『ローマ法王の休日』/マシーナリーとも子映画コラム

ローマ法王の休日(原題:Habemus Papam)

元気な映画見たくないときってあるやん

 ある日、作業しながら映画を見ようと思い立った。だがその日はあんまり元気が無かった。ずらりと並ぶAmazonPrimeVideoのラインナップ……。そこに現れるのはカーチェイスやらガンアクションやら冒険映画やら恐竜やら戦争やらヒーローやら宇宙人やら大統領やらとにかくエネルギッシュな作品の数々……。重い! 重いんだよ! トンカツどもが。今の私の体調はどっちかというと雑炊とかどんなにがんばってもかけ蕎麦ってあたりなんだよな。このラインナップたちはあまりにも重すぎる……。かといって猫とかペンギンのドキュメンタリーってのもいくらなんでも淡白すぎる。こんなもん見ながら作業したら寝ちゃうぜ。

 なにか、なにか今のテンションにちょうどいいものは……そんなときに見つけた映画がコレ。

 『ローマ法王の休日』! なんか適度に平和そうで疲れなさそうでいいじゃないか。タイトルは『ローマの休日』のパロか?(ちなみに原題はそんなこともなく邦題で勝手にやったギャグでした)ということでこの映画を今回は見ました。

実は結構重かったりする

予告編だと「法王がうつ病になっちゃった~!?」的な感じだけど実際見ると「これマジのやつじゃん」「ええんかこれ???」って複雑な気分になってきます 

 さてこの映画、なんだかユルいコメディ風を装っているが見てみるとなかなか重いテーマの作品となっていたぜ。
 先代法王が逝去し、バチカンでは次期法王を決めるための選挙……コンクラーヴェが執り行われる。主人公、メルヴィルをはじめとして枢機卿(カトリック教会のえらい人たち)は「法王、やりたくねぇなぁ~……」と思いながら投票に臨んでいたが……。なんとメルヴィルは法王に当選してしまう! 嫌すぎるメルヴィルは重圧に耐えかね、信者への挨拶をボイコット、しまいにはローマ市街へと逃亡してしまうのだった……というお話。
 全体的にはユーモラスに話が運んでいくのだが、縦軸として「ローマ法王就任という重圧によって発作的にうつ病を発症してしまったメルヴィルが、己とどう立ち向かうか」というお話が存在しているため見てて「ど~~すんだ~~~??」と結構重めのハラハラが来る。逃げ出してしまうシーンなどは結構共感性羞恥的なものも襲いかかってくる気がするぜ。特に終盤の展開には驚かされ、見る前の印象とはまるで違ったものを受け止めることになっていやはや、おもしろかったけどいろいろ考えちゃう系の映画だったねえ。

ワイワイするジジイを見るのは最高

ヒマを持て余したワイワイジジイが一生分見られます

 とはいえおもしろシーンもいっぱい摂取できてそういった方面でも大満足。そもそも冒頭の「ローマ教皇になるのを嫌がる枢機卿」の時点でおもしろくてニコニコしちゃった。
 なんかキリスト教、それもカトリックってものすごい厳格なイメージがあるけどそのトップ中のトップたる枢機卿でもそういう面があるんだ! とすげ~安心したよ。その後も枢機卿たちが閉じ込められた礼拝堂の中で──コンクラーヴェ中は情報漏えいを防ぐため教会から一歩も出ることが許されないので──暇つぶしのためにトランプに興じたりダラダラコーヒー飲んだりとほっこりするシーンが盛りだくさん。
 とくに「誰がローマ教皇になるかトトカルチョで自分たちの倍率がいくつだったか」でワイワイするシーンは「こっ、このなまぐさ坊主ども……!!!」とキレながら最高になってしまった。後半ではなぜか教皇の精神科医主催でバレーボール大会が開かれ、謎の、異常な盛り上がりを見せることになる。なんなんだコイツら!?!? でもそうなんだよな。カトリックの偉い奴らだって生活とか趣味とかあるんだもんな。
 いっぽう、そんなお気楽に過ごす枢機卿どもの裏側ではマジで悩み続けるメルヴィルもいるわけで……その対比はまあまあ「あぁ~~……」という気にさせられるがそれはそれとしてワイワイするおじいちゃんどもは大変健康によろしい。
 まあ色々あるけど間違いなくおもしろいし、「アクションもの見るのダリィ~!」というときに見るにはちょうどいい感じの映画かもしれない。カトリックに対してお硬い偏見がある人類たちにはおすすめだぜ。

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