皆さんは『元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件』の事を覚えているだろうか?
映画界隈で少し話題になった作品なのだが、話題になり方が少し特殊だったので「知らない」「聞いたことない」という人がいても仕方ない。
それはこの映画が公開される2021年6月の事…
邦題が「元カレとセスナに乗ったらパイロットが死んじゃった話」から「元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件」に変更されたのだ。
これはセスナというのは社名であり、映画に出てくる飛行機はセスナでは無いという声がTwitter上で上がったことによる措置という珍しいケース。
しかも、これの面白い所は配給だけではなく権利元のSTX自ら「一度許可を通したが、誤った承認をして申し訳ない」と謝罪したのも珍しかったので、一部の人には強烈に印象が残っている。
なのだが、この作品を実際に観た人はどのぐらいいるだろうか?
実は編集部では公開年に視聴していたが、紹介する機会に恵まれなかった為本サイトでは紹介していなかった。実際結構バズったし、内容も面白かったのでそのうち…と思ったら案外その名前騒動以降は聞かないタイトルに…。
だが、今回は2023年3月3日にこの作品がAmazon primeに入ったので2年の時を経て紹介させてもらおう。
クソ邦題!とはならないある意味でタイトル通りの作品
ここまで長々と話をしたが、何故あまり話題にならない(観られていない)のだろうと思った時真っ先に出るのは「邦題がつまらなさそう」ではないだろうか。
どことなく最近の転生モノっぽいタイトルを意識しているから?
転生モノ=つまらない という事は勿論無い。ただ、その奇をてらって付けられたような感じに消費者側としては「くだんねーだろうなぁ~」という空気が漂うのだ。
クソ邦題でも面白い作品は勿論ある!あるのだが、どうしても中身が無いからどこかで奇をてらったのでは?と邪推してしまう。
実際この改題前のタイトルの時にはかなり物議を醸したという経緯もあって、原題が「HORIZON LINE(水平線)」というタイトルかつポスターも暗く真剣なスリラーらしい作りだった。
これに関してはハッキリ言ってしまうと本国版より日本版の方がイメージに合っている!
まず、この作品は結構根がバカだし明るい作風だ。
友人の結婚式前夜に集まった孤島でお祭り騒ぎの中、1年前に別れたはずの恋人となんとなく雰囲気でヤッてしまい大遅刻。遅刻を取り戻すために2人で小型飛行機に乗ったらパイロットが死んじゃった…
という話なのだが、もう兎に角スタートからバカな登場人物だらけ。確かにこの後の展開は手に汗握るようなシチュエーションスリラーなのだが、ノリとしては本国のポスターのような重厚な雰囲気では無い。
ただ勘違いして欲しくないのは、バカではあるけどおふざけは無い。そういった意味で所謂B級映画やZ級映画のようなおちゃらけは無く、かなり正統派で映像面もしっかりした作りになっている。
なんなら低予算でこそあれどショボい部分というのは存在しないので、ビデオスルーや配信オンリーではなく劇場にかかったのも納得の出来だ。
空の密室でここまで色々出来るもんなんだなぁ
この映画をショボくしていない要因の一つとして「空における様々なアクシデントが起こり続ける」という事だ。
パイロットが死んでしまうのが一番のアクシデントではあるが、これぐらいなら世界まる見えに年1ぐらいでありそうだし90分の映画と短めとはいえ会話がメインなんじゃないの?
と思っているそこのあなた。まさにこの作品の罠にかかっています。
兎に角起きる起きる次から次へと不幸なアクシデントが…。
GPSは壊れるわ通信機は壊れるわ、燃料も気付いたらなくなるわ…状況がドンドン悪化していく様を見ているともはや笑えてくる。ここまでくると一歩間違えればコントの領域に踏み込んでしまうのでは無いかと不安になるが、そこは良いバランス感覚で進んでくれる。
飛行機題材自体の映画は世に沢山あるが、大体が旅客機の中で起こる密室事件とかが多い。この作品はあくまで空で起きる事象をメインにシチュエーションスリラーとして完璧に描き切っているので、その辺の飛行機映画を観た人も楽しく視聴できるはず。
安い言葉になってしまうが、新しい感覚を得られる。作りはコテコテなのに。
「俺ならマジンガーZを空から攻めるね」という名言があるが、この作品はまさにそれだ。
「俺ならシチュエーションスリラーを空から攻めるね」と監督は言ったはず。
そのぐらい使い古されたはずのワンシチュエーションという部分を真っ正面から、でも工夫を凝らした作品になっている。是非見て欲しいので詳細はぼかすが、終盤の「まだ何か起こるのか!?」と思わず唸ってしまう展開には是非注目して欲しい。
日本版ポスターのイメージのようにスカっと観れる良作
既に説明した通り、バカだしかなり無茶な場面もあるし悪い方向にご都合主義なのだが観ていて安心する爽やかさがある。
それは登場人物が前向きだし、状況を打破するために二人が一生懸命でスリラーなのに陰鬱さが無いのがこの作品の特徴でもあるからだ。
もっとウケてたら午後ローとかに流れてても良いようなレベルなのだが、如何せんゴタゴタ以外の知名度が低い。
なので、激推ししたいのだがこのタイミングでこの作品を取り上げたのにはもう1つ理由がある。
実はこの主役であるサラ役のアリソン・ウィリアムズは6月公開の『M3GAN/ミーガン』の主演であり製作総指揮の一人でもあるのだ。
元々ゲット・アウトにも出演していた彼女だが、この作品で同じく主演を務めたアレクサンダー・ドレイマンと結婚をして元カレどころか今カレを通り越して今ダンナになったという人生のターニングポイント的作品になっている。
今後も活躍しそうな彼女をチェックするのに本作を視聴してみてはどうだろうか。
作品情報
(Amazonより引用)
監督:ミカエル・マルシメーン
出演:アリソン・ウィリアムズ, アレクサンダー・ドレイマン, キース・デヴィッド
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※当記事は「トイレ」 「う〇こ」といった不衛生なワードが多数登場します。食事しながらの閲覧はお控えください。 私は労働が嫌いなので、絶対に職場や通勤途中で死ぬのは避けたいと思って過ごしています。 しかし、世の中には職場[…]
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