっています。

本作の監督を務めるのは、何を隠そうあの、ヘンリー・セリック監督。
久しぶりの監督作ということでも注目の映画となっています。

ストップモーションアニメーションの名手ヘンリー・セリック監督とは?

ヘンリー・セリック監督を知らないという人も、ヘンリー・セリック監督の作品は知っているのではないでしょうか。ヘンリー・セリック監督の作品でも特に有名な作品が、あの『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』です。

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』といえば、どちらかといえばティム・バートン氏の作品という印象が強いですが、あくまでもクレジットされているのは原案や製作です。当時、ティム・バートン氏は『バットマン・リターンズ』の監督として、製作に取り組んでいたので、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の製作には監督として参加できませんでした。そこで、監督として参加したのがヘンリー・セリック監督でした。

ダークファンタジー作品といえばティム・バートン氏の代名詞でもありますが、実はヘンリー・セリック監督の得意分野でもあります。

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の監督以降には、少し不気味な昆虫たちが登場する『ジャイアント・ピーチ』や、あるアニメーターが悪夢の世界に迷い込む『モンキーボーン』、そしてスタジオライカの初の長編映画として登場した『コララインとボタンの魔女』を監督していきます。

ヘンリー・セリック監督、10年以上の沈黙

そんなヘンリー・セリック監督ですが、2009年に監督した『コララインとボタンの魔女』以来パタリと監督作が登場しなくなります。

その間、活動をしていなかった訳ではなく、ディズニーの製作陣と協力し、シンダービタープロダクションという新しいアニメーションスタジオを設立し、新作映画の製作に取り組んでいました。

この製作していた企画というのが『シェイド・メイカー(原題)』。奇妙なほどに長い指を持った少年が、生きた影を生み出す魔法を会得し、悪いモンスターとの戦いに挑むという、これまた不気味なあらすじの作品を製作予定でした。しかし、残念ながらこの企画は、2012年にディズニーサイドがプロジェクトから撤退したことで完成しませんでした。

その後もタイトルを『ザ・シャドウ・キング(原題)』に変え、どうにか他のプロダクションで製作ができないかと、奔走するのですが結局実現には至らず現在を迎えます。

結局、新作が完成を迎えなかったことにより、10年以上監督作が世に出ない期間が生まれてしまいました。

手を伸ばしたNetflix!新たな布陣もすごい人たち?

そんなヘンリー・セリック監督に手を差し伸べたのが、Netflixでした。

2015年ごろには、早くもヘンリー・セリック監督の新たな映画の企画が報道されており、今では『NOPE/ノープ』『ゲット・アウト』で知られるジョーダン・ピール氏とコメディアンでもある俳優のキーガン=マイケル・キー氏とで、新プロジェクトを動かしていることが報道されていました。そんなプロジェクトこそが、今回の『ウェンデル&ワイルド』。このプロジェクトに対して2018年にNetflixが、資金調達に加え配給を担うことを表明し、ついに豪華な布陣での、ヘンリー・セリック監督の久しぶりの映画が完成にまで至ったわけです。

アニメーション界の大物でありながらも、結局は長い期間の沈黙が生まれてしまったヘンリー・セリック監督。しかし、今月末にその沈黙がついに解かれるわけです。10年以上のエネルギーが詰まっていると考えると、ストップモーションアニメーション界の新たな名作となっている可能性は大いにあり。

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