地方住みのライターが「東京国際映画祭」で学んだ取材のやり方【駆け出しライター必見】

ライターのヤマダと申します。先日、東京国際映画祭に取材枠として参加する機会を頂きました。しかし、筆者は東京ではなく愛知在住。交通費だけで原稿料がブッ飛びます。とはいえ、自分のように大した名声・権力を所持していないライターにとって、喉から手が出る程欲しいモノ。それは実績です。

今回の取材は採算度外視。(大きな声では言えないけど)実績欲しさに東京は銀座に単身乗り込みました。しかも「取材枠」といった形での参加も初。取材のやり方もよく分からない丸腰状態で参加することに…。

そこで筆者のように「経験はないけど取材のチャンスを得た!でもどう立ち回ればよいかわからない…!」という方のために、実体験を交えて取材で学んだことや反省点を書き記していければと思います。

取材枠として参加できた経緯

そもそも東京国際映画祭の取材枠を申し込んだきっかけは、普段マスコミ試写の案内をしてくれる広告代理店さんからお知らせを頂いたためです。申請はwebライターの場合「どのサイトに、どのくらいの頻度で記事を書いているのか」「実際に書いた記事のURL」などを送付します。

明確な判断基準はわかりませんが、取材記事はお客さんとして参加した舞台挨拶のレポート記事程度しかなかったので、ダメもとで申請…。すると数日後、申請が通った旨のメールが届きました。

ちなみに公式サイトからも申し込みフォームに行けるので、「コネクションがないと無理!」というわけではなさそう。

申請が通ると、プレスパスの発行書を作成します。プレスパスには顔写真と名前、媒体名などが記載されていました。

取材に持っていったもの

  • ノートPC
  • 手帳
  • ペン
  • ボイスレコーダー(Amazonで買った安物。なぜか日付が2019年で録音される
  • ウルトラライトダウン(1件屋外の取材があった為)

現地では紙でメモるものだと考えていたので、携帯向きではないほうのメインPCのみを持っていきました。

宿泊先は「相鉄フレッサイン 銀座三丁目」というビジホに素泊まりしました。割りとギリギリで部屋の予約をしましたが、ブッキングドットコムだと3泊4日で13000円を切ったのでびっくり。映画祭の現地まで徒歩で行けるのもうれしい…。

いざ東京へ出陣

筆者が参加したのは11月5〜8日。クロージングまで取材する予定でした。

プレスパスを申請すると、随時公式サイトのデータベースに取材のスケジュールや画像素材といったものが手配されます。都内では事前に映画祭の作品を観る機会も設けられていたようですが、いかんせん筆者は愛知住まい…。このあたりもオンラインで何とかなると考えていましたが、甘かったです。

筆者が到着した頃は無料で鑑賞できる屋外スクリーンにて『劇場版 仮面ライダードライブ サプライズ・フューチャー』の上映があり、その後のステージでは東映の大森敬仁プロデューサーと仮面ライダーチェイサー役の上遠野太洸が登場したトークショーが行われていました。そこでは取材には参加せず、遠くから取材陣がどんなやり方で取材しているのかをチェックしていました。スパイか…。

取材1日目:手続きミスでいっぱい冷や汗をかく

まずはプレスパスを発行するため、申請用紙を片手にプレスセンターに。プレスセンターではパス発行の受付を始め、取材者が作業できるスペースも設けられています。筆者はホテルが会場から近いこともあり、今回は利用しませんでした。席数は決して多くないけれど、パッと見た感じは快適そう。利用しているライターさんも結構いました。

プレスパスとトートバッグやプログラムを貰いました。トートは内ポケットがあって、生地も頑丈で使いやすいです。職場でこれ見よがしに使用しています。

早速プレスパスを首から下げて、いざ最初のイベント会場に!

…と思った矢先、さっそくミスりました。完全に筆者の確認不足だったのですが、プレスパスさえあればいつでも好きなイベントの取材に参加できるわけではなく、申込フォームからその都度申し込む必要があったのです。

それを知らずに意気揚々とスタッフさんにプレスパスを見せる恥ずかしさったら…。いい歳して社会人経験のなさが露呈したのも恥ずかしい…。そのイベントはギリギリ空席があり、特別に取材させてもらえることになりました。本当にすいません。あの時、待機場所で尋常じゃないほどのヘンな汗をかいていたのは私です(汗)

1回目の取材はアニメ映画『フラ・フラダンス』の監督登壇イベント。取材中は集中していたので精神が安定していましたが、終わってホテルに戻った時はガッツリ凹みました。筆者は怒られたり落ち込んだりすると極度の眠気に襲われるので、この日はそのままふて寝して、午前4時に目が覚めました…。

