ヤクザ。ヤクザ好き? 俺は実のところあんまり好きじゃない。怖いから。
フィクションの中のヤクザはどうかというと、これもそんなに好きじゃない。怖いから。任侠映画はホラーより怖いと思っている。しかしこれだけは好きだと言えるヤクザがある。洋画に出てくるヤクザだ。
洋画に出てくるヤクザにも数パターンあるよな。日本を舞台にした時のザコ敵要員だったりすることもあるし、現代に生きる侍、武士道キャラとして出てくることもある。どちらにしても我々日本人がよく知るヤクザとは大抵なんか違うのがポイントだ。なんか違うのであんまり怖くないし、むしろ愛せる。
そしてまあ、大抵は死ぬ。そこも良い。洋画のヤクザが死ぬシーンの一押しを紹介したい。本コラムは扱う題材の性質上ネタバレを含んでいるのでご了承ください。
まずはザコ敵枠。見たことがある人も多いんじゃないか泣く子も黙るマーベルヒーロー映画。『ウルヴァリン:SAMURAI』だ。
「あの不死身のヒーローウルヴァリンが今度は日本で大暴れ!」みたいな映画で、当然ヤクザが出てくる。ついでに武装坊主や忍者も出てくるのでかなり興奮する映画だ。ニンジャスレイヤーとか好きな人は100%好きだし逆もしかり。
寺。東京の街の中。新幹線の中。無数のヤクザがウルヴァリンを追いかけ回す。ヤクザは勇ましいので手からヤバイ爪が出ている上にやたらとタフな外国人にも果敢に立ち向かうのだ。この一連のシーンがめちゃめちゃ良い。
「ヤッチマエー!」
「失せろガイジーン!!」
恐ろしいヤクザスラングを叫びながら襲いかかってはゴミのようにサクサクと殺されるヤクザたち。しかしヤクザはいくら仲間が殺されようとも次々飛びかかっていく。ウルヴァリンに次々飛びかかっては景気良く消費されていくヤクザたちは見ていてかなり気持ちがいい。
また、ウルヴァリンが弱っているとはいえ時々まあまあ良い勝負する一般ヤクザなんかもいて最高なのだ。
「ブチコロセー!」
「殺すぞコラ!! ガイジーン!!」
「逃さんぞ!!」
「ガイジーン!!!」
この「ガイジーン!!」がかなりクセになる。まあ、確かにガイジンだけどよ。
・手からなんかクソ長い爪が出てる
・やけに死なない
・強い
・外国人である
といった要素を持っている相手を見て「外国人である」ところをピックアップするのがさすがヤクザと言ったところだ。
チョー強いガイジンにサクサク殺されるヤクザ。和むぞ。
そして武士道キャラ枠で紹介したいヤクザが『プレデターズ』のヤクザだ。
プレデターシリーズ、人間狩りが趣味の迷惑な宇宙人と人間たちの戦いを描いたスーパー名作。この3作目が『プレデターズ』だ。1作目、2作目はわざわざ地球に出向いて狩りをしていたプレデター。この3作目は少し趣が違う。
地球から狩り甲斐がありそうな強そうな人間をわざわざ拉致してきてわざわざ地球の森林を模した惑星に解き放ってから狩りを行うのだ。いわば人間釣り堀。人間は彼らにとって超人気の獲物なのだ。ブラックバスみたいなもんだろうか。
なんでそんな周りくどいことをするんだと思われるかもしれないが俺もそう思う。一つ言えるのはプレデターたちにとって「狩り」はとても重要な意味を持つ行為なのだ。人間の俺には想像がつかないが。
さて本作『プレデターズ』で地球から拉致されてきた荒くれ者の中に一人、ヤクザがいる。プレデターがヤクザを見て「あ、あいつ狩り甲斐がありそうだな~」と思ったのだろう。見る目がある。
ヤクザは映画の中盤までほとんど喋らない。そんなシャイヤクザがあるものを見つけて急にテンションが上がり喋りだす。日本刀だ。プレデター釣り堀惑星になぜか日本刀があったのだ。これは侍の時代からプレデターの人間拉致があったことを物語っている。超迷惑。(この話とは特に関係ないが岡部淳也監督のZVP超良いよね)
そして物語が進み、なんやかんやで日本刀ヤクザとプレデターの死闘が始まる。ヤクザVSプレデターだ。銀魂にエイリアンVSやくざってネタあったな。
プレデターの習性というか文化というか、彼らは相手を獲物と見ているうちは容赦無くハイテク兵器で攻撃してくるが、相手を戦士と認めると急にノリがよくなって正々堂々戦ってくれる。
刀を構えたヤクザが相手ならばプレデターもリストブレイド(あの手首からシャキーンって出るやつ)オンリーだ。
プレデター相手に「オンドリャー!!」「死ねー!!」などと叫びながら斬りかかるヤクザ。最高だ。プレデターシリーズ通して見ても一番印象に残るシーンかもしれない。あなたは宇宙人相手に日本刀で斬りかかることができるだろうか。俺はできない。
流れる赤いヤクザの血と蛍光グリーンのプレデターの血の対比がまた美しい。ガチャピンとムック。赤いきつねと緑のたぬき。マリオとルイージ。
そう、ヤクザだけでなくプレデターもめちゃめちゃ血を流している。意外にもめちゃめちゃ良い勝負なのだヤクザVSプレデター。まあ、死ぬんだけど。そういうコラムだし。
しかしヤクザもタダでは死なない。なんとこのプレデターを相打ちにまで持っていく。断言しておくがプレデターが弱いのではない、ヤクザが強いのだ。
相手がミュータントのガイジンだろうが宇宙人だろうが立ち向かう、それが日本のヤクザなのだ。恐ろしいぜ。
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