エイドリアン・ブロディが落ちぶれた殺し屋を演じる『クリーン ある殺し屋の献身』が9/16(金)に公開されました。
『レオン』『アジョシ』にも通ずる、闇社会に生きた男が無垢な少女を救う往年のストーリーであり、エイドリアン・ブロディが脚本・製作・音楽まで手掛けた映画です。
そんな本作で気になるのが、作中に登場するショットガンの装備です。
映画『クリーン ある殺し屋の献身』あらすじ
とある寂れた街。ごみ収集員のクリーン(エイドリアン・ブロディ)は身寄りもなく孤独な日々を過ごしているが、彼は隣人の少女・ディアンダをずっと気にかけていた。
ある日、街を牛耳る麻薬ギャングのボス(グレン・フレシュラー)の息子が出所する。その息子を含めた不良グループがディアンダを襲おうとすると、クリーンはディアンダを守るために不良たちを半殺しにする。
しかしそれがギャングのボスに知れたことで、クリーンとディアンダたちは命を狙われることになるーー。
今作のビジュアルにもある、クリーンが使用するショットガンの装備がずっと気になっていました。
これです。ショットガンの銃口に取り付けられた、消火器のような筒状の物体…。
作中では何の説明もなく、クリーンが廃材で作り出しました。これを近所のお店で買ったショットガンに取りつけ、自分と大切な人の命を狙う麻薬ギャングのアジト(豪邸)に乗り込みます。
筆者は銃をバンバン撃つ映画は好きですが、ミリタリーの知識はからっきし。たまに「沸騰ワード10」で、カズレーサーが自衛隊でいろんな体験をしてニコニコしているのを見る程度です。
気になって上記のツイートをしたところ「◎◎だと思います」と反応をいくつかいただきました。当時は試写で鑑賞していたこともあり、情報はあの画像一枚のみでした。そんな少ないなかで情報提供していただきありがとうございます…!
Twitterで頂いた回答
謎のショットガン装備について、主に3つの候補が上がりました。
- サプレッサー(減音器)
- Loudener(日本語表記不明、サプレッサーの逆みたいな装備…?)
- ブラストシールド
(詳細は冒頭のツイートリプライを参照)
サプレッサーは銃の音を小さくする装備。よくスパイ映画とかで「ピュン!」とかいってターゲットを暗殺するやつですね。『ジョン・ウィック:チャプター2』では、人が大勢いる地下鉄でピュンピュン撃ちまくっていたけど、一般人は全然気づかない超便利グッズです。(実際はそうでもないらしいですが…汗)
リプライでは『 ザ・シューター 極大射程 』でペットボトルのサプレッサー、『ノーカントリー』ではアントン・シガーがアルミ缶に似たサプレッサーをつけて、対象を暗殺するシーンが何度か見られると教えていただきました。
2つ目に教えてもらった「ブラストシールド」とは、銃を撃った時に出る発砲炎や、跳ね上がりを抑える装備のこと。サプレッサーに似ていますが、音を消すというよりは発射音や反動を前方に集めるというイメージで、音や煙が仲間の邪魔にならないために付けるようです(ソースはこちら)。銃口が二重構造になっているのも特長のひとつ。
↑『クリーン』に登場するショットガンの装備をよく見ると二重構造になっています。
回答と一緒に教えていただいた実際のブラストシールド使用動画。確かに二重構造になっています。
しかし、回答をくれた方は「ショットガンでブラストシールドを使っているのを見たことがない」とも…。(調べるとライフルに付けるのが主流のよう)謎は深まるばかりです。
Lounderは本国のネットスラング?
