2021年も終わろうとしている。ワクチン接種や東京オリンピック、あと公開延期されていた映画がモリモリ公開されたりした。皆様にとってはどんな1年だっただろうか。
今年はなんと言っても殺人鬼映画が熱かった。殺人鬼映画が大豊作だった。一年中スクリーンで人が殺されるのを喜んでいたと言ってもそれほど大袈裟ではない。それでは2021年特に印象的だった殺人鬼映画を4つ振り返っていこう。
『ザ・スイッチ』
殺人鬼のおっさんと地味女子高生の魂が入れ替わっちゃった、どうしましょう。という映画でめちゃめちゃ面白い。言うまでもないがジャンルはホラーコメディ。
屈強なおっさんの体に戸惑う女子高生、貧弱な女子高生の体に戸惑う殺人鬼。「男女入れ替わりモノ+殺人鬼モノ」という設定でイメージする「こういうのやってほしいよね」というのは全部やってくれる。
主演二人の演技が見ているだけでめちゃめちゃ楽しい。女子高生の魂が入ったおっさんの演技が面白いのは言うまでもないが、「殺人鬼」の魂が入った女子高生の演技がめちゃめちゃ「往年の殺人鬼映画の殺人鬼~」って感じで嬉しい。無言でゆっくりあたりを見回すシーンだけで「ああ、殺人鬼の動きだ……」と感動してしまった。殺人鬼は無言でゆっくりあたりを見回すものだから。名作殺人鬼映画のパロディもそこかしこに差し込まれていて嬉しい。
入れ替わりモノという飛び道具ではあるが、殺人シーンもパワータイプ殺人に芸術タイプ殺人と色々取り揃えてあってしっかり血まみれで気持ち良い。また死んでほしいやつはだいたい死ぬので爽やかな気持ちになれる映画でもある。死んでほしいやつが死ぬ映画は最高。
『スパイラル:ソウ・オールリセット』
みんな大好き名作ソリッドシチュエーションスリラー『ソウ』シリーズ最新作。オールリセットの副題の通り「シリーズを仕切り直してまた新しく始めるよ、みんな見てね」という作品だ。
とはいえ過去作と全く繋がりがないわけでもなく「なんか昔ジグソウって殺人鬼がいたけど同じような手口のやつがまた出てきちゃったよ、模倣犯だ!」程度のつながりはある。
過去作『ソウ』シリーズはあくまでもおもしろデスゲームを中心にストーリーが進んでいたのに対して、本作ではおもしろデスゲーム事件を追う警察の捜査が中心になっている。『ソウ』シリーズらしいおもしろデスゲームを期待して見に行ったのでそこはちょっと肩透かしを食らった。あと勘が良い人は真犯人がすぐわかっちゃうんじゃないか。
とはいえ差し込まれるデスゲームはいつもの『ソウ』シリーズそのものだし、最後の仕掛けなんかはかなり興奮してしまった。
ソウはシリーズが続けば続くだけ面白おかしく人が死ぬので今後も続いてほしい。
『ハロウィンKILLS』(見出し)
名作殺人鬼映画『ハロウィン』シリーズの最新作。めちゃめちゃ面白いし、とにかくめちゃめちゃ人が死ぬ。KILLSの副題の通り景気の良い殺人シーンがてんこ盛りでお腹いっぱいになる。殺人鬼映画は人が死ねば死ぬほど良い。「人がいっぱい死ぬ映画が見てえな」と思ったら本作を見れば間違いない。
本作では街に放たれた殺人鬼に対抗するため、街の人々が自警団を結成し立ち上がる。
時にその正義感が暴走して「本当に怖いのは殺人鬼よりも普通の人の行き過ぎた正義感なのかもしれませんね……」みたいな展開もあるのだが「そんなわけないだろ殺人鬼の方が怖いに決まってんだろ」とばかりに人が殺されるのでめちゃめちゃスッキリする。
本作は1978年の1作目『ハロウィン』と、その40年後を描いた2018年の『ハロウィン』の続きとなるのでできれば両方、最低でも2018年版だけでも見てから見ることをお勧めする。2作とも超面白いし。そして最終章『ハロウィンENDS』に備えよう。
『マリグナント 狂暴な悪夢』
『ソウ』『死霊館』『アクアマン』のジェームズ・ワン監督の新作殺人鬼ホラー。ジェームズ・ワンにハズレ無し。めちゃめちゃ面白い。
ネタバレ厳禁タイプの面白さなのであまり深くは紹介できない。超面白いから信じて見てくださいとしか言えないが、見どころを上げるなら本作の殺人鬼「ガブリエル」が最高。
最初は「なんかロン毛の人?」といった印象だが、素顔がはっきり見えた時の見た目のインパクトが凄まじい。さらにメイン武器の金色の剣がめちゃめちゃかっこいい上に、独特の形状にもしっかり意味がある。可動フィギュア出たらほしい。
見た目だけでなく立ち振る舞いの不気味さ、何よりアクションシーンがかっこいい。殺人シーンを「アクションシーン」と言いたくなるほどのスタイリッシュでかっこいい殺しを見ることができる。またそのアクションを魅せるカメラワークが涎が出るほどかっこいいので涎を出しながら注目してほしい。
ガブリエルは今後ジェイソンやフレディ、チャッキーやレザーフェイスなどのホラーキャラクターたちに匹敵するホラーアイコンになることは間違いない。めちゃめちゃ続編が作られたりめちゃめちゃパロディされたりするに違いない。見よう。
とりあえず4作紹介してきた。このように、確実に殺人鬼映画の波が来ている。大殺人鬼映画ブームが来るに違いない。自己紹介の定番の話題は「好きな殺人鬼映画」になるだろうし、面接でも聞かれるようになる。テレビでも「4週連続殺人鬼映画特集」などとやるに違いないし、子供たちは殺人鬼ごっこに勤しむだろう。そしてこの2021年はのちに殺人鬼元年と呼ばれる。
メチャクチャなことを言っているのはわかっているが、それくらい今年の殺人鬼映画は豊作だったのだ。見よう。殺人鬼映画。
- 本物のバトル俳優たちを集めに集めた最強の肉弾アクション映画!『The Last Kumite』
- ナースのキクミカワさん 1話
- ホイホ・ホイホイホ/ほしつ 7話
- ぢごくもよう 第三十二話『桶屋の棺桶』
- いいから読んで!でも待って!!19巻出るまで最新話とか読まないで!漫画『龍と苺』のくれた「体験」
- 劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』レビュー。劇場で香る「大人の仮面ライダー」の深い味わいに涙!
- サキュバスのメロメロ 16話/マー
- ぢごくもよう 第三十一話『山の女』
- ドラえもんがどら焼き屋でやりたい放題!店を大きくするためなら地上げも辞さない『ドラえもんのどら焼き屋さん物語』絵日記
- 『エヴァンゲリオン』に受け継がれた『宇宙戦艦ヤマト』のDNA―忙しなさと段取りが、ドラマを形作る。