映画『THE KILLER/暗殺者』レビュー!殺し屋もJKが怖い…?勝ち組系殺し屋が魅せるキレキレアクション!

ヤマダマイ

テコンドーやボクシングの達人として知られる、韓国の肉体派俳優によるバイオレンスアクション映画『THE KILLER/暗殺者』が5月26日(金)より公開されます。

『アジョシ』にも通じるストーリーでありながら、web漫画が原作となる本作の世界観はかなり今風でクール、そしてリッチ…。スタイリッシュな演出も目を見張る、独特な殺し屋映画となっています(多すぎる情報量)

映画『THE KILLER/暗殺者』あらすじ

引退した最強の暗殺者ウィガン(チャン・ヒョク)は財テクで成功を収め、派手な生活を送っていた。そんな中、友人と旅行に行く妻から友人の娘である女子高生ユンジ(イ・ソヨン)の面倒を見てほしいと頼まれる。短期間、保護者の役割だけすればいいと軽く考えていたウィガンだったが、人身売買を企む組織にユンジが拉致されてしまう。ユンジを取り戻すべく、ウィガンの暗殺者としての本能が再び覚醒していく――。(公式サイトより引用)

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最強の暗殺者ウィガンを演じるのは、俳優・モデルとしてはもちろん、ジークンドーの達人としても知られるチャン・ヒョク。

日本では『火山高』での主演で注目を集め、アクション映画を中心に様々な作品に出演しています。

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最大の敵としてウィガンの前に立ちふさがるユーリには、幼少期からブルース・リーのファンであると公言するブルース・カーンが抜擢されました。

Netflixオリジナル映画『リベンジャー無敵の復讐心』では主演と脚本を担当するなど、こちらもアクション界隈で多くの実績を残している人物です。

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ヒロインのユンジ役は日本、台湾、韓国のメンバーからなるガールズグループ「公園少女」のメンバーのひとり、イ・ソヨンが務めました。

監督はチャン・ヒョクと過去にタッグを組んだ『刺客』でデビューを果たしたチェ・ジェフンです。

ユニークな設定!これが”勝ち組”の殺し屋かあ

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暗殺者と聞くとアンダーグラウンドな世界で日陰者な印象が強いですが、映画『THE KILLER/暗殺者』の主人公ウィガンは引退後、財テクで富を築いた成功者。『パラサイト半地下の家族』の豪邸よろしく、大きな持ち家に暮らしています。

さらには若くてきれいな妻がいるなど、誰がどう見ても勝ち組の殺し屋です。ウォンビンが見たらどんな気持ちになるか……。

現在ウィガンは不動産運用でお金を稼いでいるので、自宅ではソファで横になりながら「固定資産税問題の解決法」なんて本を読んでいます。(本編と全く関係ありませんが、ウィガンを演じるチャン・ヒョクは2012年に“第46回納税者の日“に模範納税者として選ばれ、同年に国税庁名誉広報大使に選ばれるという、納税者の鏡みたいな人物(wiki情報))。

リッチでリア充…。これまでの殺し屋映画には珍しい、生活にめっちゃ余裕のある主人公の姿はかなり印象的です。

近年では定年退職金をもらって余生を送るはずが、退職金を出し渋る雇い主に命を狙われる『ポーラー 狙われた暗殺者』(主演:マッツ・ミケルセン)や、ゴミ収集員として世捨て人のような生活を送る元殺し屋を描く『クリーン ある殺し屋の献身』(主演:エイドリアン・ブロディ)たちと比べると、待遇の良さが雲泥の差です。

同じ韓国映画では、暗殺者からweb漫画家に転身したすぎて、自分の死を捏造までした『ヒットマン エージェント:ジュン』なんて映画もありました。最近は暗殺者も多様化している時代なのかもしれません…。

そんなすべてを手に入れた殺し屋・ウィガンにも苦手なものがありました。それがJKです。

怖いもの知らずのJK×カネに物言わす元暗殺者

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主人公がずいぶんな言われようですが、ウィガンはヒロインであるJKのユンジを守るために、単身人身売買の組織に殴り込みます。なぜカネと妻(愛妻家なので)しか興味のない男がユンジを必死に守ろうとするのかは『THE KILLER/暗殺者』の大きなポイントです。

