ホラーのジャンルではオムニバスの形式がよく見られ、日本でも『世にも奇妙な物語』などの作品が長く愛されている。
オムニバス形式では、様々なテイストの短編作品を気軽に楽しむことができてお得感があると同時に、数本の内1本でも自分に合う作品があれば総合的に勝ったような気分にもなれる。
そうしたオムニバス形式の作品の中でも取り分け無秩序で混沌とした作品が存在する。
それが『チレラマ』…
『チレラマ CHILLERAMA』
とあるドライブインシアターの閉館日、最後のプログラムとして上映される4つの短編映画という設定で進行する、2011年公開の作品。
日本では劇場未公開でDVDスルーとなった作品だが、カルト的人気を博し、その壮絶な内容から度々話題に上がることもある。
1本目から衝撃的な『精子怪獣ワジラ』。


精子の数が少ないことが発覚したとある男性が、精子の数を増やすために新薬の投薬を行うが、その新薬の副作用によって巨大化した精子が暴れまわるというトンデモ設定の作品。
初めは、30~40cmくらいの精子(それでもデカい)だったが、人を襲い最終的には怪獣のような大きさにまで成長してしまう。
精子の本懐を利用し、自由の女神で精子怪獣をおびき寄せようと画策する作戦や、自由の女神に巨大なコンドームをかぶせようとする意味不明な頭の悪い展開に脳がシビれてしまう。


全体的に荒唐無稽ではあるものの、人間サイズのやや巨大な精子が人を襲う描写はホラー要素が強く、終盤の怪獣展開では全力でコメディ方向に振っており、様々な要素を楽しむことができる作品でもある。
凶暴な顔つきではあるものの、ピョコピョコ動くワジラは可愛げもある。


恐ろしいことに、『チレラマ』に収録された他の作品と比べると『精子怪獣ワジラ』はまだマシな方で、他の3作品の下品度・倫理観の欠如は凄まじい。ワジラも大概だが。
尻を噛まれてクマ男になってしまった主人公の受難を描く『ヤング クマ男の絶叫』、アンネ・フランクがフランケンシュタインの家系だったという設定で描く『アンネ・フランケンシュタインの日記』、ゾンビ・人間入り乱れての乱交を描く『ZOM-B MOVIE』と非常にパンチの強い作品群で構成される『チレラマ』。
冗談抜きで、人によっては強い嫌悪感を抱いてしまうような作品もあるため、『チレラマ』としてオススメすることの難しさはあるが『精子怪獣ワジラ』をはじめ、1本でもフィットする作品があれば総合的に勝ちだと思うので、上記予告編を見て興味のある作品があればぜひ週末にでも気軽に見て欲しい。
ちょっと前まではNETFLIXで視聴可能だったが現在は配信されていないので、内容と相まって勧めづらさがあるのだが、強い意志を持って近所のTSUTAYAさんなどに足を運ぼう!
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