今や食材や農作物に、生産者の顔と名前を出すのは当たり前の時代。
そしてついに、家具の生産者を明示する時代も来るかもしれません。
近年は人を襲う家具ホラー『キラーソファー』が日本でも公開され話題となりましたが、そんな「家具ホラー」の向こう側「原材料ホラー」が誕生していたのです。
しかもまさかの「タイムトラベル」との合体モノ。
今回は(何かとネタにされがちな)GEO先行レンタルのなかでも、かなりストイックな映画『タイム・ダイレイション 死のベッド』をレビューします!
映画『タイム・ダイレイション 死のベッド』あらすじ






映画『タイム・ダイレイション―死のベッド―』はタイトル通り、このベッドに横たわるだけで地獄を見るというもの。
しかし問題はベッド以上に、その原材料にあったのです…。
キングサイズのベッドフレームに、禍々しい彫り物があしらわれたこちらのベッド。
その原材料は、多くの惨殺された死体が生贄のように吊るされた激ヤバ木材です。






そしてこれまた人を殺していそうな屈強な男がやってくると、殺された人の怨念がたっぷり染み込んだ木を豪快に切っていきます。
この男が木を切って完成させたのが、現代で若者たちが使ったキングサイズのベッドです。
男は普通の家具職人でした。人殺してそうとか言ってごめんね。






©2015 DEAD BED PRODUCTIONS INC. ALL RIGHTS RESERVED.
意外と内容通りの日本版ジャケット
映画『タイム・ダイレイション―死のベッド―』は、カナダで2016年に制作された作品。
本国版ビジュアルはこんな感じでした。






日本でリリースされたレンタル版のジャケットはこちら。






だいぶ違うじゃん…これは安定のジャケ写詐欺では…。
鑑賞前まではそんなことを思っていましたが、これが意外とどっちも正解でした。
演出もストーリーもしっかりしている映画『タイム・ダイレイション―死のベッド―』






©2015 DEAD BED PRODUCTIONS INC. ALL RIGHTS RESERVED.
一見、B級映画の装いである映画『タイム・ダイレイション―死のベッド―』ですが、ゴアシーンや死に様のレパートリーも豊富で、グロホラーとしてなかなか楽しめます。
ベッドで乱交を楽しみたかっただけなのに…起きながらにして悪夢を見せられる「死のベッド」のせいで、ベッドから降りれば即死の状況に。
その悪夢は、彼らが過去に犯した罪を思い出させるような残酷なものばかり。
1人はベッドの下で「喰われて」死に、「ベッドから床に足をつかなければノーカン」という謎の持論を展開して、脱出を図る男まで。
天井のパイプを使って出口まで行く姿は、さながら「SASUKE」のクリフハンガーを見ているかのよう。結局、この移動方法のせいで、文字通り血の雨が降ることになるのですが…。












©2015 DEAD BED PRODUCTIONS INC. ALL RIGHTS RESERVED.
人体破壊はもちろん、血も景気よく飛び出してくるので、チープな感じは全くなし。
生き残った女性2人は携帯で通報しますが、ここからSF要素が登場します。
タイム・ダイレイション(時間のズレ)に巻き込まれる刑事






(若者4人+通りすがりのおっさんが死にますが…)
生き残った女性2人の通報を受けたのは、彼女たちが死んでいる2時間後の現場にいる刑事・バージル。
こちらの時間軸では、火災で遺体は丸焦げに。
しかし若者4人のうち3人は、火災より前に殺害されていることが分かっています。
回想だと思っていた事件前の描写と、火災が起きた現場の描画が繋がったことで、ホラーだけでなく、時間軸を超えたサスペンスの展開に突入。(なお時間がズレているのは火事のあった部屋だけ)
被害者を救う希望を見つけたバージルですが、過去のある失態によりアウトローな性格になっており、「事故前の被害者から通報が来た」と言っても、誰もとりあってくれず…。
バージルは事故が発生する時間までに、ベッドの謎を解き明かし、若者を救おうと奔走します。
ちなみに、なぜ時間のズレが起きたのかは説明されませんが、火災によって「死のベッド」も大破しています。
もしこの火災が、自分の命を捨ててまでベッドごと燃やしたとした若者の仕業だとすれば…。
バージルが過去を改変して若者を救えば、火災は起きず「死のベッド」も無傷です。
この時間のズレは若者を救うものではなく、「死のベッド」が自らを守るために起こした現象とも考えられることに…。執念がすごいっ。
映画『タイム・ダイレイション 死のベッド』は普段B級を見ない人のほうが楽しめるかも






映画『タイム・ダイレイション―死のベッド―』は破天荒な展開や、人が面白おかしく死んでいくわけではありません。B級映画の醍醐味を楽しみたい人には物足りないかも…。
ただし、演出やストーリー展開はしっかりしており、刑事・バージルの運命など、話のオチもまとまっています。
散々伏線をばらまいておいて、脇目もふらずに話がゴールするようなこともありませんでした。(死のベッドの正体などは結局よくわからなかった気もしますが…)
とはいえ、本作の監督が新作を出したら、是非みたいなあ…。プルークさん(本作の配給元)、また先行レンタルお願いします。
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深夜に発生した風俗店での火災現場に赴いた刑事・バージル。彼が目にしたのは、火災が起きる前に惨殺された、若者たちの遺体だった。その2時間前、風俗店内でいわくつきの部屋に通された4人の若者は、巨大なベッドに横たわると、それぞれ奇妙な幻覚を見る。そして次の瞬間には、想像を絶する死を迎えてしまう。「このベッドから降りれば死ぬ…。」生き残った2人の女性は助けを求めるため、携帯から警察に通報する。通報を受けたのは、彼女たちが死んだはずの火災現場にいる、事故発生から2時間後の刑事バージルだった…。