『GODZILLA』(2014)久々に見たら記憶より変な映画だったけど嫌いになれない/マシーナリーとも子映画コラム

見直したら結構変な映画

今回もNETFLIXで見ました

 2014年の劇場公開以来久々にギャレス・エドワーズ監督の『GODZILLA ゴジラ』、いわゆる「ギャレゴジ」を見たよ。

 当時めちゃめちゃ興奮した覚えがあるんだけど久々に見たら……あれっ? おもしろいけどこんな変な映画だったっけ?? ってちょっとなった。いや変な映画だな!
 いや、まぁ……『シン・ゴジラ』も変な映画っちゃあ変な映画だった。なるたけそのままの現代日本にゴジラがやってきたらどうなるかって映画だよな。後半、ゴジラを倒すためにフィクションみが増していったのは興味深い。『ゴジラ KING OF MONSTERS』は超ハチャメチャ大直球に変な映画だ。ゴジラを好きすぎる監督によるゴジラ神話の創造みたいなものすごい映画だった。個人的にはKOMすんげー好き。エキセントリックというのかな……「味、濃ッッ!」って感じでたまらん、画作りとか極まってるしね。

 それらのキャラが立った変さに比べるとギャレゴジは……ちょっと変さという意味では弱いかもしれん。怪獣がなかなか出てこないんだよね。出てこないっていうか、チラチラとは出てくる。ちょっと顔見せして、テレビの画面越しに出てくるとかそういうチョイ出しをズーーーっとしてくる。

(C) 2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC
ちょっと顔見せたらカットが入って壊れた町並みとかニュース映像に移るみたいな見せ方を延々してくるのでちょっともどかしい。でも溜めに溜めたハワイのゴジラの咆哮とか、映像に連動して破壊されるベガスのカジノとかはだいすき

 ゴジラなんか1時間しないと出てこないし、まともな怪獣バトルが見れるのはラスト30分だ(それも結構途切れ途切れだったりする)。公開当当時から、このはっきりと怪獣バトルを見せてくれない絵作りについては結構批判の声が集まってた気がする。私はというとなんか久々にゴジラを映画館で見た快感が上回って当時はあんまり気にならなかったんだけども、久々に家の小さい画面で見たら「いや全然怪獣出てこないな!」ってちょっとびっくりしちゃった。ただ、やっぱりこの映画割と好きだな〜、嫌いになれないな〜とも思った。

人類、弱いね。かわいいね。

(C) 2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC
怪獣が暴れてるところよりも暴れた結果だけ見せられるからなのか、破壊された街のどうしようもなさが頭に残る。これ復興ムリでしょってくらいグチャグチャにされた都市が次から次に登場するのには興奮が隠せない。かわいそう

 この映画、怪獣ドッタンバッタンを期待して見ると「もっと見せてくれ〜! ……見れねえ!」ってのが続いて消化不良になるんだけど、なんだろ、「人類、弱いね〜」映画としてはものすごくいいんだよな……。ゴジラやムートーの気まぐれで、これまで人類ちゃんが頑張って頑張って築いてきた文明がさ……容赦なくグッシャグシャにされていく良さ、みたいなのがすごくいい。怪獣映画なんてどれも多かれ少なかれビルとか壊れるもんだけどさ、この映画の壊し方はなんだろ……怪獣からの「壊したろ感」が薄いっていうか、マジで人間よりめちゃめちゃでかい生き物が勝手に街中にやってきやがって大暴れしやがったので大迷惑です感がすごいんだよな。ガラガラのグッチャグチャにされちゃってさ。そこがかわいい。人類、弱くてかわいいね。延々核ミサイル用意しては毎回食われちゃうの対抗手段があまりに無くてかわいいね。このどーしようもなさ、割とそそるところがある。

 主人公を始めとする米軍キャラたちのガンバりっぷりも哀れでかわいい。我々は昔から「怪獣映画」というものを数多く摂取してるので怪獣というやつはめちゃめちゃ頑丈で戦車の大砲や戦闘機のミサイルでも有効なダメージは一切与えられないことを知っている。でもこの世界の人間たちはそんなこと知らないので「アサルトライフルで撃ちゃ死ぬだろ」くらいの勢いでパコパコ撃ったりする。いや効くわけないだろ!! 100メートルとかそこらあるんだぞ!

 どうしようもなく非力……非力とすら言うのも虚しいくらいの力量差がある人間たちが、がんばってがんばって対抗しようとするんだけど結局あまりにも怪獣たちの力が圧倒的すぎてなーんもできずに勝手にゴジラに救われて、でも街は粉微塵になってるし自分らにできたことと言ったら自分らで起動した核爆弾を街から離すくらい。この空回りっぷり! 人類、ドジか? 弱すぎる。かわいいね。

ガンバれムートー

 あと本作のメイン怪獣、ムートーが好き。まず「ゴジラの新しい映画アメリカでやるぜ!」って思ったときにゴジラ単品映画にせず、人気怪獣も出さずに完全新規の怪獣出したのえらい。クモのようなカマキリのようなコウモリのような独特のシルエットもかっこいいし、いかにもぶっ刺すためにトンガったツメでザクザクゴジラをぶっ刺す絵面はすごくいい。やっぱこのテの作品で一番強いのは刺突だよな。ビームより斬撃よりダイレクトに「これは痛いんだな」ってのが伝わってきていい。ゴジラも割とダメージでかくてダウンするし。やるじゃん。

(C) 2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC
チュッチュシーンとか割と犬みたいでかわいいので感情移入してしまう。人間に卵燃やされてガッカリするシーンとかもなんか気の毒さを覚える。がんばってほしい

 オスとメスとで大きさが違うってのも虫っぽくていい。けっこうこいつらのタッグっぷり夫婦っぷりも板についてて(出会ったばっかりなんだけど)気持ちいい。ゴジラがメスに放射熱線を吹こうとするも飛んできたオスにインターラプトされちゃうシーンなんかはそれまでさんざん怪獣バトルを焦らされてるのもあってめちゃいいシーンだ。そこから先述のトゲでブスブスに移行するシーンなどは胸が躍る。ゴジラが死んじゃう~~! もしかしたらこの映画リョナ映画なのかもしれん。
 最後にはマウス・トゥ・マウスで放射熱線飲まされて死ぬという「見慣れた技の見慣れない使い方」で殺されるのも美しい。この直飲み放射熱線だいすきよ。当時発売された「ゴジラを振りまわすと放射熱線を出すオモチャ」、機会を逃して買えなかったんだけど今見てもいいオモチャだよな~。見直したら欲しくなっちゃったわ。
 そんなムートーが『ゴジラ KING OF MONSTERS』にて再登場したときにはちょっと胸が熱くなってしまった。今後もゲームとかで活躍して「おなじみのメンツ」の一柱としてがんばってほしい。

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 まあ繰り返しになるけど、変な映画だけど好きな映画だなやっぱり。日曜日の午後にボケーと見はじめてそこそこワッとなる映画としてはとてもいい。「モンスターバース」の第一作だし、まだ未視聴ならぜひ見てほしいね。と、言いつつ実は私も『キングコング: 髑髏島の巨神』をまだ見てなかったりするんだけどさ! まあ『Godzilla vs. Kong』公開前には見ておきたいね~。それじゃあな。

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