心が渋滞している人にこそ観てほしい。映画「スターフィッシュ」レビュー【Blu-ray発売記念】

みなさん初めまして。
Vtuberの蟹と申します。

普段は空想料理店という料理動画をYoutubeに投稿したり、たまにアーティストさんのMVを作ったりしています。
ありがたいことにこの度、スターフィッシュという映画のPR案件をいただきました。

スターフィッシュ作品紹介

あらすじ
親友グレースの葬式に参加した主人公オーブリー。
悲しみのあまり彼女の部屋に忍び込みグレースの思い出達とともに一夜を明かす。
目が覚めると街には雪が積もり人々の姿はなく、クリーチャーがおる！逃げるオーブリー！
助けてくれたのは無線機の向こう側にいる謎の男
どうやら地球がヤバいらしい。
グレイスは地球を救う方法をいくつかのミックステープに残し、
二人の思い出の場所へそれぞれ隠したというメッセージ。
色々悩みながら数日が経ち、食料も底をつきそうなオーブリーはとりあえずテープを集めるため
危険な街を探索する

ざっくり描くとこんなストーリーなんですが、公式ホームページに掲載されている監督のインタビューでは
「白黒はっきりさせたラストじゃなくてグレーを持ち帰ってほしい」
と仰っしゃられている通り、全体的に説明が少なく比喩暗喩バリバリ。謎の場面転換も多く
深読み自己解釈必須な作品となっています。

もう初めての映画PR執筆に扱う作品じゃないじゃんと、もっとホットショット2みたいなバカ映画でもよかったのにと…

めちゃくちゃ悩んだ結果、好きなシーンをいくつか抜粋して紹介させていただくことにしました。

スターフィッシュのココが可愛いポイント

外着のコートが可愛い

雪の積もった街へ行く際にオーブリーが毛皮のコートを着るんですが、狼の顔の帽子がセットになっています。
かわいい。
街には人を襲うクリーチャーがいるのでそんな目立つ格好をしたら危ないと思うんですが、世界を救うという散策に
かるいワクワク旅感を抱いているのかもしれません。かわいい。

クリーチャーに襲われてるとき、大事なカセットテーププレーヤーは落としても狼の帽子は大事に抱えながら逃げるオーブリー！かわいい。

相棒の亀

世界で一人ぼっちになってしまったオーブリーの唯一の話し相手は、親友グレースが部屋で飼育していた亀とクラゲ。
ソファで座りながら眠りにつき、朝になると彼女の頭の天辺に登っている亀。
いやさすがにそれはありえんて。でもそのちょっとしたコミカルさは日本の日常アニメのような雰囲気も感じさせてほんわかします。かわいい。

使えなくなったブラウン管テレビに落書きをするオーブリー

世界を救えるのは自分だけかもしれないと知ったオーブリーはその使命から目を逸らして引きこもります。
そして一瞬だけモニターに雑な花の絵が描かれたブラウン管テレビが移ります。
世界がおかしくなる前は普通に見れたテレビですが、今はもうつけても何も放映されていない=世界は滅びかけているという事なのでしょう。
それでも何となく、テレビになにか映ってないのは寂しいからと落書きをしてしまうオーブリーの行動が、まるで崩壊する世界への反骨精神が感じ取れます。

唐突に始まる手塚プロダクション制作のアニメ

作中で本当に唐突にアニメーションが始まるシーンがあります。
そのアニメを制作しているのはなんと日本の手塚プロダクション。な…なぜ手塚プロが？
アトムはでません。アニメになったオーブリーもかわいい。

大勢の兵士に囲まれて弓矢で応戦していたのですが矢を打ち尽くしてしまい、仕方がないのでその辺にいた鶏を矢のかわりとして飛ばすシーン

以上が僕の好きな好きなシーンの抜粋です。
一つだけ違う映画のシーンがありますがわかるかな？

心が渋滞している人にこそ観てほしいスターフィッシュ

ちなみにこの映画は監督ATホワイト氏が精神が疲弊しているときに自分の心を整理するために書き上げられた作品だそうです。
つまりこの映画は監督自身の心の模様なのだと思います。
人の心は複雑で道理が通らないことや自分でもなぜそう考えているのかわからない部分が沢山あって、それが映画に強く反映されているので少し説明が足りなく感じる部分もあるかなーっていうのが正直な感想です。
さまざまな事に追われたり、不意に沢山の事が同時にやってきて追い詰められている人にこそ、この映画を見て自分の心のぼやけた部分を整理してみてはいかがでしょうか。

そしてこの映画、シガー・ロスをはじめ、インディー・オルタナ・ポストロックなどの音楽が多数使われております。音楽好きの20代後半~40代にはシビれる選曲センス!
もちろん若い人もこれを基にポストロックにハマること間違いないでしょう。