先日、レンタルビデオ店に行くと、こんな作品を発見した。
映画『犬鳴村』のディスクだが、そこには「恐怖回避ぶぁーじょん」というサブタイトルが添えられている。(公式では『恐怖回避ばーじょん』)
前回「犬鳴村VS風鳴村」というバトル記事を執筆した際に、「そんなバージョンもあるのか…」と、気にしていた作品である。
予告を見ると、恐怖回避を通り越してなかなかの狂気があった。
すでにオリジナル版を鑑賞している身として、これは比較しなければという使命感に駆られ、早速鑑賞してみた。
(新作5枚で1000円レンタルするためだけに、深田晃司監督の『よこがお』とか岩井俊二監督の『ラストレター』とか借りました。すいません。)
【注意】
今回はあくまでレビューではなく体験レポです。
詳しい情報や感想に関しては、ムービーナーズで【OL映画日記】を書かれている常世モコさんの動画のほうが分かりやすいので、ぜひご覧ください。
また、本記事はオリジナル版『犬鳴村』ネタバレも含んでいます。
あらゆる恐怖を回避する!『犬鳴村 恐怖回避ばーじょん』
DVDを再生すると、まずは「恐怖回避ばーじょん」についての説明が始まる。
可愛いトイプードルのイラストが、可愛い声で「怖い人でも安心して見られるよ!」と教えてくれる。筆者は猫派だが、犬もやっぱりいいな…と思う。
心霊現象や観客を驚かす演出にはおもしろエフェクトがかかり、犬のアイコンが表示されると、テロップを声に出して叫ぶという「絶叫上映」的演出もなされているようだ。
とはいえ、あくまで劇場で鑑賞している人への説明なので、自宅で一人鑑賞している身としては、ちょっと恥ずかしい気持ちになった。「私、何見てるんだろう…」みたいな…。
ちなみに「恐怖回避ばーじょん」はオリジナル版をそのままに、恐怖を回避するためにあらゆる演出を上乗せしている。オリジナル版『犬鳴村』からの追加シーンやカットシーンはない。
そのため、冒頭で明菜と悠真が心霊スポット「犬鳴村」に訪れるシーンでは、いきなり怒涛の「恐怖回避演出」の連続となる。
大きな音などで驚かすシーンには事前のカウントダウンが入り、心霊現象が起きるとお花やお星さまのエフェクトでキラキラ回避。
ゾッとするシーンでは可愛いワンコのスタンプが大量発生し、グロシーンは「いらすとや」で再現してくれるなど、グロ耐性のない人も安心である。
明菜が悠真を振り払って逃げ出すシーンは、別に怖くないけど格ゲー風の演出をしてくれる。YUMAが弱キャラすぎる。
ちなみに恐怖シーン以外は、基本的にノー編集。
ただし吐血や吐瀉物には、バラエティ番組でおなじみのキラキラ☆エフェクトが入るなど、育ちの良さそうな編集が見られた。
人が死ぬときほど映える『恐怖回避ばーじょん』
恐怖の山場を越えると、オリジナル版と同じ映像が続く…。
しかし油断していると、恐怖回避とはまったく関係ないエフェクトも入る。
たとえば主人公の奏がカウンセリングを担当する少年の母親(人間の方)に突然「あれ、この人…」というテロップが出る。
なんだろう…とビクビクしながら見ていると「『呪怨』に出演していた人だ!」とキャストの過去出演作を教えてくれた。優しい。
また当然だが、ホラー映画なので人が死ぬ。
そのシーンはやっぱり怖いので、「恐怖回避ばーじょん」の見せどころである。
明菜が突如飛び降り自殺するシーンは「バンジージャンプに失敗した」ことになり、電話ボックスでヤンキーが溺死するシーンは「友達が小便を漏らして満水になる」という設定になっていた。
「なっていた」というのは、キャラクターに回想用の吹き出しが頻繁に添えられ、内容を強制的に上書きしているのである。
それによって、どのキャラも結構なバラエティ脳になっていた。
他にも人が死にそうなのに、ワンコが(謎の)手相を見て生命線を気にしたり、※DJ INUNAKIが登場するなど、かなりカオスになっている。
※DJ INUNAKI…『恐怖回避ばーじょん』に登場する犬のDJ。人が死ぬぞって側でターンテーブルを回しはじめる。
とにかく明るい『恐怖回避ばーじょん』の幽霊たち
極めつけは、ホラーにおいて最も恐怖の存在・幽霊の恐怖回避シーンである。
これはもう力技で、全員ポジティブになっている。
オリジナル版『犬鳴村』では、悠真が明菜の死の真相を調べるために、単身「犬鳴トンネル」に入ると、おびただしい数の幽霊におそわれてしまう。
これが「恐怖回避ばーじょん」になると、面食いの幽霊たちが悠真を取り合う設定になっている。
突然村に来た電力会社の人間に「この村の女たちは犬と交わっている」なんて噂を流されたせいで、うっぷんも溜まっていたのだろう。
犬鳴トンネルの入口からハートが漏れ出るなど、漫画やアニメでよく見る、嬉しくない方のラッキースケベみたいになっていた。これはこれでご愁傷様です…。
あと、幽霊がみんな元気です。挨拶もちゃんとするし。
ちなみに犬鳴村から脱出したあと、ラストで奏の祖母(幽霊)が登場するシーンには“May the JUON be with you”(呪いとともにあらんことを)なんてしょうもない名言を流し、丸く納めていた。やかましいわ!
映画『犬鳴村 恐怖回避ばーじょん』感想
映画『犬鳴村 恐怖回避ばーじょん』を分かりやすく説明すると、ホラー映画を無理やりスイーツ映画やバラエティ番組風に演出し直した映画である。
ホラーの面白さを全消ししているので、ミステリー映画で例えるなら、「犯人はこいつ!👇」「今からこの人殺されます!」みたいなテロップが終始出ている感じ。
なので「ホラー初心者でも安心!」という感想も間違ってはいない。
コメディ要素としても面白く、劇場で友達と見れば盛り上がる演出も!
しかし筆者のように家で一人で見ると、テンションについていけず感情が死んでいくので注意が必要である。
DVDで見るにしても、友達とお酒でも飲みながら見るのが良いと思いました。
【おまけ】『恐怖回避ばーじょん』なのに「ガチ」のやつ、見えちゃいました…。
実は本編を鑑賞していたとき、非常に不気味に感じた「恐怖回避演出」がある。
それは本編3分59秒頃、明菜と悠真が犬鳴トンネルに入ったシーン。
そこで「迷子、発見!」というテロップが表示されるのだが、迷子なんて、どこにもいないのだ。
こちらは共食いゾンビさんが「恐怖回避ばーじょん」を紹介しているツイート。
その2枚目の画像「迷子、発見!」に、黒いベストを着ている人のような姿が見えるだろうか?
静止画像だと気づけるが、映像ではカメラが揺れている一瞬に、このエフェクトが差し込まれるので気づけない。
「え、迷子なんていなかったけど…」と、絵面に反して不気味さが際立つし、オリジナル版で見逃していた不気味な現象に気付かされた時点で、全然恐怖回避してないじゃん(怒)
気になる人は、公式の本編映像(2分6秒頃)をチェック…。
こちらからは以上です。
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