取材2日目:角の全くないおじさん(映画監督)に癒される

気を取り直して挑んだ取材は、東京国際映画祭の目玉であるイベント「トークシリーズ@アジア交流ラウンジ」。毎日アジアの監督を迎え、日本の俳優や監督が対談するという企画です。筆者が取材したのは細田守監督とポン・ジュノ監督のトークショー。主にお互いの映画について褒め合うという、非常に平和的な内容でした。

こちらは屋外で行われたこともあって、開放感溢れる空間が最高。ですがだんだん寒くなってきてキーボードを打つ手が震え始める…。こういうときに限ってウルトラライトダウンをホテルに置いてきたという…。ウルトラライトなんだから常備しとけ…。

これはちょっと裏話なのですが、トークショー終了後に是枝監督がフラッと現れました。それに気づいたポン・ジュノ監督が連絡先を教えたかったのか、画面越しに自分のアドレスを晒してスタッフがざわつく一幕がありました。マイペースが過ぎる。

その後は松居大悟監督の新作『ちょっと思い出しただけ』のQ&Aイベントを取材。こちらは観客の質問に監督が答える形でした。質問する人はプロのインタビュアーじゃないので、Qの部分を文章化するのが難しい…。向こうが監督に伝えたいことと、こっちが文章にしたい内容が乖離していないかずっと不安でした。

2日目の最後はアニメ映画『漁港の肉子ちゃん』のトークショー。声優を務めた石井いづみさんも急遽登壇するということで、カメラマンが多いなあという印象。こちらはMCが質問をする形で進んだので、メチャクチャメモが取りやすかったです。あとまだ10代の出演者への質問もハードルを合わせていて(かつ記事として取り上げやすい質問だった)すごいなあと思いました。これが初めての取材だったらよかったのですが…汗

3日目:クロージングに参加するはずが…

実は東京に到着してすぐ、プレス向けにクロージングイベントの取材概要が送られてきました。そこには「正装必須」の文字が。やらかしました。取材陣はプレスブースみたいな場所に集まって、ある程度会場と遮断された場所から現地の様子を見ると(勝手に)思っていたので、バチバチの私服だけで東京に来てしまいました。ジャケットなんて三角巾付けたポリゴンフェイスに「HAKA」ってプリントされてますからね。縁起でもない。

ちょうどホテルの近くにユニクロがあったので、ワンチャンそこでスーツを見繕う手段も考えましたが、後術記載する“カメラ不携帯問題”が頭をもたげ、結局断念しました。思い込みによる失態が多すぎる!結局、この日はほぼ取材記事の執筆で過ごしました。

…こうして翌日。ホテルをチェックアウトし、数々の失敗の鬱憤を晴らすかのごとく、最後は「銀座スイス」でカツカレーをしばいて帰りました。カツカレーはめちゃ美味しかったです。

今回の取材で学んだこと

3日かけて行った初取材。最後は今回の取材で学んだことや反省点を書き記したいと思います。

①  取材にはカメラを持っていこう

写真撮影をスマホで対応したのは地味に痛手でした。スタッフさんは「スマホ撮影でも大丈夫」と言って下さったのですが、周囲がゴリゴリのカメラを出している中でひとりiPhoneを掲げるのは、やはり違和感を覚えます

実際、自分以外にスマホで撮影している人は数人しか見ていません。あとスマホだと、撮影した写真へのセキュリティ配慮が足りない奴に見えなくもないので、見てくれだけでもちゃんとしたカメラを用意するべきだったなあと痛感…。

↑取材初日は「スマホ撮影可」ということを知らなかったため、レポート記事なのに映画の場面写真で対応している体たらく…

②11月頭でも屋外は思っているより寒い

「アジア交流ラウンジ」の会場は屋外。天気は良いものの、風を遮るものが全くないので時間が経つにつれてどんどん冷えていきます。ちゃんと(あの)ジャケットを着ていたんですけど、手が震えだしたときはいよいよヤバいと思いました。指ぬきグローブとかあれば…。

③メモはPCでも紙でもよい

劇場やトークショーの会場でメモを取るとき紙かPCか迷うところですが、他の取材の方を観察した感じ半々でした。筆者は壊滅的に字が汚いのでPCでメモを取りましたが、隣の人のボイレコにキーボードを打ち込む音が入らないよう気を付けました。ただ室内では照明の具合や、屋外なら天候によってPC画面に光が入ってよく見えない可能性もあるので、なんやかんやメモは常備したほうがいいです。

…3日もかけた割にはすごい初歩的な内容に収まった気もしますが…筆者の失敗談が少しでも皆様にとって、変な汗をかかなくて済む手助けになれば幸いです…!

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