Loudenerに関しては、海外の質問サイトで筆者と全く同じことを聞いている人がいると教えてもらい、そこには「Loudenerでは?」といくつかコメントがされています。
質問サイトにはLoudenerの正体がわかる動画もありました。それはアメリカで1986~1988年まで放送されたテレビドラマ「俺がハマーだ!」のシーズン1・エピソード4「銃を捨てて野に出よう!!プッツン刑事暗殺計画」の(おそらく)導入シーン。
(英語力がゴミカスなので)内容はあまりわかりませんが、射撃コンテストでハマーが銃にサイレンサーのような装備をつけると「これはサイレンサーじゃない。私が発明した”ラウドナー(loudener)だ」と説明します。
この装備を付けた途端、周りにいたギャラリーは悲鳴を上げて隠れます。そして銃を撃つと、引くほど巨大な銃創ができるじゃないですか。挙句の果てに、的のセットが倒壊するほどのパワーを見せつけました。なんだこれ…。
そもそも「俺がハマーだ!」は刑事ものでありコメディドラマなので、Loudenerはコメディグッズのようなモノだと思われます。海外のネット民はネットスラングとして『クリーン』のショットガン装備を「Loudenerで草」みたいなノリで返しているのでしょう。
ただ『クリーン』はゴリゴリの殺し屋がゴリゴリに人を狩る(殺す)映画…。
以上3点の情報をまとめましたが、あの画像1枚だけでここまでいろんな意見が出るのは非常に興味深いです。ここからは、作中の使用状況(ネタバレあり)も踏まえて、あの装備の正体を考えていきます。
実際の使用状況を整理する(若干ネタバレあり)
ツイート時は『クリーン』がまだ劇場公開されていなかったので、あの装備が登場するまでの背景はもちろん、どんなシチュエーションで使用されたのかも言えませんでした。
ここで実際の使用状況などを整理します。
- クリーンは殺し屋稼業から足を洗っており、武器はほとんど所持していない
- ショットガンは近所の馴染みのお店(店主がRZA)で購入した
- ギャングのアジトには潜入するのではなく、ごみ収集車で正面から突っ込んでいる
- ごみ収集員のスキルを活かし、廃材から装備を作れる
- ギャングのアジトには複数の敵がいる
まずサプレッサーですが、正面からアジトに突っ込んでいるし(画像参照)、クリーンVS複数という構図になるため、サプレッサーをつける必要性が無いように思いました。『ノーカントリー』のアントン・シガーのように、突如ターゲットの前に現れ、可能な限り痕跡を残さず”仕事”を終えるのとはわけが違います。
そうなると、有力なのはブラストシールドです。アジトは豪邸とはいえ、かなり移動範囲や視界(暗い)が限られており、発砲炎で視界がさらに悪くなるのを防ぐために付けているとしたら筋が通ります。(ちなみにクリーンはあらかた敵を倒すとショットガンの装備を外していました)
問題は「ショットガンにブラストシールドを付ける例がない」という点です。これに関しては、クリーンの現状から説明ができます。クリーンは隠居した殺し屋みたいに、セーフハウスに大量の武器を隠し持っているわけではありませんでした。落ちぶれた殺し屋として描かれており、ギャングに狙われるきっかけとなった不良を成敗するシーンでも、廃屋にあったバールでぶん殴っただけ(だけ?)。銃が本格的に登場するのは、馴染みのお店で買ってからです。
さらに、クリーンには廃材を蘇らせるスキルがあり、ディアンダには廃材から自転車を作ってプレゼントしたり、古い家電を直したりしていました。廃材から銃に必要な装備を作り出すことも不可能ではないはず。
つまり、本当はもっと理想の武器を用意したかったけど、現状手に入る武器がショットガンのみで、無理やりブラストシールドをつけるのが精一杯だった可能性もあります。本当は自動小銃に既製品のブラストシールドを付けたかったけど、寂れた田舎町にそんな物騒な武器は置いていないか…?
装備としては突飛なものですが、クリーンの立場を踏まえた設定を考えると、かなりリアリティを追及しています。
結論:やむを得ずショットガンにブラストシールドを付けた可能性が大
とはいえ、ほかの可能性もゼロではありません。クリーンはアジトに乗り込む前に、その周辺にいた大勢の敵をボスにバレることなく殲滅しています。しかしどうやって敵を殺害したのか、その描写はほぼカットされていました。もしかしたら、この装備はここでサプレッサーとしての本領を発揮していたのかもしれません。
そもそもサプレッサーには発火炎を抑える「フラッシュサプレッサー」というものもあり、この装備という可能性もありえます。
ジョークグッズ(?)のLoudenerも、監督かエイドリアン・ブロディが「俺がハマーだ!」の大ファンで、オマージュを取り入れただけかもしれないし…。(『NOPE/ノープ』にキリン一番搾りが登場したのも似たような理由だったなあ)
ただ筆者としては、クリーンのキャラクターも踏まえてブラストシールドであってほしい!という気持ちが強いです。
…いろいろ書いたけど、パンフレットに答えが書いてあって、全然見当違いだったら恥ずかしいなあ。誰か知っていたら、優しくそっと教えて頂けると幸いです…。
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