一方で殺し屋映画でありながら、裏仕事の後始末やニアミス、必要物資を調達するとなると、ウィガンが有り余るカネで解決しようとする場面が登場します。

頼まれごとをされたかつての仲間は、ウィガンに依頼されると、面倒ごとは勘弁と言わんばかりのリアクションをしますが、ウィガンがどんどんカネを積むと、やっぱり引き受けちゃうのでした。よくない人間社会の縮図がぎゅっと詰まっています。

一方JK・ユンジもかなり奔放で怖いもの知らずの性格。母親の友達(ウィガンの妻)の家に居候するのに、ウィガンを振り回す自由っぷり。普通、親の友達の家とか家族とか、おじさん(筆者)なら死ぬほど気を使いますが・・・。

殺し屋ウィガンでさえ「この年頃の子どもは何を考えているか分からなくて怖い」と回想しているので、なにかと無敵の代名詞になる「陽キャなJK」というのも、あながち間違いではないのかも..?

ちなみに何が何でも自宅に入れたくないウィガンは「非常用」と言って、ユンジに大金を渡して夜遊びに行くよう促していました。ここでもおカネ!

とにかく何でもカネで解決しようとするのは、あまり暗殺者っぽくなくてユニークです。だってお金がなくても、彼らは他人の命を簡単に握れるじゃないですか……?

「JK怖い」って言ってるあなたが一番怖い

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映画『THE KILLER/暗殺者』の主人公ウィガンは顔色どころか息一つあげることなく敵をバッタバッタと倒していきます。さすがチャン・ヒョクが企画した作品だけあって、アクションシーンの力の入れようは凄いです。

長回しのバトルシーンも非常にボリューミー。アクション目当てで鑑賞した筆者は満足でした。キレキレのアクションが好きな人におススメです!

一方で、アングラかつダークな殺しの世界観が好きな人にとって、賛否分かれそうな演出もあります。

主人公は金持ちで基本ノーリスク。「暗い過去を背負った殺し屋が、堅気の幼い命を守るために最後の仕事をする」みたいな内容とはちょっと違いました。

また、暗殺者はターゲットを抹殺するとき、決して表情を変えません。淡々と仕事をこなすプロフェッショナルの姿は、いけないことと分かっていてもその姿勢に憧れる人もいるのではないでしょうか。

しかしクールで洗練されたウィガンですが、不意にヘラヘラと笑い出すなど、つかみどころのない様子がどこか不気味です。主人公らしからぬ不穏さももっています。

“仕事”として対象者を殺すのか、はたまた快楽で殺しているのか。本当によく分からない・・・。そこがウィガンの魅力なのかもしれません。

つかみどころのない表情の変化で「この主人公怖っ…」と思わせる点は、これまでのストイックな殺し屋映画では見られないキャラでよかったです。

映画『THE KILLER/暗殺者』まとめ

ダークでヘビーな設定や世界観とも、痛快なストーリーとも違う、ちょっと変わったアクション映画『THE KILLER/暗殺者』。

往年の設定に飽きてきた人はぜひ挑戦してほしいアクション映画でした。

しかしヒロインのユジンを演じるイ・ソヨンは見れば見るほど広瀬すずに似ているなあと、おじさんは思いました。広瀬すずのファンの方の感想とかも聞きたいです。

映画『THE KILLER/暗殺者』詳細情報

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【CAST&STAFF】

公開日:2023年5月26日(金)
監督:チェ・ジェフン『剣客』 
出演:チャン・ヒョク『剣客』『狼たちの墓標』、ブルース・カーン、イ・スンジュン、イ・ソヨン

2022年/韓国/韓国語/シネスコ/5.1ch/95 分/字幕翻訳:福留友子
原題:더 킬러: 죽어도 되는 아이/英題:The Killer: A Girl Who Deserves to Die
配給:クロックワークス

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