『相撲取りブルーノ』
驚異のゴーカート力士・スモウスーツ登場
なぁ……力士ってどんくらい強ぇんだ?
なぜシックスパックがいない…? なぜ長距離を走らない…? なぜ……
えっ!?
というわけで今回はAmazonPrimeVideoをdigってたら見つけたドイツの映画『相撲取りブルーノ』を紹介するぜ。
あらすじ…ドイツのど田舎・リーザにて世界相撲選手権大会が開催される。リーザに住む陰キャのデブ・ブルーノは悪友にそそのかされて相撲大会に出場することになる……。
まずリーザって街を知らなかった。ドレスデンの片隅にある小っせぇ街らしい。この街ではなぜか異常に相撲が流行っている。ディスコにすら土俵があるし、主人公の友人は謝罪の意思を示すためにどこから買ってきたのか力士フィギュアを買ってきて主人公に手渡す。リーザの住民はどいつもこいつも相撲に夢中だ。いったいどうなってるんだ?
不思議に思っていたがどうやらこの出来事はある程度史実に則っているらしく、1999年に実際にリーザで世界相撲選手権大会が開催されている。しかもこれは初めて日本国外で開催された大会なんだと。ふえーっ。この作品はその様子に感銘を受けた監督が「これでひとネタ作るべぇ」というノリで作ったものらしい。へぇーっ。
しかしそこはドイツの映画だ。本当に相撲を描けるのか? と不安になってくる。事実、開始10分で非デブが相撲を取るための「スモウスーツ」なるものが登場したりして「やっぱりこういうノリなのか……」とある意味絶望、ある意味期待通りみたいな二律背反に襲われる! なんだよそれ!
が、安心してほしい(がっかりするやつもいるかもしれないが)この映画、案外マトモだし、相撲に関しても変にミステリアスに接していない。ドイツ人の感性を持って、なるべく理解しよう、敬意を示そうという態度が見えてきて好印象だ。もちろんツッコミどころは満載ではあるんだが……。なんだかそのツッコミどころを指摘するのもちょっとヤボなんじゃないか? というくらいに割と「ちゃんとした」作品になっていたよ。
主人公とともに成長する相撲描写
例えば主人公の師匠役を買って出る「明石先生」は寿司屋「八人目の侍(ナイスすぎる名前だ)」を経営する日系ドイツ人。相撲取りでも日本人でもないうえに、ときどき力士と侍を混同したようなことを言い出す困ったオッサンだ。が、あまりそこをおもしろがるのは悪い気がするな……というくらい芯がしっかりあるオヤジでもある。役柄的には完全に『ロッキー』のミッキーであり、見ているとどんどん好きになってしまう。記事冒頭でゴーカートに乗って登場する力士という衝撃的なカットをお見せしたけども、あれも物語のなかでは「徳の低い悪ふざけ」として登場している。この映画、最初こそフーセンで作った土俵やらゴーカート場で行われる相撲やら、「おいおいおいドイツ人さんよぉ~~!!」と叫びたくなる相撲概念が出てきてクラクラするが、主人公が相撲への熱意を高めていくとともに相撲解像度も上がっていって、最終的にすごいちゃんとした相撲になるんだよね。
ラストでは立派に吊り屋根までついた、国技館もかくやというほどの完成度の土俵が出てきて謎の感動を得られるよ。
そしてお話的にも「相撲を軸に『ロッキー』をアレンジしてみたよ~!」的な内容で素直にアツくなれる内容で悪くない。ものすごい名作かっていうとまあ正直そうでもなくて、「やっぱロッキーってよく出来てるよな…」みたいに改めて考えてしまったりもするんだけど、逆にそのちょっと凡庸なところが本作のチャームポイントになってる気がするなあ。
あと、ときどき妙に「いいカット」が出てくるのも印象的だった。ドイツの田舎っていう空気感がよく出てて独特の雰囲気があるよ。
かなりいいカットが急に出てきたりしてうれしくなる。やっぱりイロモノ映画じゃなくて割とていねいにできてるんだわ
ものすごーいおもしろいわけではない、でもなんかていねいに作られててうれしい気持ちになる映画だ。それまで入ったことがない個人経営の蕎麦屋に入ってみたら意外なほど満足できたみたいな、ちょっといい気持ちが発生します。お休みの日よりも平日、夜寝る前とかに見るのがおすすめなカンジのハレよりケな映画です。よかったよ。
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