好き好き死ぬシーン『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』『ゴジラ対ヘドラ』映画の死亡シーン特集②

好き好き死ぬシーン『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』『ゴジラ対ヘドラ』
 怪獣映画が好きだ。生まれて初めて映画館で見た映画はゴジラVSモスラでそのまま幼少期を平成VSシリーズのゴジラを見て育った。
 その頃に覚えた「映画といえばでかい怪獣が戦うものだ」という認識はいまだに完全に抜け切っておらず、俺(ナ月です)の精神の奥底に根付いている。

 マイフェイバリットゴジラ映画の話とマイフェイバリットゴジラの「死ぬシーン」の話をさせてくれ。
 本コラムは扱っている題材の性質上多少のネタバレが含まれるのでご了承いただきたい。

 マイフェイバリットゴジラ映画は『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001)だ。通称GMK。一番好き。大好き。

 超名作の平成ガメラ三部作を監督した金子修介監督によるゴジラで、太平洋戦争の犠牲者の怨念がクッソ怖いゴジラになってやってくるというかなり攻めた設定の本作。シン・ゴジラ以前までは一番怖いゴジラとして有名だった。
 そのくせなぜかとっとこハム太郎と同時上映してかの珍品ゴジハムくんを生んだ作品としても知られている。

 怪獣が暴れればその辺の人が死ぬのは当然だが、本作はやたらと怪獣が人を殺すシーンがあるのが特徴だ。あのモスラさえ本作では人を殺す。

 そんな怪獣によって人が死ぬシーン。本作で外せないのはやはり病院のシーンだろう。

 足を怪我して入院している女性。クッソ怖いゴジラが病院のすぐそばまで迫っているのにベッドから避難することすらままならない。マジ怖い。
 ただ窓を見ながら絶望の悲鳴をあげることしかできない女性。

 ゴジラがくる!! 

 ゴジラがくるぞ!! 

 もうダメだ死ぬ!!

 ……………ゴジラ素通り!! 

 ほっと胸を撫で下ろす女性。

 その病室に向かってゴジラの尻尾がドーーン!!!

 完全にホラー映画のやり口だ。ずるいゴジラ。
 この女性の怯える演技がめちゃめちゃ良いのだが、なんと演じているのは篠原ともえさん。当時の俺の中ではまだ面白お姉さんのイメージだったためそのギャップがまた怖さを増幅させてくれた。名「死ぬシーン」だ。

 さてゴジラ映画の人類は怪獣にやられてばかりではない。いかにして人類は怪獣に立ち向かうか。その結果やっつけたり死んだり、そこもゴジラ映画の魅力と言って間違いないだろう。

 中でも強烈に印象に残っている「怪獣に立ち向かう人類のシーン」をあげるならば『ゴジラ対ヘドラ』(1971)のワンシーンだ。

 この映画はなんというか全体的に様子がおかしい。メインの敵怪獣ヘドラのデザインからしてちょっとどうかしている。音楽、美術、シナリオどれも強烈なクセがあるが間違いなく名作ではある。これも大好きな一本だ。GMK並かそれ以上に怪獣が人を殺すシーンあるし。

 映画後半、ヘドラを産んだ公害に反対するための100万人ゴーゴーと称した若者の集まりが富士の裾野で開かれる。集う若者約100人。社会に不満がある若者はとりあえず集会をするのだ。
 焚き火を囲んで音楽をジャカジャカ鳴らすわ踊るわ。それが何になるのかはわからないが、若者はそうするしかないんだ。

 そこへ現れるゴジラとヘドラ。ゴジラをなぎ倒してそのまま若者の方へ迫るヘドラ。さあ大ピンチだ若者。

 しかし黙ってやられる人類じゃあないぜ!!

 ヘドラはヘドロだから火で乾燥させられるのに弱いんだ!!

 松明を投げつけてやれ!!

 ヘドラにペチンペチン当たる火の粉みたいな松明。

 ゴジラシリーズに登場する対怪獣兵器の中でも最も安価だろうな、松明。ゴジラ映画史上最も見てられない人類の怪獣への反撃だ。このやぶれかぶれ具合が狂気的でめちゃめちゃ印象深い。

 そしてシーンが切り替わるとなんかみんなヘドロまみれで死んでる。

 絶対に勝てない相手に精神だけは負けを認めず立ち向かって散る。映画ではよくある日本人好みの熱い展開かもしれないが、これを100%はっきり無駄死にとして描いているのがすごい。「なんだったんだよ今の」と言いたくなるような、この映画のなんか変さを象徴する「死ぬシーン」だ。

 長い歴史を誇るゴジラシリーズ。そしてその怪獣たちの足元ではいつも人が死にまくっている。たまには怪獣から目線を少し下げて、その足元に想いを馳せてみてほしい。面白いぞ。

本記事で取り上げた作品は2020年4月12日現在、Amazonプライム会員無料視聴可能です。

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