『ハングオーバー!』見てわかっちゃったつもりになったけど全然そんなことなかった日記/マシーナリーとも子映画コラム

 レジェンダリー・ピクチャーズの映画をマシーナリーとも子が見ていく「レジェンダリーとも子」、第2回は『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』やっていくぜ! ちなみに本企画は完全に「レジェンダリーとも子」ってなんとなく語呂よくね? ってだけで決まりました。世の中そんなもんだぜ!

今回はNETFLIXで見たよ。

 さて『ハングオーバー!』、なんだかんだで3作出てる人気シリーズだけど私ぜんぜん見たことなかった。なんかタイトルだけ知ってて、なんか、酒? 酒をめちゃめちゃ飲む映画だと思ってたわ。あとアレだ。『スカイリム』のデイドラクエストの元ネタってことだけ知ってた。割と有名な作品を全然見てないくせにこういう偏った知識ばっかり持ってるんだよな。良くないね。というわけで見ました。


『The Elder Scrolls V: Skyrim』のクエスト「思い出の夜」は『ハングオーバー!』のパロディ。ということだけ映画を見る前から知っていた。こういうパロディ先だけ知ってるってことよくあるロボ生だった。原点にちゃんと触れろ!

 『ハングオーバー』、勝手に「酒めちゃめちゃ飲み選手権」みたいな映画だと思ってたんだけど違うんだね。ミステリーなんだね。
 「花婿とその弟、悪友ふたりが独身最後の日を楽しむ旅行にでかけたら泥酔して花婿が消えたしみんな昨夜の記憶が無い! どうしよう」って話。それでさ……あ、どうしようかこれ。ミステリものなんだよな一応! これ内容の話しようとするとネタバレになるじゃんな。というわけで今回の記事はネタバレってことでお願いします。というかどこからどこまでがネタバレとかみんなの基準が違うし私の記事は基本ネタバレ記事ってことで頼むわ。前回もそうだったし。

 で、私の明晰な頭脳――サイボーグAI――は物語開始30分ほど、メンバーがひどい二日酔いで目を覚ました段階でこの物語の答えにたどり着いてしまった。完全に理解した。犯人はダグ……消えた花婿その人に違いない! と。
 まず、一同が目覚めた瞬間にひとりだけいない。これがまず何より怪しい。さらに……これがいちばんの決め手だが……描写が少ないが、ダグだけいいヤツすぎるんだよ。フィルは教師だし、比較的言動はマトモだが粗暴で、雑なところがあるしハッキリ言ってだ。スチュはナヨナヨしていて彼女に逆らえないへっぽこだ。ダグの義弟のアランはデブでちょっと足りない感じがする変人だ。そしてダグはと言うと……描写があまり無いせいもあるがこの3人に比べてあまりにマトモだ! ふつうのヤツすぎる!
 それでいて変人で友達が少ない義理の弟の交友関係を増やそうとバチェラー・パーティーに同行させてくれるんだ。いいヤツすぎるだろう? いいヤツすぎて不自然だ。なんでこいつはいいヤツなんだ?

(C) 2010 Warner Bros. Entertainment Inc.
いいヤツすぎて義理の父親から愛車のベンツまで譲ってもらえてしまうダグ。怪しい! こんないいヤツが悪党じゃないわけないって思わないか!? 悪いヤツに決まってる!

 答えはカンタンだ。じつはダグはいいヤツじゃないんだ。こいつは嘘っぱちの詐欺師に違いない。結婚するというのも詐欺なんだ。こいつは結婚費用を持ってトンズラしやがるつもりなんだ。だから結婚前夜にハメを外そうぜなんて言って野郎だけでラスベガスに行くんだよ。嫁や義理の親から距離を取るためにだ! ダグはまんまと結婚式から逃げ出し、ついでにスチュが持っていた貴重な指輪を盗み、さらに3人に薬を盛って眠らせ、ダメ押しにトラを放った! なんて悪党だ! 悪いやつだぜ……。友達をトラに食わせて殺そうとするなんて! いい悪役だ。でも私はそういう、心からのド外道って感じの悪役は嫌いじゃないんだ。ホテルのスイートルームにトラを連れてくるなんてユニークな殺し方じゃないか。お前のこと、ちょっと好きになれそうだぜ。ダグ……。

 なんて推理しながら見てたら全然違ったので驚いた。ダグは最初からずっと屋上に放置されていたのだった。ラリったほかの3人組がふざけて屋上に運び込んで鍵をかけやがったのだ。え~~!! びっくりしちゃった。そんなオチなんだ。いや、ダグが悪いやつじゃなくて良かったよ……。良かったのか???

(C) 2010 Warner Bros. Entertainment Inc.
いいヤツすぎるから悪いヤツに違いないと思い込んでたダグはふつうにいいヤツだった。マジ? こんなことってあるのか?

 いやまあ、実際私、物語に騙されやすいっていうかさ……ミステリとか読むの苦手なんだよね。読むのは好きだけど推理しねえっていうかさ。っていうかミステリ小説とか映画ってみんなアレ、推理しながら読むもんなんだね。なんか、「へぇ~~すごいな」って思いながら読むものだと思ってたんだけど割とみんな推理するらしい。すごいね。まあ私の場合推理しても今回のようにズタボロなわけですが……。実際どうなの? ぜんぜん他の人の感想とか漁ってないんだけどさ、みんなは真相はどうだと思った? 私がたどり着いた「犯人はダグでダグの正体はクソ野郎の結婚詐欺師!!」って多数派なのかそうでないのかもわからん。ダグが怪しく感じるのは映画の巧みなミスリードなのだろうか。それとも私の見方がひねくれてるんだろうか。わからない。

 というわけでまあ、推理は惨敗したんだけど愉快で楽しい映画だったね~~。開始してしばらくはチンコおっぱいゲロションベンと立て続けに出てきて「汚え映画だな!!!」ってなったし、正直アランの明らかにちょっと足りてない感じとか「うわ~~こういうの苦手だなあ」とか思いながら見てたんだけど最終的に3人組のひどい目に合いながらもあくまで友達のために右往左往するところとか、次から次へと「そんなことある?!」ってくらいめちゃめちゃなことが起きるクソバカ展開の応酬ははちゃめちゃ笑ったよ。トランクから出てくるまったく何者かわからない裸の中国人とか唐突に現れるマイク・タイソンとかも~死んじゃった。最終的にアランについてもなんだかんだフィルとスチュも友情を覚えてるのが感じられてほっこりしちゃった。ちょっとホモソーシャルみが強い気もするけど、やっぱ野郎同士のワイワイ友情って最高~~! って感じで良かったよ。スタッフロールの写真では、なんだかんだチャウさんも仲良くギャンブルしてたのに笑っちゃった。
 やっぱバカで元気な映画っていいよな。朗らかに生きるのが健康だよなって思える。いい映画でした。私もラスベガス行きてぇ~~。みんな金くれ! それじゃあ今回はこんなところで。

ラスベガスの地理なら『Fallout:New Vegas』を遊んだから詳しいぜ!!

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