映画『ただ悪より救いたまえ』レビュー|今年のクリスマスは殺し屋が大暴れの血祭り映画で決まり!

『アシュラ』(16)のファン・ジョンミンVS「イカゲーム」(21)のイ・ジョンジェが大喧嘩する殺し屋バトル映画『ただ悪より救いたまえ』が12 月24日より公開されます。

いくつものミッションをこなしてきた凄腕暗殺者(ファン・ジョンミン)と猟奇的なまでにターゲットを痛めつけるサイコな殺し屋(イ・ジョンジェ)が、タイ・バンコクで激しくぶつかり合う!韓国映画なのに、よその国で派手に殺し合う「ケンカはよそでやってくれ」の最上位となった作品をレビューします!今年のクリスマスは血で血を洗う復讐フィーバーだ!!

映画『ただ悪より救いたまえ』あらすじ

《あらすじ》
東京でのミッションを最後に、引退するはずだった暗殺者インナム。ところがかつての恋人がバンコクで殺害され、別れた後に生まれたインナムとの娘が行方不明だと知らされる。
インナムはバンコクに飛び、関わった者を次々と拷問にかけて娘の居所を突き止める。そして、インナムに兄を殺された殺し屋レイも、復讐のためにバンコクに降り立ち、死体の山を築きながらインナムに迫っていた。
絶対に出会ってはいけなかった2人の男の暴走は、どちらかの息の根が止まるまで終わらない―(公式サイトより

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『ただ悪より救いたまえ』の監督を務めるのは『チェイサー』(08)『哀しき獣』(10)などナ・ホンジン監督作品で脚本を手掛けてきたホン・ウォンチャン。今作のように“追う者・追われる者”の構図は彼の十八番ともいえ、今作でも両者の対峙する緊張感がみなぎっています。

ちなみに『ただ悪より救いたまえ』の導入部は日本が舞台となっており、日本のキャストには豊原功補や白竜などが参戦。脇役ではありますが、日本の闇社会をちゃんと日本ロケ・日本人キャストで撮影しているのは好感度高め。殺し屋・レイに若干引いている白竜も見られました。

『ただ悪より救いたまえ』はキャストの既存イメージをぶっ壊す演技が凄い!

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今や「イカゲーム」のブレイクによって日本でも注目を集めるイ・ジョンジェですが、『ただ悪より救いたまえ』では「白牛乳はお腹壊しちゃうよ~」なんてお間抜けなオーラは一切なく、ドぎつい衣装で猟奇的な殺しを堪能するヤバめの殺し屋を怪演。アイスコーヒーを片手に現場にやってくるオシャレ業界人みたいなノリで、人を殴ったり殺したりしていて最高です…。

「イカゲーム」では親の金で競馬に興じるダメ人間が、自分の足で武器屋に行き、自分の拳で店員を殴って大量の武器を奪っているのだからすごい成長です。

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そんなイ・ジョンジェのふり幅が凄すぎて隠れがちですが、本作の主人公を演じるファン・ジョンミンの寡黙な殺し屋もカッコいい。

これまでは『アシュラ』では観客の神経を逆なでる天才か?というほどイヤ~な汚職市長を演じ、『哭声/コクソン』(16)ではフェス並みのテンションで祈祷をし、尋常ではない量のゲロを吐いたりと、胸焼けしそうなキャラを演じています。

今作では一転、無駄なセリフや表情を一切無くした殺し屋を好演。およそ50代とは思えないキレッキレの動きや、殴られた相手が反動でぶっ飛ぶ強烈なグーパンは必見です。

今、血で血を洗う戦いならバンコクがアツい!

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なにかとアクション映画や犯罪映画の舞台になることの多いタイ。『ただ悪より救いたまえ』はバンコクが舞台となっており、主人公たちが殺し合うほかに拉致・誘拐・人身売買が横行するかなり物騒な町になっています。

本作以外にもライアン・ゴズリング主演作『オンリー・ゴッド』(13)をはじめ、ニコラス・ケイジ主演の『バンコック・デンジャラス』(08)、マカオでは『レクイエム 最後の銃弾』(13)などダーティーな作品の舞台といえばタイなのです。

『ただ悪より救いたまえ』でもタイのロケーションを余すことなく活かすだけでなく、タイ警察と現地の闇組織まで巻き込んで主要キャストが殺し合います。人身売買とかヤバいことやっている闇組織が完全にとばっちりを喰らっているのシュールすぎる…。

ちなみに上記作品すべてに出演しているタイのスーパースター、ヴィタヤ・パンスリンガムは『ただ悪より救いたまえ』でもちょい役で出演していました。

(C)2012 : Space Rocket Nation, Gaumont & Wild Bunch
(↑)日本ではライアン・ゴズリングをぼろ雑巾にしたあと、カラオケをキメる俳優として有名。(画像は『オンリー・ゴッド』の予告スクリーンショット)

1作で2種類のバトルスタイルが楽しめる!

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『ただ悪より救いたまえ』における最大の見どころであるアクションも、主要キャストにそれぞれのバトルスタイルが用意されていて面白いです。

寡黙な暗殺者インナムは無駄なし・キレありのアクションと、殴られた相手がビューン!と吹っ飛ぶヘヴィなパンチが持ち味。元工作員という過去を持つこともあって、殺しを楽しむのではなく、“業務”として淡々とかつスピーディーにこなす姿にしびれます。

一方で、ナイフや銃を好んで使用するレイは武器を使ったアクションを駆使して襲い掛かります。とにかく派手な戦闘スタイルは武器にも反映され、マシンガンから手りゅう弾まで、殺すためなら何でもアリという感じでした。戦争でもするの? 

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両者の衣装も対極となっており、全く目立たない地味な衣装のインナムに対し、レイは葬式会場に白のロングコートを着てくるTPOガン無視のコーデ。それに限らず全体的にレイの衣装はド派手であり、殺しもオシャレも楽しんでいる様子。闇社会に生きているけど、人生楽しそうでなによりです。

公式サイトで読めるプロダクションノートには「アクションへの没入感を高めるために、キャラクターたちの過去を推測させるようなアクションスタイルを用意した。」とあります。確かに本作はモノローグなどを極力排しており、上映時間も100分ほどと少し短め。その分、バトルスタイルで登場人物の背景や性格が読み取れるのは面白い体験でした。

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重ねて言いますが、『ただ悪より救いたまえ』の公開日は12月24日。クリスマスイブにあま~いラブロマンスを見るのもいいですが、殺し屋同士の殺し合い映画もおすすめですよ…!

映画『ただ悪より救いたまえ』作品情報

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監督・脚本:ホン・ウォンチャン 
出演:ファン・ジョンミン、イ・ジョンジェ、パク・ジョンミン
制作:2020年(韓国)
上映時間:108分
提供:ツイン、Hulu
配給:ツイン

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