『デイ・オブ・ザ・ロード』(Menendez : The Day of the Lord)


エクソシストを題材にしたメキシコ産ホラー映画『デイ・オブ・ザ・ロード』
端的に言ってクセが強い!
悪魔払いの方法に「拷問」という非常に特徴的な方法を採用している本作。
取り憑かれた人間に、メリケンサックやレンチで殴打、爪を剥ぐなどの攻撃を加え、耐えられなくなった悪魔が体外に排出されるというシステムになっている。


そうした悪魔払いの方法のせいで、過去に人を殺め投獄された過去を持つ「呪われた神父」が主人公で、その神父のもとに旧友が、悪魔に取り憑かれた娘を助けて欲しいと依頼することから物語が始まる。


本作の特徴はやはりこの特殊な悪魔払い法で、使用される道具も聖水などの神聖な道具ではなく工具がメインだ。


これらの道具でひたすら暴力を加える描写は凄惨で目を背けたくなるようなものである…
さらに、ここで本作の面白いポイントがあり、その凄惨なエクソシストシーンを見せられている我々には本当に依頼人の娘に悪魔が取り憑いているのか、単に神父が頭がおかしい奴なのか分からないようになっている。
「娘に悪魔が取り憑いている」という父親の話も根拠の薄いもので、実際に悪魔が姿を見せるわけでも、娘が何か不思議な力を使うわけでもない。一方で、神父はロリコンなのだ。




マッチングサイトで少女を探し、友人の娘の衣類の匂いを嗅ぐ変態神父なのだ。
そうした彼の行為に視聴者は不信感を抱き、悪魔払いのシーンを見ても「彼の趣味なのではないか?」と疑ってしまう構成になっており、正義の悪魔払い活躍シーンのはずが、より一層そうは見えない展開に非常に緊迫感がある。
神父が本当に悪魔を払っていたのか、それともただの変態なのかは映画を観て確かめて欲しい。
こうした展開や描写も相まって、本作は『ホステル』や『SAW』シリーズに代表される「トーチャーポルノ」(拷問+ポルノ)の流れを汲んでおり、純粋にエクソシストものを期待した方や、コワすぎの工藤のような「怪異をしばき倒す」系ホラーだと思って視聴した方にはキツい映像が多いかもしれない。




ただ、レンチで十字架を作ったり、消火器でどついたり、普通に笑えるシーンはかなり多いので、ある程度拷問的な要素を許容できる方にはオススメできる一作。
作品概要
作品名「デイ・オブ・ザ・ロード」(MENENDEZ : THE DAY OF THE LORD)
監督:サンティアゴ・アルバラード
キャスト:フリ・ファブレガス、ヒメナ・ロモ、エクトル・イリャーネス、ドロレス・エレディア
上映時間:93分
製作国:メキシコ、スペイン(2020年)
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罪の意識にさいなまれ一線を退いた神父が、何かに取りつかれたかのような娘を救ってほしいと旧友から懇願されて、自身の内外にある闇に直面する姿を描くホラー。