『スポンジ・ボブ:スポンジ・オン・ザ・ラン』(原題:The SpongeBob Movie: Sponge on the Run)
言わずと知れたキッズアニメ「スポンジ・ボブ」の映画作品も3作目となり、本作は2020年夏に劇場公開予定だったが、新型コロナウイルスの影響で11月にNETFLIXスルーでの公開となった。
何と言っても本作のフックはキアヌ・リーヴスが回転草役で実写出演していること。


映画2作目の『スポンジ・ボブ 海のみんなが世界を救Woo!』では実写をベースに3DCGで「スポンジ・ボブ」キャラクターを描き独特な世界観を表現していた(劇場版妖怪ウォッチ3作目と同様のスタイル)が、本作では同様のスタイルに加え、3DCGに実写(キアヌ・リーヴス)を乗せるような表現を取り入れることで、キアヌの存在感が非常に際立っている。


カメオ出演というレベルではなく、ほぼ終始登場するうえに、無秩序に動くスポンジ・ボブ達を諫める保護者のようなポジションで彼らの冒険をナビゲートする重要な役割を担っている。


こうした演出は、映画1作目の時点でデビッド・ハッセルホフが出演しており、実写との融合は映画版スポンジ・ボブのお家芸的な手法である。
また、近年だとポプテピピックでの蒼井翔太の実写出演のようにもはや演出として珍しいものではないが、キアヌ・リーヴスという人選の妙が生み出すシュールな笑いは必見(いるだけで面白いのは少しずるい)。




実写パートでは、ロバート・ロドリゲス作品でおなじみのダニー・トレホやラッパーのスヌープ・ドッグも出演し映画を盛り上げる。


前作よりもクオリティが向上した3DCGで描かれるキャラクターや海底の様子は独特ながら非常に美しく、TVシリーズで描かれている雰囲気そのままに3D化したキャラクターのハイテンションな様子に引き込まれる。
また、物語はシンプルながら熱い展開もあり、荒唐無稽な設定や演出を取り入れながらも下品過ぎるネタや下ネタは抑えてしっかり笑える作品に仕上げており、長年愛されるアニメ作品としての芯のある面白さを楽しめる1作。
冒頭の数分で世界観やキャラクターが掴める構成で、スポンジ・ボブを全く知らない方でも問題なく楽しめるため、キッズアニメだと敬遠している方にもオススメできる。
シンプルなストーリーラインを、実写のような搦め手的な演出で盛り上げ、非常にテンポよく展開されるため、ダレずに楽しめる良作コメディ作品として仕上がっている本作。
キアヌ・リーヴス演じる回転草をぜひその目に焼き付けてください。


作品概要
「スポンジ・ボブ スポンジ・オン・ザ・ラン」(原題The SpongeBob Movie: Sponge on the Run)
監督:ティム・ヒル
キャスト:トム・ケニー、ビル・ファガーパッケ、ロジャー・バンパス、ミスター・ローレンス、キアヌ・リーブス
上映時間:95分
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